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ブルアカ『あまねく奇跡の始発点』感想①──透明だけれど無色じゃない

 この記事には、ブルーアーカイブ最終編『あまねく奇跡の始発点』2章20節(1/24更新分)までのネタバレを含みます。

 2023年1月22日、ブルアカ2周年アニバの記憶はまだ新しい。次々と襲いくる新情報の雨あられのなか、極めつけに実装されたメインストーリー最終編。そこから怒涛の勢いでのレイドバトル突入。そのせいで今週はもう完全にブルアカのことしか考えられなくなり、連合作戦とガチャを狂ったように回すことしかできなくなってしまった。こういう種類の飽和攻撃っていうのもあるんだなと思った。
 まだ最終編のストーリーは途中っぽいので、ふだんならこんな中途半端なところで感想を書いたりしないけど、もうぬるいことも言ってられない。こういうことを言っている間にもブルアカが新たな供給をしてくるかもしれないのだから。そういうわけで、そんな「今この瞬間」の熱狂を記録すべく最終編を2章20節まで振り返りたい。

 まずなんといっても、突然最終編が公開されたというのが驚きだった。たしかにこれまでのメインストーリーでは各校を掘り下げていたから、やがてキヴォトス全体を巻き込む話が来て第一部完になるだろうとは思っていた。でもまだほとんど出てきていない学校もあるし、やるとすればもっと先だと思っていた。
(とはいえよく考えてみると、イベストやグループストーリーなどでけっこう色々なキャラ、場所を登場させているし、いちおう最低限の準備は整っていたんだよな)。
 そんな驚きと困惑のなかで始まった最終編は期待通りオールスターキャストでのド派手な展開だったわけだが、ここでもさらに驚かされる。しれ〜〜〜っと新キャラがどんどん出てくるじゃん! 最終編でブルアカを完結させる気がないのはまあわかるとして、どんどん新たな供給をしてくるところに恐怖を覚えるよ。どんだけ手札を隠してるんだよ。
 今回の最終編は第一部のまとめであると同時に、第二部への布石でもあるといえそう。つまりMCUでいえば『エンドゲーム』ではなくて一作目のほうの『アベンジャーズ』なんだよな。ここからもっと風呂敷を広げていくぜ!という意思表明というか……。

 最終編ではvol.1~4の敵役にも絶妙なフォローがあってさすがに行き届いているな……と感心した。vol.2でいうところのトキ、リオ、vol.3でいうところの万魔殿、アリウスとかね。ばりばり話の途中だったカルバノグについても、最終編1章で完璧にフォローしてたし、本当に隙がない。カルバノグ1章で己の正義を問われたカンナがちゃんと答えを出してくるのが良いんだよ。透き通るような世界観の学園RPGでまさかこんなに良い悪徳警官もののストーリーを読めるとは思わなかった。
 ブルアカのメインストーリーの定番である「対立からの共闘」という流れはここでも踏襲されていて、だからこそ最終編1章はヴァルキューレの物語でなければならなかったということだろう。めちゃめちゃロジカルな作劇だ……。
 そしてブルアカのストーリーのもうひとつの定番である「仲間を助けに行く」という要素もがっつり入っている。もちろん砂狼シロコの話だ。かつてアビドスに拾われたシロコを、今度はキヴォトス全体で助けに行くという話の流れになっている。このへんはまだちゃんと掘り下げられていないので今後に期待という感じだけど、かなり心に来る話になりそうで覚悟している。

カルバノグ1章のここのカンナの沈黙が繋がってきてるのがこう…嬉しい!

 あとはやっぱり、ブルアカというゲームの構造そのものに切り込んできたのが衝撃的だった。これまでも「大人とは何か」「大人が子供にできることは何か」という問いかけを通じて、先生の立ち位置を定義してきたけれども、最終編はそこから一歩すすんで「先生とは何者か」というさらに切り込んだところまで行く。
 結論からいうと、先生とはブルアカを学園ものたらしめている存在にほかならない。治安がさいあくで、放っておくとすぐに万人の万人に対する逃走状態になってしまうキヴォトスにおいて、先生は生徒たちが学園生活を送るために不可欠な存在だ。2周年(4th)PVで描かれた凄惨なifの世界を見てもわかるように、ブルアカの世界が突き抜けたように明るい学園ものとしてやっていけるのは、先生がバランスを取っているからだ。
 そしてこれはメタ的な意味でのプレイヤーの立場とも重なる。ブルアカのストーリーが進んだり、生徒たちが成長するのはプレイヤーたる先生がいるからだし、先生が生徒たちにかける愛が、ブルアカを「学園もの」として定義づける燃料になっている。このあたりの話が、フランシスの語る「ジャンル」云々の話に繋がっているのだと思う。キヴォトスの外から来た破壊者の存在によって、先生の役割が可視化されたというわけだ。
 個人的にはブルアカの世界観設定とかはどこまで真面目に読めばいいのかわからないし、メタっぽい発言も賛否あるところだとは思うが、プレイヤーとゲームとの関係についてほんとうに真剣に向き合っていこうという姿勢はすごく好感が持てる。

 今後の展開についてはまだまだわからないけど、ひとついえるのは、これは先生と生徒の願う理想の学園ドラマの、いわば青写真〈ブルー・アーカイブ〉であるということだ。それは透き通っているけど、決して無色じゃない。


 ↓ 感想②


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