短期派遣


転職活動の合間に
2か月間の工場派遣をやってみた。





誤解されたくないのだが
決して仕事が決まらなったからではなく
完全に狙って
仕事を辞めると決めて割と早めに
有休消化の翌日から働けるよう
事前に面接を受けて
計画的に
短期の工場派遣に申し込んだ。


すべては工場に入ってみたいという
完全な興味本意だった。







派遣初日
同時に入る数名と一緒に説明を受け
作業服を渡される。




高校生のアルバイトからずっと
好んで接客業に従事してきた私にとって
初の作業服



ダサい。





接客業で支給される
相手に見られることを意識して作られた
制服とは異なり
作業服はその名の通り
作業するための服なので
そもそもかわいいはずがないのだけれど

その控えめな、くすんだ色味と
デザイン性のなさと
無駄にたくさんあるポケットは
ザ・作業服感があり
工場勤務するんだなと実感が湧いてきて
思わずニヤけてしまう。

もちろん他にニヤけている人なんて
1人もいない。

顔を引き締める







案内された更衣室はとても広かった。

某有名家電メーカーの工場なので
従業員のロッカーもやたらと多い。

小さなロッカーが隙間なく並んでいる。

これも工場っぽさがあり
とてもよい。





作業服に着替えてみたが
やっぱりとにかくダサかった。


上着のファスナーを一番上まで上げ
ボタンをとめる。

髪を一つに結び
支給された茶色のメッシュのキャップを被る。

キャップの後ろの穴から
一つに結んだ髪を垂らし
前髪も邪魔にならないよう
ピンで固定してみる。

どんどんダサくなっていく。

鏡を見てまたニヤける。







着替え終わった他のメンバーと一緒に
案内されながら工場内に入ると

入っていきなり
工場らしい大きな機械があり
ヘルメットをかぶったおじさんが
手袋をしながら作業をしている。


たくさんのラインがあり
ラインに沿って人が並んでいて
様々な形の製品が
一定のペースで流れていく。

いろんなところから
いろんな機械の音がする。

フォークリフトに乗った人もたくさんいる。







私のテンションは
その瞬間MAXになる。



思わず
「うわぁ」と声が漏れる。





なにこれ!
すごい工場っぽい!




これで私の工場への興味は
完全に満たされた。

作業服も着れたし
正直もう満足だった。


けれどそうはいかない。
だってこれは工場見学ではなく
時給を頂くお仕事なのだから。

もちろん楽しかったのはここまでで
後は2ヶ月間
とても過酷な毎日を過ごすことになる。





私は完全に
工場勤務をなめていた。


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