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【十九日目】津〜伊勢

もうすぐ旅が終わる。
皆、旅が終わるのを「少し寂しい」と言ってくれる。
それほどこの旅日記を楽しんでいただけたということだろう。

元々この旅日記も毎日書く予定ではなく、何日か分をまとめて書く予定だった。
ただ思いの外反響があったので毎日書くことに。

私としては歩くことはもちろん、これを毎日書くというのもなかなかハードで、
そして書いたことが意図してない風に伝わったり(文章力の低さや、想定外のところまでこの旅日記が広がっていて、全く私を知らない人への配慮ができてなかった)また、書くことで悪目立ちしている側面も出てきたので、正直なところこの旅日記に関して私は寂しさはなくて「やっと終われる」という感じが強い。
自分で書き始めておいて「なんでこんなことしなきゃいけないんだ」と思ったりもした。

でも書いてて良かった。
どうしてかの説明は、まあしない。

お伊勢参りとは違う、別の達成感を得られそうな感じがする。

十九日目。

駅伝の為の通行止め看板。

ネットカフェで一泊した。
疲れは取れてないだろうなと思ったけど、思いの外快調。
朝の内に前日の旅日記を書いて、いつもより早めに宿を出た。

朝の10時頃から街が色めき立っている。
至る所に警察や警備員がいて、沿道には赤いスタッフジャンパーを着た学生さんがいて、時間が経つにつれて見物も増えてくる。

本日は全日本大学駅伝。
名古屋の熱田神宮から約5時間かけて106.8キロを走るそうだ。
これはとんでもない速さ。
106キロなんて私なら毎日8時間近く歩いて四日かかる。
──と言うと、ここで皆さんは「駅伝選手ってやっぱ凄いな」と思うかもしれないが、
駅伝選手が凄いのは勿論だけど、ここで讃えるべきは、駅伝選手でもないのにこの距離をリレーもせず歩いている私だ。

ここ津市は第七区。
終盤戦。
ゴールの伊勢に向かって私も歩く。
あと少し。

雲出大橋からの景色。
ここを走るのは気持ちいいだろうな。

この旅はずっと快晴だったが今日は曇り空。
ランナーにとっては曇りと快晴はどちらがいいのだろうか?
私は快晴の方がテンションが上がる。

ザ・規制。

しかしありがたい。
何がって、駅伝の話題で色々書ける。
写真を撮って進行状況を伝えながらものを書くって結構難しいのだ。
今日はだいぶ書きやすい。

先導車。
先生がフラッグを持つ生徒さんに指示をしている。
盗み聞きすると、

「あと15分程で先頭がくるから、旗しっかり持って」

みたいな事を言っていた。
あと15分で先頭が来るのか、と思いながら私は、お腹が減ったのでランチバイキングのお店に入った。

アビィロード。
和と洋のいろんな料理が食べ放題。

あんまり食べすぎると歩くのに影響出るなぁと思いながらも、料理がどれも美味しかったので腹パンパンにして出たら、
駅伝が終わっていた。
警備員も見物もみんな居なくなってる。
え? っていう。
いやそりゃそうなんだけど、普段駅伝を見ないし、「交通規制気をつけてください」と散々言われたので、結構長い時間やってるもんだと思っていた。
見物してから飯にすりゃ良かったかな。
まぁでも、中継じゃ見れない支える側を見れたので満足だったりする。

松阪に到着。
松阪牛が有名なだけあって、街の看板は肉が多い。
なんだろう、回転焼肉って。

つわものどもが夢の後。
あとでまとめて回収するのか、道の至る所にコーンや看板が置き去りにされている。
しかしこうして駅伝の看板の写真を見ることなんてあんまりないんじゃなかろうか。
看板マニアには貴重な一枚かもしれない。

