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たのしい地方創生

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地域活性化の業界で働く筆者の、日常のささい気づきを、まじめ風味でお届け。
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#ベンチャー

#79 『のどぐろ』

2024年11月某日 どの地方都市を訪問しても、「のどぐろ」が大注目されている。先日、鳥取県を訪問したが、ぐるなび高得点の海鮮居酒屋の推しは「のどぐろ」だった。また、富山県に訪問した際も、居酒屋・割烹・土産物屋など、どのチャネルでもセンターは「のどぐろ」だった。日本海沿岸の海産物ブランド界は、「のどぐろの時代」といっても過言ではないだろう。 … さて、「のどぐろ」が水産品界のインフルエンサーとして、その知名度を確かなものにしたのは、一体いつからだろうか。インターネットで

#76 『巨人』と『虚人』

2024年10月某日 最近、地方ビジネスコミュニティの中で、どうにも「焦っている人」を見かけることが増えた。どういうことかというと、自身の成果や能力を「必要以上に大きく見せようとする人」が増えたと感じる。どうしてだろうか。 … 先日、とあるセミナーに参加していたら、講師の先生がこのような感じで話していた。「みなさん、[権威のある学術機関]の[著名な研究者]知ってるでしょ。あの人(ときどき"アイツ"となる)、[知らん会社名]の顧問やってんすよ。あ、ちなみに僕も[知らん会社

#74 『バカヤロー、コノヤロー。』

2024年10月某日 とある地方中核都市で、施設の再整備に関するプロジェクトに関わることになった。そのため、最近は、人口30万人ほどの都市を定期的に訪問している。駅前から広がる商店街・繁華街は世の地方都市らしく、ほどほどに盛り上がっており、昼から夜にかけて賑わいを増す。「酒と肴」の暖簾に惹かれて道草を食いたくなることもしばしばである。嗚呼、仕事をしなければ。 … さて、先日、目的の施設の周辺環境を把握しようと、少し街の中を歩いていたときに、不思議な出来事に直面した。とあ

#73 『トレンドワード・ビジネス』

2024年10月某日 最近、地域政策の文脈で、SDGsをあまり聞かなくなった。電車の中で、バッジをつけているビジネスパーソンを見かける頻度も下がったように感じている。SDGsのヤツ、元気にしているのだろうか。2030年まであと6年ほどある訳だが、その頃、SDGsは私たちの記憶にあるだろうか。少し心配になる。一方、最近、「ウェルビーイング」をよく耳にするようになった。また、「グリーン」も根強い。さらに、「パーパス」もある。世(地方)はまさに、トレンドワードによる群雄割拠の時代

#71 地方文化の『ポートフォリオ』

2024年10月某日 全国様々な地域を車で訪問していると、「ロードサイドの風景」が、それはもう似通っていることに気づく。カーディーラーの店舗名やドラッグストアの屋号に地域のかすかな香りを感じることができるが、基本的には同質化の傾向が強いと言わざるを得ない。そんなことを思っていたら、少し「地域の特色」なるものを考えてみたくなった。 … さて、地域活性化の業界でも、しばしば「地域の特色の発揮」みたいなことがテーマとして議論される。無論、市場性に限られるマーケットの中で、それ

#70 地方の『コンサル論』

2024年10月某日 地方創生界隈で仕事をしていると、なにかと「コンサル」というキーワードに出会う。そして、多くの場合、「コンサルは何もできない!」「コンサルは実践していない!」「コンサルは悪だ!」という調子で、どちらかというと後ろ向きな議論で登場する。筆者も遠くない業界で仕事をしていたりするので、この点については、少し自分の考えを整理しておきたいと思う。 … さて、地方創生の文脈で、「コンサル批判」が盛んになったのはいつ頃だろうか。筆者の理解では、おそらく、2014年

#69 『理詰め』と『理不尽』の間で

2024年9月某日 年度という単位で、数字遊びに奔走しているプロ・サラリーマンの皆様、お変わりなくお過ごしだろうか。うっかりしていたら、前回の寄稿から随分時間が経過していた。社会人になると、時間感覚が短くなるという話(ジャネーの法則とか言うらしい。)について、かつては「んな、あほな。」と揶揄していたが、現在ではそれが事実であることを、日々、必死にワカモノに説いている。なんだか寓話のような話である。 … さて、筆者はサラリーマンとして、地域のしごとに携わっているが、その最

