見出し画像

11/16 4:53 ナマとセイと呼吸と髪

円形脱毛を見つけた。
そこだけ生っぽい肌が露出していて、自分が思ったより『生』で安心した。
更地になったそこは指の第1関節程度の大きさ。
数年前に出来たのと同じぐらいだった。
あの時は全てが混濁していて、表面張力で保ったような精神をしていたと思う。
少し衝撃を与えたら溢れるような。
じゃあその時と同じぐらいにストレスを感じているかといったら、ノー。
それでも、心がざわつく。

実はストレスなんじゃ?
実は無理してるんじゃないだろうか?

思い返せば心当たりは少し。
もともと人付き合いは得意じゃない。
それに忙しいのも好きじゃない。
できれば夢も希望もなく、ただ日常のぬかるみにはまりたい。
何も無ければ、何も考えないのに。
なんだかんだと小さいストレスまで見つけてしまう。
サッシの埃を見つけるような作業だ。
なんという姑根性。

指先で私の空虚をなぞる。
生の感触は、インクのシミのように不安を滲ませる。
あぁ。生だ。
生きている。

心が葛藤して、生き抜いた先。
私は笑顔で最期を迎えるような人間じゃない。
死ぬために生きている。
深呼吸を、ひとつ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?