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映画「フレア」を観た感想

 アマプラで映画「フレア」(2014)を観たので、短めに感想など。ネタバレ気にしていません。

 日仏合作となっていますが、舞台は全て日本です。フランス人俳優が助演しているとはいえ、合作の意味って…。
さておき、「日本を舞台に日本人主演のフランス映画を撮りたい!」という雰囲気の作品でした。全体的に抑揚のない叙情的な物語で、昔観たフランス映画の流れを汲んでるなあっていう印象。

 主演は大好きな福田麻由子(当時18歳)。ドラマ版"白夜行"でもそうでしたが、今作でも少女時代に母親に商売道具にされた過去を持った女性・フレアの役です。朝ドラ"スカーレット"で演じた、ふんわりした役柄が可愛くて合うと思うんですが、どうにも暗い影の差す役が来ちゃうんですねえ。
今作では髪ブラとか百合キスとかの危ういシーンもありつつ、フレンチ風味のアンニュイ、かつ複雑な心情のキャラクターを見事に演じていました。

 さらに助演陣の演技が凄かったのですよ。宮川浩明さん演じる取り立て屋の、変態み溢れつつ筋は通す感じとか、クズな写真家ジャンを振り回す加藤雅也&谷村美月による富豪コンビの、強烈で現実味のない、まさに映画的なキャラクターとか、ジャンを取り巻く女性達(フレアに嫉妬する者やフレアを受け入れる者など様々)とか。終盤にフレアが入る施設で邂逅する少女を演じる広瀬アリスは、まさに白眉。みんなあの世界の住人そのものであって、違和感のある出演者が一人もいませんでした。(ある意味ではみんな違和感しかない)

 ファンタジー要素としては、日本語と英語とフランス語が入り混じっていながら、通訳なしに会話が成立している部分で、「映画なんだからそういうもの」として認識するまでの間、特に違和感がありました。とはいえ、現実離れしているか、と言うと、そういう事でもないですよね。マルチリンガル同士の場合、多国語混じりで会話しているひとを見かけることがあります。
だったらジャンはフランス語、日本人は日本語だけで良くない?とは思うものの、なぜかジャンに対して英語を使うセリフが時々出てきました。

 ところで終盤、フレアが中古カメラ屋でカメラを眺めていると、店主から「いいカメラ"預かってる"よ」と言われるシーンがあります。それでジャンのLEICAを手にするわけですが、その前に、ジャンが撮影機材一切を売り払おうとするシーンでは「これ(LEICA)だけは売らないよ」と修正していました。これは『自分を見限ったフレアではあるものの、もしかすると写真家の道を歩もうと、この店に来るかも知れない』と考えたジャンが店主に預けたカメラ、という事なんでしょうか。実質的に、ジャンからカメラを譲り受ける形になったわけで、表向きは見限ったように見えても、奥の方では切れてないのかな、と仄かに温かい気持ちになりました。

 と、思いきや。思いきやですよ。帰郷する決心を固めたジャンとギャラリーで別れたあと、ジャンがフレアを最初に撮影した写真を見たフレアが、何かを思い立ったように(何故か)カメラを置いてギャラリーを駆け出します。
『何だかんだいってもやはり日本映画だねえ。フレアがジャンを追いかけて熱いキスでも交わして終わるんでしょ?』
と、思いきや(しつこい)。長尺で走るフレアがたどり着いた先にいたのは、ジャンではなく広瀬アリス。で、「モデルになって」と。
序盤のジャンとフレアの関係性を、フレアと広瀬アリスに置き換えて終わりたかった、かつ、ジャンはガチで見切られているという現れだと思うんですが、なんていうか「あ、そっち?」てなる拍子抜けな感じがありました。

 意味ありげに振り返っても誰もいないジャンwwwさみしwwwwww
っていう。

 人を選ぶっていうほどの事はないんですが、ざっくり言ってB級フランス映画が好きな人にはオススメで、それ以外の人にとってはまあまあ退屈でよく分からん、てなると思います。(了)

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