↑の写真は何かというと、まだまだ松阪なのに伊勢の赤福の広告がめちゃくちゃ出されている様子。
伊勢までずーと電柱に広告が出てる。
四日市の長餅とか池鯉鮒のあんまきとか、やっぱりあんこって名物になるんだなぁ。

あんこって食う人の体調に思い切り左右される感じがする。
めちゃくちゃ食べたい時とそうでない時の差が激しい。

へんば餅なるものも見つけた。
調べてみたらこれも伊勢名物であんこの餅。
見た目は饅頭。
近鉄山田線。
帰りはこれに乗って実家に帰る。

しかし松阪は廃墟が多い気がする。
大通り沿いに何軒も見かけた。
土地が広いから、壊すよりも新しく別に立てちゃった方がいいということなのだろうか。
廃墟を見るとワクワクする。

パチンコ屋の廃墟。
入ってみたい。
レンタルビデオ屋の廃墟。
他にも携帯ショップやカレー屋?の廃墟もあった。

もう直ぐ伊勢。
ここいらで母親に電話。
「明日帰るから。東京から三重まで歩いてきた」
と言ったら。
「何でそんなことしてんの?」
と言われた。
落語を知らない人やなんかの反応は大体みんなこんな感じ。
説明も難しい。

伊勢市に入る。
18時から雨の予報が出ている。
この旅はずーっと快晴。
とうとう降るのか、と。
しかし雨が降るより先にホテルに着いてしまえば私は晴れ男のままでいられる。

宮川駅。
久しぶりに駅を見た気がして撮った。
もぬけの殻、みたいな。
切符とかはどうするんだろうか。
宮川橋。
狭いのに車が前後から来て、白線もなく、真っ暗で、歩行者は結構困る。
しかしここを越えればもうすぐホテル。
橋を渡り切ってすぐの桜の渡し跡地。

↑の写真の左下『おかげ参りをした犬 おさん』としてある。
昔は病気などで街を出ることができない人は、代わりに犬にお伊勢参りをさせたんだそう。
なのでお伊勢参りの浮世絵にはところどころ同じ犬の絵が描かれている。

犬えらいな。
俺が犬だったら野生化するなぁ。

ホテルの近くまできた。
まだ雨は降らない。
これは晩飯いけんじゃないか? とマップを見ている時に気になった『ホビーカフェガイア』に行ってみることにした。

看板を見て分かる通り、プラモを作れる工房とカレー屋が一緒になっていて、
店内には至る所にプラモやフィギュアが置かれている。
私もプラモは好きなので思い切って入ってみた。

スゲー。

これがオタクの心をくすぐってお店が高評価なんだな?
と思ったらメインのカレーも美味いのなんの。

キーマカレーにスクランブルエッグトッピング。
美味い。
でもプラモ作れる人だったら説明書読めるわけだし、そら料理も上手いのかと腑に落ちた。
他にも色んなカレーがあったので食べてみたい。

外に出て18時半。
まだ雨は降らない。
良かったーと思ってたらホテルの入り口、あとほんの数メートル手前でポツポツポツと両手で数えられるくらい雨を被弾した。
「うーわ」
晴れ男記録が潰えた。
明日は夕方から雨の予報。
こうなったらびしょ濡れになってもいい。

ホテルに到着したら実質旅は終わりで、後はお伊勢参りを残すのみ。
今のところ何の実感も湧かなくて、予感としてこのままふわっと終わる気がする。


支出

ランチバイキング 1250円
ポカリスエット900ml  179円
スポーツドリンク2ℓ  149円
経口補水液 214円
ガイアカレー 1100円
宿代 4895円

計7787円

反省

  • 飯を食って駅伝を逃し、飯を食って雨に被弾した
    飯食わなきゃよかったか?

  • 銭湯に行って足をケアしなかったからか、両ふくらはぎこむら返りした
    旅が終わりだからとケアを怠らないほうがいい

  • 様子のいい飯屋の写真をいくつか撮ったが載せると長くなるのでやめた
    だけどやっぱり載せちゃう

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