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【最終日】お伊勢参り

これを書いている十一月七日にはもう旅を終えていて、私は朝から実家の布団の上でゴロゴロしている。
ゴロゴロし過ぎて少し気持ち悪いくらいだ。

たくさんの応援ありがとうございました。

最終日。

みたすの湯タオル

朝からスーパー銭湯に行った。
スーパー銭湯行ったんかい、という。
お伊勢参りをする前に身体を清めておこうと思ったのだ。

みたすの湯では今年から(だったかな)積極的に落語会を開催していただいており、私のこともXや旅日記を通して知ってくださっていた。
なもんで、私がタオルを紛失しまくっている事も知っていて、みたすの湯タオルをプレゼントしてくれた。
その節はありがとうございました。
店の外観撮るの忘れました。

伊勢神宮外宮参道を通って外宮へ向かう。

ご存知ない方に申し上げておくと、伊勢神宮は外宮と内宮に分かれており、両方を参拝するのが、まあ一般的なお伊勢参り。(これが正解!というのはない)

道中は世界観を演出する建物が多い。
実際に古いのかはわからない。
地酒。
お伊勢参りが全部終わったらこういうところでクイッと飲みたい。
へんば餅!
これも全部終わったら食べよう。
菊一文字本店。
刃物などを扱っている。
なんだかロマンに溢れていてほんの少し見学した。
老舗旅館の山田館。
昔の山田館。
この構図と同じ風に撮りたかったが、後ろに退がれなかった。

ゆっくり観光するのは後にして、写真だけ撮って外宮に到着。
早速参拝しようと思ったが、お賽銭がないことに気づく。
この旅はほぼ現金を持たずに旅をしていたので、来た道を引き返しコンビニでお金をおろす。
お賽銭もPayPayでいけたらいいのだけど。
まあ飲みたくないジュースを買って小銭を作り再び外宮へ。
炭酸のジュースを飲んだからゲップが出る。
絶対神様の前でゲップしちゃいけない。

火除橋。
観光客も多い。

伊勢神宮の提案する、外宮のモデルコースというのがあって、代表的なところだけ巡る30分コースと、自然を楽しみながらじっくり巡る60分コースがある。
せっかくなのでじっくり60分コースで参拝していく。
青に白数字の番号順に。

普段なら稽古しながら歩くが、今日はなんだか違う。
ちゃんと見て、清い心で姿勢を正して歩く。
これは嘘みたいな話で、お参りするたびに足が軽くなる。

清盛楠。
巨木。
もはや芸術作品みたいだった。
せんぐう館へ。
ここは入場料300円。
博物館のようなところ。
正直展示物の説明を全部読む余裕もないし、恐らく理解もできないのでパーッと見たが、それでも展示物の存在感とか神聖さが味わえる。
外宮正伝原寸大模型は空間作りから圧巻だった。
まがたま池。

ここからは写真をいちいち撮っていいのかダメなのかの確認がめんどくさいのと、ちゃんと真っ直ぐ参拝しようというので画像はほとんどない。
申し訳ない。

外宮正宮、外宮別館と参拝していく。
伊勢神宮はお願い事をしてはいけない、というがこれには諸説あるらしい。
伊勢神宮公式としては、

正宮は公の祈願をお祭りという形で行う場所ですので、感謝の気持ちを天照大御神に伝えるのが古くからの風習です。ですが、決して個人的なことを祈ってはいけないところではありません。個人的なお願いごとは荒祭宮と多賀宮でする、というような地元の風習としての信仰もありますが、どの宮社でもまず感謝をし、次にお願いごとをすれば良いかと思われます。きちんとお願いごとをしたい場合は、神楽殿でご祈祷をあげると良いでしょう。

伊勢神宮公式サイトより

とのことで、私も感謝してからお願い事をした。
「図々しいことは承知ですが──」
と前置きをして。
いくらお賽銭に使ったかもうわからない。

ちなみに、「おみくじやってみて」とXでコメントをいただいたのでやろうと思ったが、伊勢神宮にはおみくじが無い。
「一生に一度」と憧れられたお伊勢参りが大吉でないわけがない、ということだそう。
痺れるな。

一通り外宮を参拝して北御門口鳥居へ。

この場所だ。
これは私の11/23の自主公演『土産噺』のチラシの場所。

外宮だったんだなぁ。
なんだか感動した。
私がこの場所に感動した唯一の人間じゃないだろうか。
60分コースではあったが90分ほど見て回った。

続いて内宮へ向かう。
外宮から内宮へは約4キロ。
もちろん歩く。
もはや4キロなんて大したことない私の足だ。

おはらい町通り。
すっごい和風で着物着て歩きたくなる。

色々見て周りたいが雨がポツポツ降ってきた。
素早く参拝をして、それから観光しよう。

郵便局も和風だ。
もちろん銀行もだ。
赤福!
創業宝永四年!
全部終わったら赤福も食べよう。
赤福ぜんざいなんてのもあるそうだ。
おかげ横丁。

雨がサーっと降ってくる。
小降りでも土砂降りではない。
本当にサーっと真っ直ぐ降る雨。
皆傘をさしている。
「それでちゃんと手を合わせることができるのかい?」
と言いたい。
私はこんな事もあろうかと防水リュックで来てレインウェアを持ち歩き続けたのだ。
無敵。

