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「急がないけど重要な仕事」を進める4つのポイント

先日、ツイッターでこんな引用RTをしました。

「リプないな~」と思っていたら…きた!

「社員じゃん」と思いましたが(笑、せっかくなので、ありがたく書いてみます(サクラではありません)。

「急がないけど重要な仕事」とは?

ご存じの方も多いと思いますが、「急がないけど重要な仕事」の背景になっているのは、「7つの習慣®」で有名な「時間管理のマトリックス」の考え方です。本題に入る前に「時間管理のマトリックス」と「急がないけど重要な仕事(第2領域)」の考え方を簡単に紹介します。

時間管理マトリックスは、書籍『7つの習慣』で紹介された時間管理の考え方です。時間管理をするためには、優先度の高い物事から順番に対応していく必要があります。

しかし、人は緊急なことや自分が得意なこと、目についたことを優先してしまう傾向があり、結果的にプロジェクト全体の進みが遅くなったり、納期に間に合わなくなったりするケースも少なくありません。そこで、物事の優先順位を適切に判断する方法として利用できるのが、時間管理マトリックスです。

時間管理マトリックスでは、「重要性(物事の効果性や本質に関わるどうか)」と「緊急性(早急な対応が必要か)」の2軸を使って、タスクを以下4つの領域に分類します。

⇒緊急で重要なもの
⇒緊急ではないが重要なもの
⇒緊急だが重要ではないもの
⇒緊急でも重要でもないもの

「時間管理のマトリックスとは?緊急度×重要度の4象限への整理で生産性UPを実現!」より
時間管理のマトリックス
「仕事を緊急性と重要性で分類する」

<時間管理のマトリックスにおける4つの領域>
第1領域:緊急かつ重要
第2領域:緊急ではないが重要
第3領域:緊急だが重要ではない
第4領域:緊急でも重要でもない

第2領域は緊急性が低いので後回しにしてしまいがちですが、長い時間軸で考えた際、本当に時間を費やすべきなのは第2領域です。

第2領域を実施することで、自分自身を高いパフォーマンスを発揮できる状態に維持する、仕事しやすい環境をつくる、第1領域の仕事が減るといった効果があります。したがって、非常に重要度は高く、優先順位を高めて必ずスケジューリングするべき活動が第2領域に当てはまります。

「時間管理のマトリックスとは?緊急度×重要度の4象限への整理で生産性UPを実現!」より

上記で引用しましたが、時間管理のマトリックスについては、以前に解説を書いていますので、ご興味あれば下記をご覧ください。

しっているか?しているか?

時間管理のマトリックス、第2領域の話は、多くの人が「知っている」話です。でも、実践するのがなかなか難しい…。私が勤めている研修会社ジェイックでは、「 “しっている” と ”している” 、この小さな “っ” の違いが大差を生み出す」などと言ったりします。「第2領域に時間を割く」ということも、分かっちゃいるけどできない…の典型的なひとつだと思います。

私も完璧に出来ているわけでは全くありません・・・。ただ、「7つの習慣®」を学んで10何年。「7つの習慣®」のインストラクター資格なども持っている身として、普段から第2領域の時間を確保するために心掛けていることがいくつかありますので、以下で紹介します。

「急がないけど重要な仕事」に時間を割く4つのポイント

  1. 小さなNoを言う ⇒「大きなYesを持つ」

  2. 忘れない ⇒ 「第2領域を見える化する」

  3. “夢に日付を” ⇒「第2領域の第1領域化」

  4. 第2領域の仕事は大きい ⇒「岩を砕く」

ポイント① 小さなNoを言う ⇒「大きなYesを持つ」

第2領域の仕事に取り組むためには「時間」が必要です。言い古された話ですが、1日は24時間1440分は誰もが平等です。いまの時代、「残業で何とかする」というパワープレイを続けるわけにもいきません。

そうすると、時間を捻出するうえで重要なことは「第3領域(緊急だが重要ではない)の仕事を削る」ことです(なお、時間生産性 ⇒ まずは業務スピードを向上させる!というのは大前提です)。

ところが、第3領域というのは、「(無意味な/効率悪い)会議」「(以前から続けられている)組織のルーティン/ルール」「(重要度が分からないけど)誰かの依頼」だったりすることも多いわけです。これらに流されるのではなく、「No」をいう必要があります。

しかし、「No」を言う、つまり断ることは、誰かを傷つけたり、嫌な顔をされたりする可能性も多々あります。だからこそ、心優しい人ほと、「No」を言えなかったりします。

