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動画「オレンジロビンソンの奇妙なブログ」の感想と考察(2024/01/23追記)

ナレーション:まずはこの動画をご覧いただきたい。

 これは、Youtubeの動画チャンネルである"フェイクドキュメンタリー「Q」"の動画です。チャンネル開設当初に2本ほど動画を見て、そのまま記憶の彼方に去っていたのですが、同チャンネルの動画「フィルムインフェルノ」を視聴したことで、過去の動画をイチから見直している途中です。
 ここまで見た動画7本のうち、本動画の魅力がとても高かったので、感想や考察を書いていこうと思います。ネタバレ含みます。

どんな動画?

 チャンネル名が示す通り、フェイクドキュメンタリー(モキュメンタリー、とも言いますね)形式の動画です。ホラーなテイストもありますが、明確にホラーということではありません。或る写真好きの男性のブログを題材に、その更新が止まるまでの経緯を、ブログの記事を遡ることで追っていく、という内容です。

面白いの?

 俺個人としては、とても面白かったです。ほんの13分未満しかない動画でありながら、アマプラで2時間見せられた上に「なんそれ!」しか感想の出て来ない駄作映画に比べて、無料で手軽に楽しめる創作と密度があるように思います。
 あくまでもフェイクドキュメンタリーとして、日常が少しずつ不気味なことに侵食されていき、真相は不明のまま結末を迎える、というありがちな内容なのですが、鑑賞後に思わずブログの名前を検索してしまいました。
「本当は、少し真実を混ぜ込んでいるのではないか?」という疑念を抱いてしまうほど、良くできているのです。

考察:依頼主"X"の目的は何だったのか?

 ブログ主の職場に画像加工を依頼してきた"X"が送ってきたのは、決まって2枚の画像でした。1枚はある家族のスナップ写真(以下、写真A)。依頼のたびに違う写真を送っていたようです。もう1枚は、おそらくずっと同じもので、恐ろしげに歪んだ女性の顔らしきものが大写しになっている写真(以下、写真B)です。
 写真Bをできるだけ大きく写真Aに合成する、という行為は、いったいどのような意味を持っていたのでしょう。それが写真Aの家族に齎す結果こそが、"X"の目的に違いありません。
 最後に送られてきた画像から察するに、写真Aに写っている家族に呪いをかけ続けた結果、呪うことに成功したのだろう、と思います。

写真を分析してみよう

 ではなぜ、この家族が呪われることになったのでしょうか。写真にヒントが隠れているかも知れませんね。
まず、動画内で紹介されたブログの記事をまとめてみます。

2010年11月15日:"X"から最初の依頼
2010年12月3日:2回目の依頼
2010年12月10日:3回目の依頼
2011年3月30日:4回目の依頼
~:計74枚(回)の依頼があった旨のテロップ
2011年4月18日:"X"からの依頼は断っていた
2011年5月8日:"X"からお礼メールが届いていた
2011年11月3日:最後の記事

動画「オレンジロビンソンの奇妙なブログ」より

 次に、動画内に出てきた写真Aをすべてキャプチャし、特徴的な画像を以下にピックアップします。キャプチャ画像を本記事に使用するのは権利的な問題が生じる可能性が高いため、文字情報だけです。

1枚目:母親と兄、妹が写っている。ロウソクの巨大さが異様
15枚目:野辺山SLランドに訪れている
27枚目:妹の運動会と思われる
28枚目:列車"EF58172"の写り込み。"碓氷峠鉄道文化むら"撮影と思われる
47枚目:"おしりかじり虫"と書かれた物を手にしている
61枚目:八ヶ岳の清泉寮の看板の写り込み
73枚目:列車"EF6310"のヘッドマークが"あさま"。28枚目と同じ撮影場所

 最初の写真について、ロウソクの大きさが何かヒントになっている気もしました。ケーキがあるので、何かしらの祝い事だとは思うのですが、あんな巨大なロウソクを立てる意味は分かりません。謎ですが、スルーします。
 ピックアップした写真に限らず、この家族はとにかく行楽好きのようです。フェリーに乗っていたり、キャンプをしていたり、釣りに行ったり、列車を見に行ったりと、常に家族4人で出かけている印象です。
 最後に送られてきた写真以外に、家族4人が揃っている写真がありませんが、これは父母のいずれかが撮影しているためでしょう。気軽に第三者に写真を撮ってもらうタイプではなさそうです。
 また、列車を撮影した施設や八ヶ岳など、長野から北関東を中心に旅行する傾向が見えます。東京近郊、あるいは北関東に居住しているのでしょうか。
 いずれにしても、この家族が呪われるような原因を、写真から探ることは難しいようです。

