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【34日目】黒酒ぶつくさ2

先にコチラを読むと繋がるかも。


もう、ため息が止まらない。
自分のメンタルの弱さというかふがいなさというか、そういうものに呆れて。
外は四月なのに寒くて、雨が降ってて、やたら風が強い。
現在令和四年四月四日午後十時三十分。
今、地震で少し揺れた。

令和四年四月四日 於・PLEASURE PLEASURE

◎つる
2022年の4月で桃月庵白酒が芸歴30周年を迎える──ということを知ったのは渋谷にあるPLEASURE PLEASUREの楽屋に入ってから。
お客様方にお配りするリーフレットに書いてあった。
二ツ目昇進も発表されたし30周年だし、開口一番はめでたい噺が望ましい。
「めでたい噺……つるか松竹梅かな」と持ちネタのメモを開いたら【新版三十石】という字が目に飛び込んできた。
雲助一門の飛び道具といわれるネタ【新版三十石】。
雲助師匠、ウチの師匠、白浪兄さんがたまにやって、馬石師匠が2、3回やってやらなくなった【新版三十石】──龍玉師匠はやるのだろうか。
随分前に覚えたものの、ネタ尺は10分もないしそもそもやる機会もないしでほったらかしにしていた。
だけど30周年で三十石は洒落てるなと思い、開演まで時間があるし稽古することに。
ネタおろし、やれそうなやれなさそうな。

開演10分前。
「何やるの?」と師匠。
「新版三十石を……」と言うと、新版三十石をやらないといけなくなるので「まだ決めてません」と答えた。
頭の中では新版三十石を繰り返している。
500mlのお茶を一気に飲み干した。
【新版三十石】こうして文章を綴るとすごく大ネタのように聞こえるが究極にくだらないネタ。

二番太鼓が鳴って出囃子が流れる。
高座に上がってマクラをダラダラ喋り始める。
新版三十石はネタ尺が短いのでマクラを長めに喋らなくちゃいけない。

出番前に「何分やればいいですか?」と師匠に聞いてみた。
普段は聞かない。でも「今日短めで頼む」を期待して聞いてみた。
「15分でいいよ。もっとやってもいい」と仰る。
二ツ目になるしやりたいネタがあるんだろうと気をきかせてくれたのだと思う。
もう、師匠。

結局ビビッてやり慣れた【つる】をやった。

【新版三十石】をやらなかった自分にがっかり。
【つる】をやりながら「何やってんだかっこ悪い」という思いが強くなりすぎて非常に出来の悪い【つる】になった。
前座なんだし失敗してもいいのにな。

仲入り休憩中、幕は閉まらない。
無性に悔しくて「この休憩時間で一席やってきていいですかっ!?」と言いそうになったが、なんというか、そういうのはヤバい。
刻一刻と仲入り休憩が終わるのを、時計の針を見て過ごした。

午後十一時三十分。
ため息は止まった。
このnoteに吐き出したから。
今日の恥を忘れない。
令和四年四月四日、四が並んでいて覚えやすくて忘れにくい。ぶつくさ。


34/40 新宿末廣亭 四日目
【寄合酒】
なんというかヒリヒリしない感じがする。
時間帯もあってサラッとやってサラッと降りてる。
しかしそれはそれで寄席の出番を全うしていて良い気もする。
サゲが味噌じゃないパターンで無理矢理喝を入れてみたりした。
んー。
浅草で燃え尽きたのか?
九日目頑張る予定。

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