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沙希さんが結婚の挨拶に向かったのは、椿で有名な島だった。 東京育ちの彼女には全てが真新しく、恋人の実家にもすぐに馴染んだそうだ。 「広志、ちょっとお願いしてもいい」 庭から母親の声が聞こえ、お手洗いに立った広志さんの代わりに庭に向かった。 「あらやだ、沙希ちゃんが来たの! 広志にリスの始末お願いしようと思ったのに」 そこにはネズミ捕りより大き目の金属製のカゴがあった。 中にはグルグルと回る毛皮が見え、近づくとギャアギャアと鳴いた。 「島でリス園まで開いたんだけど増えるのが