ランドスピードレコード:AMAによるクラス分け

BMSTに備えて。

https://note.com/tfr_bigmosa/n/n55d5548c619fで予告した「狭義の50ccクラスの速度記録」言い換えると「カテゴリーやグループ関係なく、単にエンジンが50ccのバイクの速度記録」の記事も用意しているもさがその前に。

今月23日に日程開始、25日から走行開始となる(23日と24日は準備の日、最終日30日はお掃除お片付けの日もさ。走行は25日から29日)ボンネビルモーターサイクル・スピードトライアルに先立ってBMSTのクラス分けを解説してみるもさ。


BMSTの主催者はアメリカン・モーターサイクリスト協会(AMA)もさ、この記事で紹介するのはAMAによるクラス分けもさね。
これに基づく記録は必然的に世界記録ではなくアメリカ国内記録もさ。
仮に日本のMFJが独自のクラス分けを行い地上速度記録競技会を開催したらその競技会の成績は「日本記録」になるもさがそれはさておき。

さてAMAによる、BMSTの公式記録ページを見れば判るとおり。

"DISP"  排気量区分(電動バイクはゼロ表記)
"FRAME" フレーム構成区分
"ENGINE" エンジン類別による区分
しかないもさ。
FIM分類がカテゴリー、グループ、ディビジョン、サブクラス、クラスで分けてあり、しかも「分類上は存在しうるが実エントリー例はない」ものも想定してあるのとは大きな違いもさ。
アメリカ人らしい「実務的で判りやすい書類の作り方」の事例と見るべきか「アメリカ人らしい大雑把さ」と見るべきかは、モサには判らないもさ。

その一方で"DISP"以外は書面を見ても覚えにくい記号割り当てになっているのはやはりアメリカ人らしい仕事と言うべきもさかな?

とりあえず"DIPS"にキュービックインチでなくccを使ってくれているだけ楽だと思うことにするもさ。

排気量区分は50cc、100cc、125cc……と並ぶもさがこの記事ではとりあえず省略するもさ。

フレーム構成による区分から解説してみるもさね。

P   プロダクション。
    市販状態(ミラーを外すとか灯火類の飛散防止とかは必要)

M   市販車を改造したもの。
    ただし
      ホイールベースを原型より10%以上伸ばす
      シートレールを前後ホイールリム上端を結んだ線より低くする
      ステアリングヘッドを移設する
      違うメーカーのエンジンに載せ換え
      センターハブステアリングに換装
      市販状態のタンクあるいはタンクマウントを使わない
      エンジンマウント、ミッションマウント位置の変更
      搭載エンジン基数を(排気量ではなく、基数を)増やす
    のいずれか2項目以上を実施するとMではなく次分類「A」に
    なるもさ。
 
A   専用車。レース車。M分類を超える改造した市販車もAもさ。

https://ultimatemotorcycling.com/2022/03/04/2022-bonneville-motorcycle-speed-trials-registration-opens-april-15/  より引用。Aクラスの一例。
大改造してAクラスになってしまったのか新規に作ったのか?
とにかくドゥカティの……元が何なのか判らないもさ!


MPS  改造車でなおかつパーシャルストリームライナーであるもの。
    なお、無改造の市販カウル付きバイクはMPSではなくPもさ。
    しかし市販のカウル付きバイク(P)を改造するとMではなく
    MPSになるもさ。要注意。

https://ultimatemotorcycling.com/2022/03/04/2022-bonneville-motorcycle-speed-trials-registration-opens-april-15/ より引用。MPSの一例。


APS  専用設計のパーシャルストリームライナー。

https://ultimatemotorcycling.com/2022/03/04/2022-bonneville-motorcycle-speed-trials-registration-opens-april-15/  より引用。APSの一例。