ここで、小さな「No」を言うのに重要になるのが、大きな「Yes」を持つことです。急がないけど重要な仕事に割く時間を捻出する、小さな「No」を言うためには、「自分は何を成し遂げるのか?」「それは組織にとってどんな意味があるのか?」を明確に思い描くことが大切です。

第3領域に時間を割くことは、中長期でみると、自分も、組織も、顧客も、誰も幸せにならない可能性が高かったりします。でも、小さな「No」を言うと、目の前で小さな負を生み出してしまうかもしれない…。その怖さや不安を乗り越えるには、未来で何を実現するのか、どう貢献するのか、という自分や周囲、成し遂げようとすることに対する大きな「Yes」が大切です。

大きな「Yes」を持つ、何を成し遂げるのかを明確に思い描くというのは「7つの習慣®」、第2の習慣の考え方です。これも以前に解説を書いていますので、詳しくは下記をご覧ください。


ポイント② 忘れない ⇒ 「第2領域を見える化する」

ポイント①「大きなYesをもって時間を捻出する」ことをしてみても、やっぱり時間は足りません。課題意識がある人、未来志向の人、成し遂げたことがある人ほど、どんどんやりたいことが出てきたりします。その中に「急がないけど重要な仕事」、つまり「第2領域」の仕事が含まれています。

でも、それは「アイディア」や「大きな方向性」の段階だったりして、また、「予算」や「工数」の問題で、今すぐ着手できないことも多くあります。

では、どうすればいいか?

タイトルの通りです。「見える化」する。つまり、第2領域のリストを作るのです。思いついたら、どんどん書き足す。そして、1週間に1回ぐらいは見直します。思いついたことを蓄積して、定期的にその中から、ほんとに「重要」なもの、「優先順位をあげた方がいい」ものを見つける/考えるわけです。

たとえば、私の場合、1週間のタスクリスト=第1領域や第3領域のタスクは「紙」で管理しています。毎週土曜日、A4の紙に翌週に取り組むタスクを書き出します。そして、毎晩「明日取り組む順番」を振り直して、タスクを進行しています。

一方で、思いついた第2領域のタスク、これは「Trello」で管理しています。ツールは何でもいいのですが、長期保存・随時入れ替え・順番調整をするうえでは電子ツールが使い勝手がいいなと感じています。

そして、Trelloには、「第2領域側の仕事」と「第2領域の仕事」という2つのリストがあり、常時数十個のタスクやアイディアが入っています。「○○の方針」とか「○○さんの育成」とか「新施策○○」、大きなスケールからタスクレベルのものまでありますが、明確な納期はない、また納期が遠いものばかりです。

これを週1回ぐらい見直して、ピックアップしたタスクに関して次のポイント、「第2領域の第1領域化」に取り組みます。

なお、上記は仕事特化ですが、これとは別に年1回、「今年やりたい100のこと」というドリームリストも作っています。プライベート+仕事混じった8~10カテゴリほどの“実現したいことリスト”ですね。これも隔週~1か月に1回程度見直して、「第1領域化」します。

ポイント③ “夢に日付を” ⇒「第2領域の第1領域化」

“夢に日付を!”はワタミの創業者 渡辺美樹氏の言葉ですね。私は著書『夢に日付を! ~夢実現の手帳術~』を読んだことがあるわけではないのですが…「夢に日付を」という表現は、とても分かりやすい言葉だなと思います。

たとえば、

「ダイエットしたい」

という第2領域のタスクがあるとします。このままだと、このタスクはなかなか前に進みません(たぶん)。前に進めるためには、これに日付を入れてみることです。

「2023年6月30日までに○○kgになる(185日でマイナス○kg)」

納期を入れて、ゴールを具体化、ギャップを入れたことで、取り組むイメージが少し明確になります。でも、まだ遠い未来の話です。だからこそ、さらに「第1領域」化します。

「7つの習慣®」の時間管理のマトリックスに戻りますが、なぜ、私たちは「重要性の軸が大事!」だと知っていながら「緊急性の軸」で行動してしまうのか。それは、緊急性の軸は、多くの場合納期(日付)があり、そこに「相手」がいるからです。緊急性とは多くの場合、「近々の日付が決まっている誰かとの約束」なのです。

たとえば、

 定例会議 ⇒ 毎週水曜日11時~、会議参加者との約束
 提案の準備 ⇒ アポイントは来週火曜日15時、顧客との約束
 勤怠の申請 ⇒ 毎月15日締め、労務担当者との約束