 写真を撮影した年代についても考えてみます。写真の色合いや服装的に、昭和時代に撮影された古い家族写真かな、と初見の時は思っていました。
 しかし、キャプチャ画像の情報から辿ったところ、どうやら2000年代のようでした。
 47枚目に写っている"おしりかじり虫"は、2007年の放送開始です。つまり、少なくとも2007年以降の撮影ということになります。

 61枚目に写っている、八ヶ岳の"清泉寮"は実在していました。写っている看板の状態から、新館で運営が始まった2009年以降の写真と思われます。年代的には、おしりかじり虫と同じですね。

 73枚目に写っている「あさま EF6310」については、どうやら1997年に廃車になっているようですが、あいにく列車に疎いので正確な情報でないことは断っておきます。
 本列車は、以降静態保存されており、色んなサイトに載っている画像では、ヘッドマークがないもの、別の名前のマークが付いているものが見受けられました。探し続けたところ、次の記事にあさまのマークが付いた画像を発見。これも2006年頃の記事なので、やはり2000年代の写真ばかり、という分析で間違いなさそうです。

"X"とは何者なのか?

 仮に2009~2010年頃の写真が使われていたとすると、"X"からブログ主に画像が送られてきた2010年~2011年との空白期間は1年足らず、ということになります。わりとリアルタイムに、家族の写真を入手できる人間って、だいぶ限られると思うんです。

  1. 家族の誰か

  2. 家族の親類の誰か

  3. 家族の友人の誰か

  4. 父母どちらかの不倫相手

  5. その他

 1は自分も対象になっている時点でナシですよね。3と4(あるいは3と4の組み合わせ)では、写真を見せてもらうことはあるとしても、ここまで大量の写真入手は難しいはず。こっそり写真のデータをコピーした、というのであれば可能ですが…あまり現実的とは言えないですね。
 そうなると、2の可能性がだいぶ高いと考えられます。例えば、父母の兄弟姉妹と不仲であるとか、義父母と不仲であるといったことは、十分に考えられます。それを表に出さないように振る舞っていれば、写真の入手も苦はないでしょう。
 また、5についても、かなり可能性が高いと思います。例えば、プリントを写真屋に依頼している場合、プリント業者が通り魔的に標的にした、という可能性もあります。その他にも、偶然拾ったデジカメに入っていたデータを使った、半ば悪戯の場合もあり得ます。なぜなら、"X"が直接その家族を写したと思われる、リアルタイム撮影の画像がないからです。呪うことに成功したのであれば、例えば家庭が崩壊した様などを外部から撮影した画像を最後に送ってきてもよかったはずです。リアルタイムで撮影できない関係性、という可能性がとても高いのです。
 怖い。とても怖い動画ですよ。

【2024/01/23追記】
 シーズン2「隠しリンク」の関連として動画を見直していたところ、観点の見落としに気がつきました。本項冒頭で「ナシ」と即落ちにしてしまった“可能性1”について、「アリ」に訂正します。
 もしも、この家族に

どの写真にも写っていない5人目がいる

とした場合、どうでしょう。この可能性を見落としていた、と気がついたときに総毛立ちました。
 家族の中に、いないも同然の扱いを受けている者がひとりいるのです。実際、長野県のある地方の村には、後継ぎ以外の子を奴隷として育てる古い因習があった事が確認されています。そうした「見えない家族」が密かに呪いの儀式を実行していた、としたら。

 それは誰でしょうか。撮影から依頼までの時間差や、業者への依頼であることを考慮すると、子供よりは大人の可能性が高いです。例えば父親の弟や姉妹であるとか。

 そういえば、家族の行動範囲に長野も含まれていましたね…。
【追記おわり】

最後に

 ついつい熱が入って、画像をすべてキャプチャするなどの奇行に走ってしまいましたが、おかげで気がついたことがあります。

 テロップには「5ヶ月間に74枚の依頼があった」旨が記載されていましたが、実際に動画内に出てきた写真は73枚でした。コマ送りで3回確認したので、間違いないと思います。もう1枚はどこに…?
 もしかすると、その後に「全て断った」としている依頼の写真がすべて同一で、それを加算したのかも知れませんが、少しゾワっとしました。

 また、28枚目と、お礼メールに添付されていた最後の画像は、同じ日に撮影されています。兄妹の服装と、妹の運動会と思しき状況が一致していました。つまり、呪いの結果が今撮りの写真ではなく、過去に撮影された写真にも及んでいる、ということになります。おそらく、ブログ主に送ってきた73枚(74枚?)の画像も変化しているのではないでしょうか…。
 こわ!こっっっっっっっわ!!!

 もう3500文字に迫ろうとしている上に怖いので、このあたりで考察やめようと思います。あまりに掘り進めた結果、ある日、どこかの加工業者に我が家の写真が送られてしまうとも限りませんしね。ではまた(了)

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