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令和五年九月十六日 第三回扇太黒酒二人会『黒船来航』於・新宿Fuー+

9/16は扇太黒酒二人会『黒船来航』。
いつか浦賀で開催できないかと企んでいる会です。

いつも自分主催の公演ではネタ下ろしをしておりますが、
九月中席が、志ん生没後50年、馬生没後40年、
志ん朝23回忌、圓菊13回忌、
の追善興行で、そして何より、
雲助師匠の人間国宝認定記念興行でもあるので、

「こんな興行は2度とないぞ」

と、自分なりに盛り上げようと五日間の出番で三席ネタ下ろしをしました。
振り返った時に「大変だったな」と思い出深い興行になったと思います。

ってなわけで、そっちを頑張りすぎて、黒船来航でのネタ下ろしは間に合いませんでした。

今回はネタ下ろししたばかりの三席+一席と扇太兄貴二席、計六席という変則的な構成で。

◎長屋の算術
これは他の会でもそうですが、オープニングトークの後に噺をやる場合、
相当盛り上げておかないとどこかお客さんも硬い気がします。
もしかしたらトーク無しでさらっと始めた方が笑いやすいのかもしれません。

【長屋の算術】は噺の流れ、構成はほぼ完成したので、
後はブラッシュアップしたり壊したり、70点くらいのくすぐりを75点、80点と上げていく作業ですかね。

◎首や
雲助師匠曰く、

小品ながら下げのよく利いた噺。あたしの師匠ので首を切られる支度をする時にうなじの後れ毛をかき上げる仕草がやけにシリアスでかっこよかった。あたしが前座二つ目だった頃の昔に、今の川柳さんが池袋演芸場あたりでお客の入りが薄いとこれを演っていました。当時の楽屋かるたに「ウスいと首屋」と云うのがあったほどです。

雲助根多控え

とのこと。
以前から「貫禄がある」とよく言われるので、
10分高座でできる武士の噺を探していて【首や】に辿り着きました。
正直ウケなくてもいい噺なので、新宿の、どうやってもウケない日の切り札になりそうです。

◎しの字嫌い
噺がしっかりしているので、工夫しづらいですね。
また、工夫した所で評価も上がらなそうです。
間とか表情でどこまで底上げできるか、みたいな噺だと思っています。

途中「すいません」と会場をノックされたので噺を中断してしまいました。
終演間近だったので、3時間半の会場レンタルを、間違えて3時間にしてたのかな?
と思ったんですよね。
その人は少し顔を覗かせてすぐに帰ったのですが、なんだったんだろう?

◎ふたなり
この噺については、以前書いた通り。

前座になったら絶対覚えようと思っていたのだけれど、寄席でも落語会でも滅多にかからない。
当代の馬生師匠がごく稀に寄席でかけるが、直接聴いたことがないし、珍しい噺なだけに「教えてください」というのも憚られるので、どうしようかな? と思っていました。
そしたら雲助師匠が人間国宝になったことで、
雲助師匠の珍しい噺がYouTubeにいくつかアップされ、その中に【ふたなり】がありました。
これがめちゃくちゃ盗み録りなんですが、雲助師匠が「消える前に覚えちまえ」と言ってくれたので覚えました。
盗み録りさまさまですが、本当はいけないんだぞ。

志ん生師匠の【ふたなり】はサゲ前の勘違いよりも、大きい人を押すところが面白かったんですが、
ここで笑いを取るのはめちゃくちゃ難しいです。
今の自分にはちょいと無理ですね。
どうにかしたいです。



まあ4席やったわけですが、不完全燃焼と言えば……そうです。
合計1時間近く喋りましたが、【やんま久次】や【死神】を一席やる方がまだ疲れます。
疲れりゃ良いってもんでもないですが、いつも落語会の後はへっとへとになっていたので、
余力を残していることに罪悪感のようなものを感じました。
やはり感情が乗るパワー系の噺がやはり好みですね。
ぶつくさ。

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