【１３日目】ワリ

これが何だかお分かりだろうか？

たまに個人のブログやTwitterに載せている師匠もいらっしゃるのでご存じの方もいるかもしれないが、これは『ワリ』というもの。
所謂、寄席の出演料だ。
この見たことないサイズの茶封筒に現金が入っている。
↑の画像のものだと「浅草演芸ホールの」「3月上席の」「あられの」「十日分の」ワリが入っていることがわかる。

前座の給金

厳密には前座のワリは『ワリ』とは言わない。
一日働いていくらという『給金』だ。
で、前座の給金なんてたかが知れていて、最初の一年は交通費でほぼ無くなる額しか貰えない。
仕事も貰えないので貯金を切り崩しながら生活する。
1年経つと給金が交通費＋牛丼一杯分くらいの額を貰えるようになって、2年経つと交通費＋牛丼大盛くらいの額になる。

「ブラック過ぎない？」

なんてことを言う人がたまにいるが、
前座はあくまで修行させていただいている身。
師匠方の側で勉強させていただくことが何よりの給金なのでブラックではない。

限りなくブラックなグレーだ。

塵も積もれば山となる

前座一年目の頃は本当にしんどかった。
「貯金が尽きたらどうしよう？」なんて思ってた。
で一年経って給金が上がって「やったー！」と思ってたらコロナで寄席が休業したり、再開しても感染症対策で前座は毎日寄席に来なくてよくなった。
一番給金が安い時にがむしゃらに働いて、給料上がったら休まされるという……。

「楽屋入りすると皆ご馳走してくれるから食うには困らない」

そう聞いていたが「こういう時期だから」とか「師匠方に感染させたら終わりだから」と誰もご馳走してくれない。
仕事は無いしバイトもできないし、給付金なんて『前年度の収入との比較』で貰えるもので前座になりたてだったからほとんど貰えない。

しかしそんな苦しい生活の中でもこの前座の『給金』を一度も使わずに貯めてたら面白いんじゃないか？
すごく誰かに誉めてもらえるんじゃないか？
なんて思って、前座生活の約四年間一度もあの変なサイズの茶封筒を開封せずに貯金してみた。

好きなだけほめてくれ！

四年間一生懸命働いて貯めたワリ。（幾代に四回会えちゃう）
でこれを全部開封したら池袋の特選会が二十回できるくらい入ってましたわ。

大量のゴミ

全て開封したら大量の封筒ゴミが出た。
これ何かに使えないか？ 
ということで、

色々書き足して前座さんへのポチ袋にした。
よくわからんがエスディージーズに配慮していると思う。

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１３/４０　池袋演芸場　三日目
【ん廻し】
土曜日が凄く良いお客さんだったので、今日も大丈夫かな？と飛び道具の噺をやりましたが間違えました。
ダメージがデカすぎて高座降りてすぐ眠くなりました。
そういや先週の日曜もくらった。
日曜は気合い入れちゃダメなのかもしれない。

ちなみに早口言葉が言えた時のサゲもあります。