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千文字(1)「嘘の匂い」

百文字日記あらため、千文字です。

いつもの5人で毎週ひとりずつ、順番にお題を決めて、皆でそのお題に対して思いついた文章を、1000文字ぴったりでnoteに投稿していきます。

収益は、(出れば)百文字日記書籍化の費用に充てられます。

01

嘘は、砂糖を焦がしたような、甘ったるい匂いがするものだ。ほんの少しバニラが混ざったような、重たい匂い。それでいて、香ったかどうかも判らないくらい、というより、香った途端に忘れてしまうほどに、うすぼんやりとした匂いなのだ。携帯が鳴ったと思ったのに、画面を見ると真っ暗だったり、いまさっき読んだはずのフレーズが、いくらページをめくっても見つからなかったりする感覚によく似ている。

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