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【37日目】歌舞伎から映画

「歌舞伎は落語の参考になる」というのはどのベテランの師匠も言う。
観てて私もそう思うのだけれど……

いや高いだろ!

木戸銭が。
落語もコロナ以降高いけど、サブスクやなんかで見放題だったりするので勉強しようと思えばいくらでもできる。
そこいくと歌舞伎は配信でも結構なお足で、それはしょうがないことなのだろうけど何度も何度も繰り返し鑑賞するというのは懐に厳しい。

だからというわけじゃないだろうが、若手の師匠方(50代前後)は「映画は観た方がいいよ」という。
ウチの師匠白酒もそうだ。
白酒から話しかけられることなんて滅多にないので、話しかけられたことは大体覚えているのだけれど(気持ち悪)
前座になって間もない頃にぎわい座の楽屋で

「映画とか観るの?」

と話しかけられたことがあった。
「観ないです」と答えたら、

「ウチの掃除が無いぶん他の前座よりも時間があるんだから映画を観なきゃダメだ」

と小言を言われた。
映画観てなくて小言言われるのかよー、と思いつつも変なエンジンがかかって、
それから毎日映画を観て、その感想文をノートに書きまくった。(もう感想文書くのはクセ)

しかしその後師匠から「映画観てる?」と聞かれることもないので、毎日観るのは苦痛過ぎてやめた。
とはいえ完全に観なくなるのも極端すぎるので、週一で映画を観る習慣を作った。
そしてその感想を友人と喋るラジオを一年半もの間YouTubeにアップしていた。
映画は週一くらいで観るのが一番楽しい。

映画は歌舞伎やなんかの美しい所作なんかは学べないけれど、表現の勉強には確かにちょうどいい。
しかも手軽に観れるのに、予算のかけ方も時間のかけ方も歌舞伎に負けず劣らず。
それに昔と違ってお客さんも歌舞伎に詳しいわけじゃない。
人間国宝も芝居は観ないと言っていた。
落語の為の勉強も時代と共に変わってきているのだと思う。
今後も変わっていくんじゃないかな。
自分が「師匠」と呼ばれる頃には前座さんに、

「YouTube観なきゃダメだ」

なんて小言を言うかもしれない。

余談

白酒が出演していた映画『ツユクサ』も勉強のために観た。
映画館に来ている人達みんなが皆『桃月庵白酒』を知っているわけではないのに、
登場するだけで映画館がワッと揺れていたのでやっぱりウチの師匠は変なんだな。
あれはなんていう髪型なんだろう。


37/40 新宿末廣亭 七日目
【真田小僧】
真田小僧を後半だけやりました。
「尖ってる」とよく言われますが、後半の方が面白い気がします。
もう少し工夫すれば寄席での定番にできそうな感じ。

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