お団子おじいさん

昔、昔、それは昔。

ある村にお団子がとても大好きなおじいさんがいました。

おじいさんのお団子に対する執着心は異常なものがあり、世の中にあるお団子の匂いを、ひとたびかげば、それがどこの地方のお団子か分かってしまうほどマニアックでした。

しかし、お団子おじいさんの大事にしている至高のお団子は長年ゆっくり少しづつ食べて来ていたのに、もうお団子倉には、たった1つしか余っていません。

お団子おばあさん「おじいさん!

もうこのお団子は1つしかありませんからね〜!

粗末に頂かないでくださいね〜!!」

お団子おじいさん「…わ〜っとる!!

婆さんや!!うるさいぞ〜!!」

お団子おじいさんは、お団子おばあさんにガミガミ言うと、たより無い足どりで近所のお団子屋を目指しトボトボ歩いて行きました。

お団子屋さん「いらっしゃいませ。

お団子おじいさん。

またおばあさんに叱られて来たのですね?」

お団子おじいさん「!?

なんでそんな事が分かるのじゃ!?

お前さんはいったい何者じゃ〜!!」

お団子屋さん「おじいさん。

1軒むこうのお家から、いつも2人の声は届いて

いますよ。」

お団子おじいさん「??

はて、そうだったのかの〜。」

お団子屋さん「ハハハ!!

ではいつものお団子をお持ちしますね。」

そしてお団子屋の店主が店の奥に消えていくと、辺りはのどかな田園風景に視点が定まります。

田園地帯は穏やか。

良い天気です。

すると田んぼの向こう側から、赤紫のスーツを着た柄の悪い2人組がこちらに向かって歩いて来るじゃありませんか。

2人とも頭に角を生やしたリーゼント頭でグラサンをかけていました。

鬼頭「オイッ!!

店主!!

はよ借金返済してもらおか〜。」

お団子おじいさん「…む。

…お団子はまだなのか?」

スタスタスタ…。(店主の足音)

お団子屋さん「アアア!!!

オニガシラさん!!!

すいません💦

もう少し待ってください💦」

鬼頭「オイ!!

子分!!

ちょっと見せたれや!!」

するともう1人の赤紫のスーツが、足でそこら辺に有る椅子や机を蹴り飛ばし始めました。

お団子屋さん「ひぃぃぃぃ!!!

ご勘弁をーーー!!!」

お団子おじいさん「オイ!!

店主!!!

ワシのお団子はまだなのか〜!!!」

店の左側では鬼頭達が暴れ、右側ではお団子おじいさんが店主に訴え続ける。

ドタバタ、シェ〜シェ〜。

お団子おじいさんはついに頭に来て、鬼頭達に近づいてこう言いました。

お団子おじいさん「ええ加減にせえ!!

お前ら!!!

団子にホコリがかぶるじゃろ!!!」

鬼頭「アーン!!!

そんなに食いたきゃ、たんぼの中で食ってろや!!!」


鬼頭は店主が持ってきたお団子のお盆を奪い取り、田んぼの中にお団子をぶちまけました。

お団子おじいさん「団子〜。」

おじいさんは、投げ飛ばされた団子に、なんとか走り寄ろうとしたのですが届かず、滑稽なまでの姿で田んぼに体をダイブしました。

ボチャ、ボチャボチャボチャ…。

団子は田んぼの水の中に落ちてしまいました。

お団子おじいさん「ワ〜シのぉ、

どぅあ〜んご〜〜〜。」

バシャン!!!

気づくとお団子おじいさんは田んぼの水に身体を打ちつけていました。

しかし、おじいさんのお団子に対する執念は恐ろしい物でした。

お団子おじいさんは田んぼに落ちた団子をかき集め、口いっぱいに頬張り、良くかんで、しっかり飲み込んで、こう語ったのです。

お団子おじいさん「お団子達が死んだ…。

死んだ…。

……。

お団子を殺したのはおめええかあああ!!!

ワシャ、怒ったぞーーーーー!!!」

お団子おじいさんはすかさず、中腰の姿勢になり「W-P38」と書いてあるお団子袋に右手を突っ込み中にある最後のお団子に手を伸ばしました。

お団子おじいさん「これがワシの最後のキビ団子じゃーーーーー!!!!!!」

ドッカーーーーン!!!!

ムシャムシャムシャ、クッチャ〜、クッチャ〜、クッチャ〜!!!

ベッ!!!

ゴクン!!!

お団子おじいさん「くっらえ〜〜〜!!!

桃太郎スクリューパイルドライバーーー!!!」

鬼頭「ぎょえーーーーーー!!!!」

ヒュー、クルクルクル、ドテチーーーン!!!

鬼頭達は最後のキビ団子を食べた桃太郎にコテンパンにやっつけられて尻尾を巻いて逃げてしまいました。

皆さんも食べ物は粗末にしないように気をつけましょうね。

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