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【十二日目】浜松〜湖西

落語の為、自分の為にお伊勢参りをしているわけだが、
現時点で落語にとってマイナスの要素がいくつか出てきている。

まず、声が出ない。
毎日稽古しながら歩いているので声を出してはいるのだけれど、人と喋るときにスッと声が出ない。
一度喉で引っかかる感じがする。
疲れからくるものか。
人と会話しなさすぎて、
「オレ、トモダチ」
みたいな、ゴーレムレベルの会話しかできなくなるかもしれない。

次に正座ができない。
膝と足首が硬くなって、ちゃんと座れていない。
これもそのうち治ればいいが。
また、足に筋肉がついて、正座心地も変。
慣れが必要。

最後に、噺家の匂いがしない。
ある師匠は「芸人の匂いが消えるから」というんで弟子にバイトをさせないのだそう。
みたいなことで、なんか噺家の匂いがしない。
見た目がなんか、日焼けして、柔らかさがなくなって、無骨すぎるというか、浪人というか。
東京帰ったら戻るのかコレ。

以上。
声、正座、噺家の匂いの三つが失われつつある。

いや致命的だろ。

十二日目。

昨晩、浜松に着いた時は「おしゃれな街だな」と思ったけれど、
少し駅から離れたり路地に入ると、古い街並みが残っている。
発展しているところと発展してないところの差が激しいというか。
今変化している最中で、10年後にくるとまた違った街並みかもしれない。

しかし今日も暑い。
ずっと好天に恵まれている。
箱根や夜の薩埵峠で雨が降ってたら心折れていただろう。

今日は古見のホテルを目指す。
東海道五拾三次通りに行くならば白須賀に向かうのだけれど、白須賀には宿がないのだ。

途中、ざぼんというお店を見つけて入る。
別に寄りたかったわけじゃなく、この辺りのお店にしては珍しく店の駐車場が満車だったからだ。
流行ってんだな、と。
中に入ったら順番待ちがいるほど混んでいた。
tvでも紹介されたお店らしい。

落ち着いた店内。

席に案内されて、メニューを開いてわかった。
人気の理由はこれだな。

とんでもない種類のパフェ!
色々検索して見たらなかなかのデカ盛りでびっくり。
おおきなお山パフェは1人で食べたら死んじゃうだろうな。

まぁグラタンを頼んだ。
甘いものの口じゃなかったのだ。
つまらない男と罵ってもらってもいい。

「ホワイトソースを切らしておりまして……」

グラタンを阻止された。
そうなると食べたいものがない。
じゃあ今日は暑いのでかき氷のフルーツスペシャルを頼んでみた。
甘いじゃねーか。

いやかき氷もデカいのかよ。
デケェし冷てぇ。
1時間超格闘して、まだほとんど歩いていないのにもう14時を回ろうとしていた。
スーパー銭湯に行く予定はキャンセル。

途中、ドンキホーテに寄って失くしたスマホの充電器を買う。
宿代一泊分吹き飛んだ。

ひたすら西へ。
ホテルへ向かう前に寄りたいお店がある。
そう、浜松と言ったら鰻屋。
俺でも知ってる。

昔のうなぎ屋。

浜松まで歩いてきて、ちゃんとした鰻屋さんで、手銭で鰻食うことなんてないんだから5000円くらいまでなら出そうと決めて入った。
お客さんが誰もいないのかと思ったが、奥の間があってそこにみんな居るらしい。
恐る恐るメニューを開く。
ほっ、どうにかなるレベルで良かった。

鰻丼と肝串。
いやー、分からん。
自分の舌をそこまで信用してない。
多分美味いけど値段のこととか考えると分からん。
そういうこと気にしなくなった時が売れた時かな。

しかし、鰻よりも鰻屋という店のことの方が勉強になった。
なんか乙なことしたいなと思ったら、そら鰻屋行くね。
秘匿感がある。

鰻を食べて舞坂へ。
ようやっと日が沈む瞬間を撮れた。
いつもいつの間にか真っ暗になってるからな。

旧東海道舞坂宿松並木。

舞坂は良い。
ちゃんと遺してくれている。
この松並木ただの松並木でなく、松の木の側には、

東海道五拾三次の浮世絵を銅板で置いていたり、

これは兎の石像。

十二支の可愛らしい石像を置いていたりする。
十二支の石像の意味はよく分からないが、そういうことをしてくれるのだ舞坂は。

もう見るものはないかな、と急いでホテルへ向かっていると、

舞坂でお祭りがやってた。
ピーヒャラピーヒャラ聴こえる。
ここで「知らん」と言ってホテル向かったらヤバいだろ。
なんで旅してんだよ、となる。
見なきゃ。

調べてみたけどなんの祭りちょっとハッキリしなかった。
だけど良い祭りだった。
外に向けた祭りというか自分たちが楽しむ祭り。
町内の老若男女が集まって、みんな揃いの法被着て、で沿道の家はどこも縁側の戸を全開にして宴会をしていて皆笑ってる。(本当にどこもかしこも宴会をしていたが、さすがに人の家は撮れない)
踊りを頑張った子供達にお菓子を配ってる感じとか、若者同士が喧嘩してオジサンが「祭りだ祭りだ」と言ってるのとか、「あそこに○○先生いたよ」と普段見ない先生の法被姿になんか言ってる女子生徒とか、どれもこれもキューッとして泣きそうになる。

浜名橋。

今日は良いもの見たな、と弁天橋渡って浜名橋渡って新居宿(荒井宿)に入ったら、今度は新居関所。

観光名所多いな。
流石にお腹いっぱい。
なんだけど「もう二度と見られないかもしれない」と思うとやっぱり見とかなきゃ行けないだろう。

関所、かな。
なにぶん暗くてどこがどこだか……。
昼間だったら見学もできるっぽい。
私は「全部箱根と同じだから見なくて平気」と自分に言い聞かせた。
大御門。カッコいい。
高札。
宿場の法令とか、そんなんが書いてある。

他にも関所周辺には古めかしい建物がいっぱいあって、昼間だったら結構楽しめるんじゃないだろうか。

しかしなんだか盛りだくさんな一日だった。
21キロしか歩いていないのに21時を回るとは。

ちなみに新しい噺の稽古も毎日やっている。
足が痛すぎた時はサボったこともあったが、今は毎日。
もうすぐ全部空で言えるようになる。
12日でこれだったら割と早いかもしれない。
もう一席覚えたい。


支出

かき氷フルーツスペシャル 860円
充電器(せっかく買うなら以前から欲しかった2ポート)3989円
鰻丼 2600円
肝串 600円
デイリーヤマザキ(プロテイン2本、パン、肉うどん)898円
宿代 6390円
洗濯乾燥 300円

計15637円(3日分やん!でもしょうがない)

反省

  • 早くホテルに着きたいから後半雑に見た
    じっくり見ないと意味ない

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