プロポーズ

夜の公園近くの道路で1人の男がジョギングをしていた。だいぶ足取りも軽そうだが、軽いのは他にも理由があった。
「ふぅ…1kmの平均6分10秒か、だいぶ良くなって来たな。明後日のマラソンが楽しみだ」
そう、明後日はここ沖縄で那覇マラソンという大きな大会がある。そこで僕は長年付き合ってる彼女にプロポーズするのだ。間違いなくOKしてくれるだろう。
そして結婚まで一気に進めるのだ。婚前旅行としてクリスマスには東京旅行も手配した。彼女の好きな千葉にある夢の国のホテルも予約した。きっとイルミネーションが素敵な事だろう。
「そして来年には結婚だぁー!」
…周りの視線を感じる。思わず口に出して大声で言ってしまった。
気を取り直して公園に停めてある車へ戻った。
すると「ダイスケ君、お疲れ様」と優しい声。
まさかの彼女が立っていた。
「えっ、どうしてここに?」
「練習頑張ってるって聞いたから、応援に来たの」
「そうだったんだ、ははっ。ありがとう」
「あのね…」
「うん、何だい?」
「私と結婚して下さい!」
「えええっ!」まさかの逆プロポーズである。
「実はさっきの声が聞こえちゃったの。それで嬉しくなって、つい、言っちゃった」
「あの、えっと、その、よろしくお願いします!」

こうしてプロポーズは意外な形で成功に終わった。来年は夫婦として一緒に走れると良いな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?