といった形です。

逆にいうと、第2領域の仕事がなかなか前に進まないひとつの理由は「日付がなく(もしくは遠く)、誰とも約束してない」からなのです。であれば、「近々の日付で誰かと約束してしまう」ことで推進力が生まれます。これが「第2領域の第1領域化」です。

先ほどのダイエットでいうなら、

  ・6月30日までにマイナス○kgにするとTwitterで宣言(他人との約束)
  ・毎週水曜日に、Twitterでスタート地点増減○kgを投稿する(近々の日付、他人との約束)
  ・来週中にスポーツジムの入会候補先を調べる(近々の日付、自分との約束)

といったイメージです。

仕事の場合だと、

「誰々さんに○○のプランのたたき台を相談する ⇒ アポイントを切る」(近々の日付×他人との約束)

といったことをするのが、一番簡単な第1領域化だと思います(上記を決めると、自動的に「○○のたたき台を作る(アポイントの前日が納期)」といった第1領域のToDoが生まれます。

私の場合だと、「ポイント②で紹介した第2領域のタスクリスト(Trello)から、1週間のタスクリスト(紙)に移して実行順序を入れる」というのもよくやる第1領域化(近々の日付×自分との約束)です。

そして、上記の第1領域化の過程でやっているのが、最後のポイント「岩を砕く」です。次章で紹介します。

ポイント④ 第2領域の仕事は大きい ⇒「岩を砕く」

上述した通り、第2領域のタスクというのは “大きい” ことが大半です。

たとえば…

 ・○○さんの育成
 ・○○の方針検討
 ・健康維持
 ・○○を学ぶ
 ・新施策○○の検討

などです。

このままだと、いわゆる “Todo” になりません。「どこから手を付けたらいいものやら…」「5分や10分、30分や1時間で着手できるお題じゃない…」 そして、後回しになっていきます。自然な心理です。

このままでは第1領域化が難しいです。だからこそ、大事なのが ”岩を砕く”、いわゆるタスクブレイクです。

プロジェクトの進行やイベントの企画などであれば、タスクブレイクする際は、「想定されるすべてをToDoに落とし切って、何ならガントチャートに落として、進行する人を割り振る」みたいなこともしますが、第2領域を進行する時の “岩を砕く” は、ここまでやる必要はないと思っています。

大事なのは、
 1.「はじめの一歩を踏み出す」ためのToDoを決めるために“砕く”
 2.モチベーションが継続するように“砕く” 
の2つかなと思います。

ダイエットの事例で紹介した

  ・6月30日までにマイナス○kgにするとTwitterで宣言(他人との約束)
  ・毎週水曜日に、Twitterでスタート地点増減○kgを投稿する(近々の日付、他人との約束)
  ・来週中にスポーツジムの入会候補先を調べる(近々の日付、自分との約束)

また、仕事の事例でちらっと書いた

  ・誰々さんに○○のプランのたたき台を相談する
  ・○○のたたき台を作る(アポイントの前日が納期)

といったものが第2領域を砕いた、はじめの一歩を踏み出すための「ToDo」です。

なお、場合によっては、モチベーションが継続するように“砕く”ことも大切だと思います。第2領域のタスクは、抽象的で、日ごろなかなか時間を取ることがめんどくさくて、着手すると大変な思いをしそうだったりすることもあります。

だからこそ、モチベーションが継続するように、ポイント②で紹介したような「終わりを思い描く」というToDoを作ってみたり、ゴールを達成した・マイルストーンに到達した時のご褒美を決めてみたりといったことも、前に進み続けるためのポイントかと思ったりします。

成果を上げ続けるには「急がないけど重要な仕事」に時間を割くことが大切

冒頭で紹介したTweetでネオキャリアの西澤社長がおっしゃっている通り、成果を上げ続けるには、「急がないけど重要な仕事」にどれだけ時間を割けるかが大切です。

このあたりの詳しい話は、下記の「最優先事項を優先する」という記事で紹介したりしていますので、ご興味あればご覧ください。

そして、「急がないけど重要な仕事」に時間を割くために、私自身は以下4つのポイントを心がけています。

【急がないけど重要な仕事に時間を割く4つのポイント】
ポイント① 小さなNoを言う ⇒「大きなYesを持つ」
ポイント② 忘れない ⇒ 「第2領域を見える化する」
ポイント③ “夢に日付を” ⇒「第2領域の第1領域化」
ポイント④ 第2領域の仕事は大きい ⇒「岩を砕く」

これがすべてのやり方とは全然思いませんが、何かひとつでも読まれた方の参考になれば幸いです。

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