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令和五年五月廿六日 第四回『稽古風景』於・落語協会二階

「少ないお客さんの前でひっそりと稽古しよう」と平日開催で始めた稽古風景ですが、この日は何故か大入り。
これまでは大体20名弱でしたが30名近くのお客様にご来場いただきました。
初めての方も何名かいらっしゃったので、何処かで爪痕を残せたということでしょうか?
またのご来場をお待ちしております。

さてそんな爪痕残しの私でございますが、寄席の10分出番では何も残せません。
ただ10分経っただけ、という感じがしていて、
面白くないからウケないのか、お客さんの落語を聴く態勢が整っていないからなのか、よく分からないまま終わります。
「この時間帯はそういうものだから」で終わらせるのは勿体無いので今回は10分出番の噺の稽古。
続けて4席。

◎強情灸
「10分高座です」と言わずに始めました。
もともと笑いの少ない噺なのでくすぐり足して、なくても良さそうなところは色々とぶった切って10分。
『自分のお客さん』というのもありますが、まぁ10分でもちゃんと反応があったので伝わっているかなぁ、と思いました。

自分の体型や声と合っている、他の噺とのつきにくさ、15分でもできる、というところで重宝しそうです。

◎手紙無筆
半年ぶりですかね。
強情灸のように、自分に合った噺をやるのではなく、
噺を自分に合わせるような感じでやってみました。
特に足したり引いたりはしてません。
手応えはあまり無し。

小噺が多いので、お客さんの聴く態勢を整えるのには良い噺です。

◎茗荷宿
ここまで高座灯がついていませんでした。
これの有無で随分変わったかもしれません。

お客さんの反応が一番良かったですが、「茗荷宿が良かった」とは言われないですね。
言葉や設定を変えてくすぐりもいくつかは独自のものに変えてますが、やはり白酒味が強いからだと思います。

人が誰かに何かを伝える時、
『言葉』の力は3割くらいで、
声の大小、緩急、抑揚、そして所作や表情、感情といった非言語の部分の力が7割なんですって。

つまり3割の『言葉』をいくら工夫しても、7割の部分が師匠に似ているから、白酒っぽいんでしょう。
私がガリガリに痩せていたりするだけで、完全オリジナルになるかもしれません。

とはいえ、この噺に限っては似ているからこそ良いと思ってます。

他の噺とつかないし、落語を初めて聴く人にも分かりやすいので重宝しています。

◎喧嘩指南
あくび指南の小噺を膨らませて一席に。
一応ネタ下ろし。
ほぼほぼ漫才の作り方ですが、10分高座だとそれが気にならないかもしれません。
噺の出来はあまり良くないのですが、評判は良いみたいです。
やはり『珍しい』という花がそう思わせるんでしょうね。

とりあえず未知数。
もう少し整理できたら寄席でやってみます。

◎あくび指南
女の子にモテたい一心で、大好きな吉原にも久しく行かず、稽古事に一生懸命。
そんな男の遅い春を描いてみました。
『お花熊五郎 あくびの馴れ初め』ですね。

と言ってもたいして弄ってなくて、あくびの稽古の他にもう一本軸を作ってみた感じです。
自分の工夫と古典の境目がもう少し自然になればと思います。


次回は6/16。
また大入りになれば大したもんですね。
ちなみに7月はちょいとやりたい事があるので、稽古風景はお休みします。
ぶつくさ。

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