#68 まちづくりの『キャラ診断』

2024年6月某日 社会人としての経験を重ねていくと、なまじ知識や経験が蓄積されてくることもあり、様々な言葉の定義や文脈に敏感になってしまう。かつては、さささっと斜め読みしていた本や文書について、いちいち立ち止まって考えてしまう半端な教養を身につけてしまった。仕事は遅々として進まないが、知的生活としては、とても楽しい。 … さて、筆者は地域活性化にかかる事業の企画を生業としているが、ひとくちに「地域活性化」といっても様々な活躍の「空間」があるように思う。少し紹介したい。

#67 『地方』と『地元』の差分

2024年6月某日 先日、久しぶりに実家に帰る機会があった。到着して早々は、かつての生活に対する懐かしさが込み上げてくるし、両親も気持ちやさしい。しかし、数日たてば、「風呂に入れ」「飯はどうするんだ」という、ありがたいご指摘を受けてしまう。筆者はすでに良い年なので、そっとしておいてもらえると助かるのだか、親子関係というのはいつまでも相対的なもので、「関係性」があまり変化しないことについて、ありがたさをグギギと噛み締めることとなった。 … さて、実家に帰るとつくづく感じる

#66 アナログへの『回帰と退化』

2024年6月某日 早いもので、今年も約半分が過ぎようとしている。年度末の忙しさをすり抜けたと思ったら、年度はじめはそれはそれで忙しい。ワーカホリックにとっては、大変喜ばしいことである。楽しんでいきましょう。 … さて、筆者は地域活性化に関わる事業企画を主な仕事としてる。やることは、「地域のリサーチをして、企画書を書いて、説明して、プロジェクトを立ち上げていく」、この繰り返しである。これまでに10年以上、「地域活性化業界(そんな業界があるのかどうか知らないが)」に身を置

#65 『うまい分け方』

2024年5月某日 子供向けの教育DVDなどを見ていると、「おともだちと、わけっこする」ことの大切さが説かれている。ドーナッツやお煎餅も「半分こすると、ふたりともニッコリ」だそうだ。二人の友情が永遠に続くことお祈りする。今日も平和である。 … さて、筆者は個人的に「分ける」という考え方が好きだ。地域ビジネスや、まちづくりの企画を考える際にも、狭くて、諸々の規模感に乏しい地域などでは「分けるアプローチ」により、何かとうまくいくケースも多い。「分ける」とは何で、どんな効果だ

#64 『読まないと書けない』

2024年5月某日 大型連休明けの通勤電車は、スマホに視線を落とす企業戦士に溢れている。誰しもが現実世界への帰還をためらい、画面に表示されれる「旅行の思い出」でも復習しているのだろうか。今日もがんばりましょう。 … さて、連休などがあると、身の回りを整理したり、読めていなかった積読を斜め読みしたりして、「心の余白」を思い出すことが多い。お盆や年末年始など、一定のサイクルで「間をもつ」機会がカレンダーから自動供給されることなどは、サラリーマンの特権であると言えるかもしれな

#63 『ユーモア』の啓発

2024年5月某日 ゴールデンウィークも最終日、少し間をもって内省できたことから、色々と自分の考え方を整理できた気もする。頭もスッキリして、よかった。やはり、日々の忙しさに忙殺されていると、「アウトプット偏重」な仕事の仕方になってしまって、ユニークなアイデアを新しく着想する力が下がってしまう。「インプット」「じっくり考える」「アウトプット」のバランスを、今一度意識したい。 … さて、ユニークなアイデアを考えたり、実行する事が楽しいのはいうまでもない。一方、地域活性化事業

#62 『自然資源』の課金方法

2024年5月某日 松島に来た。旅行である。「日本三景」として知られる松島は、宮城県東部の沿岸部に位置し、松の木が生い茂った、多くの小さい島々が海に浮かぶ独特な景観を形成している。古くは、伊達政宗がどこかの島で宴を楽しんだり、松尾芭蕉が俳句を読んだりと、いろいろと歴史的なストーリーを有しているエリアであると言える。 さて、そんな松島であるが、現在は観光産業を中心に、地域の経済活動が行われている。飲食店、土産物店はもちろん、島々を巡る遊覧船も主要コンテンツの一部として運営さ