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1億円の低カロリー

―1億円あればできるんだって。分割もいけるらしいよ。

「今回の動機をお伺いしてもよろしいでしょうか」
「はい。モデルを続けるためです」
「なるほど。このシステムは低カロリーでもありますからね」
それでは始めます、と担当者は採血をした。

1週間後、彼女の複製が届いた。
複製にはカテゴリーがあり、彼女が選んだのは『食用』であった。
なくなったら新しいものが届く契約だ。

システムで作られた『食用』はいくら食べても太らない。
カロリーの概念は覆され、どんなに計測しても低カロリーである。
イキイキとした細胞を食すため、アンチエイジングにもいい。
そう聞いた業界人はみな手を出していた。

「私っておいしいなぁ。ずっと野菜ばかり食べていたからかな」

彼女の冷蔵庫には解体した部位で満ちている。
解体は必ず契約者自身がやらなければいけない決まりがある。複製できるのも自身のみ。

「他のモデルもおいしいだろうなぁ…」

―あの子、食欲に負けてホンモノ食べたんだって。

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