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令和五年八月十九日 第三回黒酒八楽二人会『968』於・スタジオフォー

いつもより早い時間の開演で客入りを心配しておりましたが、
今回もたくさんご来場いただきありがとうございます。
この会は当日のお客さんが多くて嬉しいですね。
紙切りの親しみやすさでしょうか?

◎死神
こういう各々の工夫が注目される噺は、余計なことをしないスタンダードが結果的に一番強くなる気がします。
変化球ばかり投げた後のストレートが速く感じるのと一緒、ですかね。
これは【時そば】をやった時に感じたことです。

とはいえ、私も【死神】を教わった通りにはやってません。
勢いとか迫力をマシマシにしてます。
それから呪文のボケを二度三度言うのが恥ずかしいので、言わなくていいよう工夫しました。(工夫というほどでもないですが)
あとは『死神はなぜ呪文を教えてくれたのか?』の理由付け。
スタンダードの範囲で色々と。

春の噺で桜が出てくるのでオールシーズンやれるようにも工夫をしたんですが、それは抜けて桜を出しちゃいました。

前座の頃は白酒版笑える死神を教わろうかと思っていたんですよね。
あれをちゃんと教わってできるのは自分しかいないんじゃないか? と。(主に体型的に)
ただ、師匠の工夫の強い噺はそのままやるとパクった感じが強く出るし、自分の噺にするには相当手を加えないといけないし、
また最近は、私に限らず『師匠らしさ』を引き継いで喜んでくださるお客さんも少なくなってきたように感じます。
芸の幅を拡げる意味でも、雲助版怖い死神を覚えることにしました。

とにかく久しぶりの高座で、声のトーンが少し高かったように思います。

◎短命
二ツ目の披露目初日でやって以来ですね。
自分でやっていて『いやらしさ』というのはあまり気になってなかったんですが、
初めて落語を聴くお客さんが多い会で【短命】をやった時、
主催の方から「次回はちょっとそういう噺は……」と言われたので、少し気をつけてみました。
昔から言われている「若いと生々しくなる」というやつですかね。
なので漫画チックに、少しふざける感じでやりました。
八五郎が恥ずかしがるのもいいかなと。


さて、八楽との二人会も長く続けております。
前座の頃から長く応援してくださっているお客さんもいれば、
離れていったお客さんもいて、
でもそれ以上に新しく応援してくださるお客さんがたくさんいて、
これがなんだか面白いです。

変わらない良さがあるから変わらず応援してくれている人がいて、
良くないところが出てきたから離れる人がいて、
良いところが増えた、伸びたから新しい人との出会いがあるということでしょう?

それが全てというわけじゃないでしょうが、この考え方がわかりやすくて良いです。
今停滞していないことは分かるので。


今月で入門6周年。
その最初の会で縁起の悪い噺二席をお送りいたしました。
そんな天邪鬼野郎なんで全部の気持ちに100応えることはできませんが、永くお付き合いいただければと思います。
ぶつくさ。

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