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グラフ、好きですか

先日勤務先の大学の期末レポートを受け取って、採点をしました。毎年、持ち込み可の記述式の試験をしているのですが、内容から言ってじっくり時間をかけて考えてもらったほうがいいので、いつもの試験を時間制限なし(もちろん提出期限はあるけれども)でやってもらった形になります。

その中の一問は、毎回、授業で出したグラフを書き写して説明してもらう課題を出しています。
1設問を読んでどのグラフの話をしているのかわかる
2そのグラフを見て、必要な情報を書き写せる
3グラフのどこに注目したらいいか明確にして説明をする
という三段の理解を必要としているのですが、第1ステップを踏み外す学生さんは1割に満たないので、点数をもらえるかどうかは2と3にかかっています。

「いやー難しいのは3だよね」と思う人が大半なのではないでしょうか。
でも実は、2、が難しいステップです。今回はオンラインの授業なので、授業は全て録画を繰り返し見ることができます。なので、3については、該当授業を再度見れば必ず書けるはずなんです。要はやる気の問題です。(3はやる気を見ています、とは流石に言いませんが。)

では、2は何が難しいのでしょうか。
例えば、以下のようなことをきちんと踏まえられるかどうか、です。

・そのグラフの縦軸・横軸の単位は何か
・グラフに書かれている数字はどの程度細かく書く必要があるか
・グラフの中の曲線(あるいは直線)は、どこで方向を変えているか
・そのグラフはマイナスの象限まで表現する必要があるか

これらはそのまま、「グラフが表している数字の意味をよくわかっているか」という理解度を示しています。
人は「書き写して説明せよ」と言われた場合、必要だと思う程度にしか書き写さないのです。

テストでは、「3」を説明するのに必要なグラフの線分の「形」が示せていれば、グラフの細かい点で減点することはしていませんが(そこを細かく手取り足取り教える授業ではないと認識してそうしているのですが、最近、迷いが出てきています(笑))、毎回、グラフを「完璧に写せているな」と思えるグラフはクラスに1名いるかいないかです。

上記のポイントを教えれば済むのかもしれませんが、こちらが知りたいのは「その数字をどう考えるか」なので、これやっとけば大丈夫、というハウツーを知ってもらいたいわけではないのです。これを説明するには少なくともこの数字が必要だから書こう、と思って欲しいわけですね。

エビデンスベースで仕事をしようと思った場合、論文を読んで数字がわかる、というのは最低限のポイントです。目の前の数字を真摯に扱おうとしているかどうか、という姿勢は常に大切です。昨今、テレビ番組でも「おいおい」と突っ込みたくなるようなグラフがたくさん出てきていますが、それに対して「おいおい」と気付けることって大切ですよね。

さて、今日から、グラフを見たら、まずは縦軸・横軸・単位をしっかりと見ましょう。

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