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香港とアメリカ‟2つのマスク禁止令”

アメリカの映画館で‟マスク禁止”

10月5日、話題の映画「ジョーカー」を見てきました。とても陰鬱であり、素直に喜べない痛快さを感じる複雑な映画でした。観た人の心を揺さぶる問題作であるのは間違いないと思います。

映画の中でジョーカーに感化された市民がピエロの「マスク」を被り、行政や警察、そして上層階級の打倒を目指し、暴徒化するシーンがあります。アメリカでは「ジョーカー」の影響力を恐れて、マスクの着用を禁止する映画館もあるそうです。

米国では同じくジョーカーが登場する映画「ダークナイト」に感化された20代の男性が、続編の「ダークナイト ライジング」の上映中に銃を乱射するという痛ましい事件がありました。マスクを禁止した映画館は、この事件の再来を恐れたために取った措置だと思われます。

香港では‟マスク禁止”でデモ抑制

同じ10月5日、香港ではデモの抑制を図るため「覆面(マスク)禁止法」が施行されました。報道番組で見たマスクをしたデモ隊の姿は、「ジョーカー」の中の暴徒と重なって見えました。

香港の報道では「権力による抑圧」が色濃く映し出されていたのに対し、映画「ジョーカー」では「抑圧からの解放」が鮮やかに描かれていました。この対比により、香港の現状はより”救いがなく”見えましたし、映画「ジョーカー」に内在する”危険な要素”を強く感じました。

社会の不条理を突く本質的な問題提起

映画「ジョーカー」はフィクションですし、エンターテイメントですが、社会の不条理を突く本質的な問題提起が描かれているため、多くの人が心を打たれたり、嫌悪感を抱かせたりしたりしているのだと思います。その本質的な問題は香港のデモにも同じく存在するのだと感じました。

「2つのマスク」「民衆の反動」「虚構と現実」「抑制と対抗」などに思いを巡らせる週末となりました。

EC業界向け専門紙「日本ネット経済新聞」で記者してます。EC、通販、モノづくり、流通、マーケティングなど取材していく中で紙面には書かない自分の考えや疑問について書いていきたいと思います