S   ストリームライナー。FIM分類のストリームライナーと同じ。
    消火器の搭載義務とかライダーを保護するロールケージの構成要件
    などもFIMのストリームライナーと同じもさ。

https://www.partsone.jp/brand/bub.jpn.com/about/index.html  より引用。
「ライダーの全身を覆うカウル」とは比喩でも冗談でもなく大真面目な話もさ。
垂直尾翼に記されたゼッケン「7」の前に「S-BF」とあるのがAMA分類。
どこかにFIM分類も細かい文字で入っているかもしれないもさが、
モサには読み取れないもさ。


SC   サイドカー。改造程度あるいは専用設計か否か気にせず
    次項SCS以外のサイドカーは全部SC。

    これもSC。

https://ultimatemotorcycling.com/2016/05/16/bonneville-motorcycle-speed-trials-2016-registration-opens/  より引用。

これもSC。

https://www.fim-moto.com/en/news/news-detail/article/lessons-in-fortitude-on-day-4-at-the-2021-bonneville-motorcycle-speed-trials  より引用。


SCS   サイドカーのストリームライナー。
     FIM分類と同じく、ドライバーとパッセンジャーデッキ、
     サイドホイールを(地上高1インチ空ける義務はあるもさが)
     完全に覆うカウルを持つもの。
     消火器やロールケージもFIM分類と同じく必要。
     「パッセンジャーデッキ」にはパッセンジャーが座れるスペース
     が要らないこともFIM分類と同じで、たとえばこういうマシンが
     SCSもさ。

https://www.fim-moto.com/en/news/news-detail/article/bonneville-motorcycle-speed-trials-bmst-set-for-2023-return  より引用。


AMAによるクラス区分はFIMより簡素な分、却って「これはどの分類だろう?」と悩む読者がいらしたらモサのせいもさね。


さて、エンジン(動力源)によるAMA分類を記してみるもさ。
ここまでに紹介した画像でもMPS-PFとかAPS-PGとか書いてあったと思うもさね。
これはFIM分類よりもずっと細かいもさ。

レギュレーションの記載順とは異なるもさが、下記のエンジン分類の前に
B. Minimum Standard Equipment(最小限標準装備)の燃料関係を
紹介しておくもさ。

5. Fuel Shutoff And Engine Kill Switch
 a. Motorcycles shall be equipped with a positive ignition off switch to terminate engine power. The riders shall be able to use the switch without their hands leaving the handlebars.
簡素化意訳:ポジティブ操作のイグニッションオフスイッチ、つまりキルスイッチはライダーが手をハンドルバーから離さずに操作できること。

 b. Gasoline class motorcycles shall have a fuel shutoff located within easy reach of the rider. Fuel class motorcycles shall have a positive fuel shut-off activated without the rider’s hand leaving the handlebars.
簡素化意訳:ガソリン車は燃料遮断装置をライダーの手が容易に届くところに配置すること。「Fuel」車はポジティブ操作で燃料を遮断できる装置をライダーがハンドルから手を離さずに操作できるところに配置すること。

ここで言う「Fuel」とはガソリンよりも危険性が高いとされるいろんな燃料、たとえばメチルアルコールとかトルエンとかニトロベンゼンとかそういった燃料もさ。以下のエンジン分類で「F」と出てきたら「Fuel」のこと、危ない燃料のことだと思って大丈夫もさ。

そうそう、SとSCS(ストリームライナー)に限ってはガソリン車であってもライダーがハンドルバーから手を離さずに操作できる位置に燃料カット装置の操作部(普通はスイッチもさね)の装備が義務付けで、これはFIM規定と同じもさ。

