見出し画像

【10日目】鈴本演芸場十日間ありがとうございました

鈴本演芸場での披露目が無事終わりました。
少し振り返ってみたいと思う。
自分用の記録。

初日【短命】

初日が一番緊張した。
この緊張の仕方は初高座以来だろうか。
「絶対無理。のどの渇きが取れない。絶句する」
と飛び出していったら

「待ってました!」

まじかよ。
暖かいお客さん方に助けられ、結果落ち着いてできました。
大初日「めでたい噺を」と【短命】をやることがロックだと思ったんですが、あんまり伝わりませんでした。

二日目【寿限無】

名前の由来を話したいから【寿限無】。
ではなく、ホントは二つ目になって【寿限無】ってどうなんだ?
と自分でも思うので【寿限無】をやる理由として名前の由来を話したという感じ。
「初日の緊張がまた襲ってくるかも」という怖さもあって【寿限無】で一息つきたいという思いもあった。
ちゃんとできました。

三日目【牛ほめ】

二年ぶり三回目の【牛ほめ】。
「なんか違うな」とやらなくなった【牛ほめ】だが、なんでやらなくなったんだろう?
記憶をたどってみるとAbemaかなんかでの落語生配信で【牛ほめ】を見ていた視聴者のコメントに「下ネタかよ」とあったのが大きい。
なんか寂しくなった。
あと「子供には【牛ほめ】がいい」というのも「そうか?」となんだか気になっている。
なんかもっと年取ってからやりたい演目。
一朝師匠がたまにやったりすると「わぁ」って思う。

それから噺の後半にお笑いの時に培った技術を入れてみた。
落語にはやっぱり合わない。

四日目【十徳】

こちらも二年ぶり三回目。
サゲ前の数字を間違えそうで、そのストレスがやらなくなった理由。
【つる】でいいじゃん、みたいな。
ネタ尺が12分強で、前座の持ち時間ではやりづらかったのも理由の一つ。
この日も数字間違えそうだった。

この芝居のお客さんは落語初心者の方が多いのかしら。
なんだか不思議なお客様。
いいお客さんには違いない。

中日【金明竹】

休日だからお客さん多いかな?
と思ったら平日のほうが多かった。
結果この芝居は平日がずっといっぱい。
長い前座期間でもこんなことはなかった気がする。

慣れた金明竹。
やるたびに足したり引いたりしている。

六日目【野ざらし】

「好きな噺を休日のいっぱいのお客さんの前で試してみたい」というエゴで【野ざらし】。
あと二回ほどで腹に入る気がする。
なんだかまだ考えている。

さいさい節がまだつかめない。
やったことない技術が入っている噺は、できるようになったとき成長している感じがして好きだ。

七日目【からぬけ】【氏子中】【徳ちゃん】【御用】

この十日間の鬼門。
ここさえ乗り切ればだいぶ楽になる。

白酒と言えば廓噺なので、初めての廓噺【徳ちゃん】は大切にしたい。
あまり稽古しなくてもできたから合っているのか。

【御用】は色々な小満ん師匠の工夫、下調べの凄さ、セリフ回しが色々あって、これをどうにかお客さんに伝えたいのだけれど、どうすればいいか今考え中。

【氏子中】ネタおろし。
しかしコレ今後どこでやるんだ。

八日目【子ほめ】

Twitterやなんかにも書いたけど昨日の疲れがすごすぎて【子ほめ】。
もう思考停止で
「金朝師匠と琴調先生が出ていて緊張します」
なんて言ったら事故りました。
「昨日鈴本が休みじゃなかったら皆勤ちょう」
も事故りました。
へらへらと誘い笑いしてもダメでした。
ただ【子ほめ】でよく笑ってくれるお客さんでよくわかりませんでした。

九日目【堀の内】

なんかぼーっとしてたらマクラの小噺間違えた。
しかしサゲでずっとやりたかったことができた。
お客さんも袖もうけてて嬉しかった。
【堀の内】は楽しい。
粗忽者のフリのないボケのようなものは漫才っぽくて好き。

千穐楽【強情灸】

千穐楽を『千秋楽』と書かないのは『火』という字が良くないから。
なのに【強情灸】というロック。(知らんがな)
前座の癖でマクラを考えるの忘れた。
こういう時は発言が途端に冷たくなる傾向にある。
今日もそう。おやおや。

【強情灸】は気持ちいい。
ストレス解消になる。
久しぶりにやったら
「もっとこここうじゃない?」
と思うところがたくさん。
どっかでまたすぐやりたい。

総括

開口一番はお客さんの聞く体制みたいなのが大体ふわふわしているので何も考えずに攻めるだけだったが、色物の先生や師匠の後だと考えることがいっぱい。
袖から見えるお客さんの顔も全く違う。
楽屋で師匠方が「今日のお客さんどう?」と言う気持ちが少しだけわかった。
どうやらまだ伸びしろがあるっぽい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?