マガジンのカバー画像

記憶の紙魚

69
雨森が集めた怪談。 こっそり怪談イベントの感想も。 ※朗読や語り利用されたい方はご連絡ください。 内容の肉付け含め相談OK。勉強中のため無償です。
運営しているクリエイター

2021年6月の記事一覧

ミシャグジ様

孝志さんが8歳の春。 珍しい祭りを見るため、母方の祖母の家に連れてられて行ったそうだ。 祭りまでは数日あった。 暇で田舎道を散策していると、古びた寂しい雰囲気の神社を見つけた。 立派な梶の木が、たっぷりと木陰を作っている。 春だと言うのに西に傾いてきた陽が強く、そこで休むことにした。 「ねぇ、遊ぼう」 急に声をかけられた。見ると着物姿の同じ年頃の男の子が立っている。 戸惑っていると、夕刻を告げる音楽が田舎の空に響いた。 「ねぇ、遊ぼうよ」 孝志さんは困ってしまった。