P   市販エンジン
PP  市販のプッシュロッド(OHV)エンジン。
   事実上ハーレーのこと……でもないもさね。
   ヤマハMT01で出走する人とか
   ホンダGL400/500で出走する人、あるいは
   スズキチョイノリで出走する人がいるかどうかは知らないもさ。
PV  市販ビンテージ。1956年以前に製造されたエンジン。
PC  市販クラシック。1981年以前に製造されたエンジンで、
   ビンテージでないもの。
PB  市販過給エンジン。ターボ過給か機械駆動過給かは区分しない。
   市販状態で無過給のエンジンに過給機を追加した場合PBに含まない。
   カワサキH2、ホンダCX500やスズキVN85で出走すればこの区分。
PG  プッシュロッド(OHV)のガソリンエンジン。
PF  プッシュロッド(OHV)のガソリン以外の燃料を使うエンジン。
   なお「非ガソリン燃料」にディーゼルは含まないもさ。
   ここで示されてる「非ガソリン燃料」とは上で述べた「Fuel」もさ。
PGB 過給機付きのプッシュロッド式ガソリンエンジン。
   チョイノリにターボを追加すればこの区分。
PFG 過給機付きのプッシュロッド式「Fuel」エンジン。
   たとえばチョイノリをメタノール仕様にしてターボを追加すれば
   この区分。
VG  ビンテージガソリンエンジン。
   1956年以前に製造されたガソリンエンジンで、
   PVに該当しない(または該当すると証明する書面がない)エンジン。
   1955年式の市販レーサーなど持ち込むとこの区分。
VF  ビンテージ「Fuel」エンジン。
   WW2前の2輪レースにしばしば見られた、メタノール&ニトロ燃料の
   レース用エンジンなどがこれに当たる。
VBG ビンテージ過給ガソリンエンジン。
   1956年以前に製造されPVでもPBでもないもの。
VBF ビンテージ過給「Fuel」エンジン。
   1956年以前に製造されPVでもPBでもなく、
   なおかつガソリンでない火花点火用燃料「Fuel」を使うもの。
CG  クラシックガソリンエンジン。1981年以前製造で、PCに該当証明の
   ないガソリンエンジン。
CF、CBG,CBF
   筆者が疲れて来たので「VF、VBG、VBFを参照」
AG 改造あるいは専用設計の無過給ガソリンエンジン。
AF 改造あるいは専用設計の無過給「Fuel」エンジン。
  (ディーゼルは含まない)
BG 改造あるいは専用設計の過給ガソリンエンジン。
BF 改造あるいは専用設計の過給「Fuel」エンジン。
D  無過給ディーゼルエンジン。
   排気量以外の設計制限なし、しかしディーゼル燃料以外禁止。
   エーテルもダメ。
DB 過給ディーゼルエンジン。
   排気量以外の設計制限なし、しかしディーゼル燃料以外禁止。
   エーテルもダメ。
W  電動
X  その他 ジェット、ロケット、ガスタービン、蒸気機関など。

実に細かくエンジン(動力源)を分けているAMA分類もさが、親切なことに「M、MPS、A、APS、およびS」はエンジン「P」で走ってはいけない(そzれぞれのフレーム区分の細則にエンジンの所要改造が定義されている)もさ。
「市販エンジン搭載のストリームライナー」とか「市販エンジンを載せた専用設計パーシャルストリームライナー」といった存在に頭を悩ます必要はないもさね。
ただし「市販エンジン搭載のサイドカーストリームライナー」は存在していて、モサの知人がある排気量クラスの記録保持者だったりするもさ。

NGワード:類友

ガソリンとそれ以外の燃料を使う場合で、マシンの構成が変わる箇所がルールブックにあるもさね。
「燃料カットスイッチ」は、ガソリン車ではPでもMでもAでも(略)Sでも関係なく「ライダーの手が容易に届くところに配置」もさが、非ガソリン車では「ライダーがステアリングから手を離さずに操作できる配置」もさ。

AMA分類はFIM分類とはあちこち違うもさが、スクーターやモペッドについて全く定義がないことも大きな違いもさね。

FIM分類でのスクーターやモペッドについては、とある個人ブログにご迷惑をかけたお詫びを兼ねて別記事にするもさ。

ともあれ、次の記事は「他の区分を超えて世界最速の50ccとは」と言う記事の予定もさ。

ここまでお読みいただき感謝もさ。

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