スポーツの早期専門化による問題
スポーツが抱える問題をドイツのハンドボールを例に挙げて考えてみましょう。
2000年、ヴェルテンベルクハンドボール協会は12歳から18歳までの会員50%を失いました。これは心身の疲労によるバーンアウト、オーバーユースによるスポーツ障害が原因であることが調査で判明しております。早期に偏った専門的トレーニングを行うことは、子どもたちが生涯ハンドボールに取り組むことの妨げになってしまう可能性があるということです。
この問題の解決策としてヴェルテンベルクハンドボール協会は「一般から個別へ」の考え方を持つHeidelberger Ballschuleを子どものハンドボールのコンセプトに取り入れました。このコンセプトは基礎スキル(種目横断的学習)→応用スキル(ゴール型ゲーム学習)→専門スキル(ハンドボール固有の学習)というように3つのステージを進んでいきます。この3つのステージは多様性、親しみやすさ、子どものスキルレベルに焦点を当てた、最新のスポーツ科学、スポーツゲームの研究結果に基づいています。
3つのステージ全ての基礎は7つの戦術モジュールから構成されています。写真の学習要素一覧A:戦術を参考にしてみてください。この学習要素は都市化が進む前は、外遊びの中で知らず知らずのうちに子どもたちは身につけていました。このことは子どもがスポーツに取り組むための意欲につながっていたと思います。外遊びの場所がない、あるいは場所があってもボール使用禁止になってしまった現在の環境の中で、その代替としてバルシューレは有効活用ができるのではないでしょうか。幼稚園、小学校、スポーツクラブなど既存にある環境の中で取り入れることが可能なプログラムです。バルシューレの考え方を多くの人に知ってもらい、スポーツが抱えている問題の解決やスポーツに取り組む意欲を子どもたちに育んでほしいと思います。