スタバも和風だ。
ここまで来てスタバ飲んだら尖ってるよな。
宇治橋。

さあ内宮。
至るところが雨で滑る。
『ここまで来て滑って転んだらもう全部終わり』
というルールを作って参拝する。

内宮は60分コースと90分コースがある。
ここは勿論90分コース。
感謝の気持ちを込めて順番通り参拝していく。
レインウェアのフードを被っていたが、拝む時は神様に失礼のないようキチンと脱いで感謝とお願い事。
二礼二拍手一礼をやり過ぎて、後半はめちゃくちゃ形が良かったと思う。
高座百遍みたいな。

色々写真を撮って皆さんにも色々お伝えしたかったが、雨でスマホがびしょ濡れで反応しない。
そもそも私自身が雨で顔を上げられないので景色を見ることができていない。
申し訳ない。

が、撮影スポットの風日祈宮橋だけ撮った。

綺麗な気がするけどよく分からないというのが本音じゃないだろうか。

一通り参拝をして、残るは18ヶ所目の大山祇神社・子安神社一ヶ所のみ。
雨で観光客のいなくなった薄暗い内宮を歩く。
しばらくはザクザクと砂利を踏む音だけが聞こえていたが、
その内に遠くで17時を知らせる夕焼け小焼けが聴こえてくる。
不意に、

「お兄さんどこ行くの!」

伊勢神宮の警備の人に止められた。
驚いたが冷静に、スマホを開いて指を指す。

「この大山祇神社・子安神社という場所に」

と答える。
そしたら、

「もう5時だからお終いだよ!」

え? どうゆうこと?

「どうゆうこと?」もなにもそのままの意味。
そう、時間切れ。
私は最後まで参拝できなかった。
外宮の営業時間が18時だから内宮も18時のつもりでいた。
しかし内宮は山の中ということもあり、10月から12月の間は17時までの営業らしい。

「あと一ヶ所だけっ。東京から歩いてきたんですよ」

思わず言ったら、警備の人が観念したように、

「お兄さん、礼拝って知ってる?」

と。
礼拝──遠くからでも神様の方向を向いて拝めば、目の前に行かなくても、目の前に行って拝むのと同じ意味があるらしい。

そんな馬鹿な。
じゃあ各所をめぐる必要ないじゃないか。
とか思いつつも、ゴネても何も変わらない事はすぐに分かった。

「礼拝の時間だけとってあげるから」

神社のある方に向かって礼拝。
丁寧に二礼二拍手一礼。
これで私のお伊勢参りが終わった。
しかしなんだこの幕切れ。
不完全燃焼。
とはいえ最後の大山祇神社・子安神社は、
伊勢神宮公式がオススメする60分参拝コースには入ってないし(急ぐなら回らなくてもいい神社)、山の守り神と安産祈願の神社という事であまり私には関係ない。
それに礼拝は目の前で拝むのと同じ意味がある。
だけど、「よし全部終わった!何を思う?」とはならなくて、
お伊勢参りを終えた率直な感想は、

達成感も何もない。

でもこれは『最後の一箇所を回れなかったから』という単純なものではない気がする。
悔しさがないから。
この時はよく分からなかった。

気持ちを切り替えて、おかげ横丁へと歩き始める。

「美味しい物を食べたら何か思うかもしれない」

と内宮を出たら、赤福も土産屋も居酒屋もスタバも、店という店は全部閉まっていた。
内宮とおかげ横丁の営業時間は何故かキッチリ一緒。
あれだけいた観光客も皆いなくなり、暗い街に1人ポツン。

雨降るわ一箇所回れないわ観光できないわ、御利益ねぇなと思った。

外宮と内宮で開運鈴守を買ったのに。
合わせて持っておくと良いんじゃないのかよ。
雨の中暗い中、常夜燈だけはポーッと明るかった。

そういや、旅を終えたらビールを飲もうと、何日目かの日記にも書いた。
美味しいものは食べられなかったが、コンビニはいつだって開いている。
一本だけ買ってプシッと開けてグビっと飲んだ。
相変わらず苦手な味だった。

しかしながら、旅を終えた感想が「達成感も何もありませんでした」じゃ寂しすぎる。
応援してくれた皆さんに申し訳がない。
一生懸命笑顔を作って、何枚も写真を撮った中から、満足そうな顔を選んでXに載せた。

我ながらいい笑顔。

しかし感謝の気持ちは本物です。
長らく応援ありがとうございました。
皆様のおかげで最後まで歩き切ることができました。
今回の旅の経験が落語に活かせるよう精進します。

本当にありがとうございました。

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