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事故が起きたときの事実

静岡での橋桁落下事故を受けて、調査委員会が開催されています。
先日、第2回の委員会が開催されその概要が静岡国道事務所HPにて公開されています。公開された資料から、現時点では原因究明の前段としての、現場状況の把握の段階にあるようである。
工事中事故が発生した場合、得てしてこれまでの経験が思い込みや先入観などを生み、早計な結論へ結びつけてしまうことがないとも言えません。
第2回の委員会では事故へのつながりの有無については言及せず、ただただ現場から確認できた客観的な事実の把握を行うことを主眼とした報告が行われたものと思われます。
この客観的な事実からのみ真の事故原因の究明と効果ある再発防止策は生まれるものと思います。

一般的に事故が起きた場合の工事再開までの流れとしては、「事故発生」→「工事中断」→「原因究明」→「再発防止策の実施」→「工事再開」といった流れになるであろう。
これを踏まえると、今回の場合にも原因究明・再発防止策が行われるまでは工事が中断していることと思われます。
故に、工事関係者にしてみれば1日も早い原因究明・再発防止策を経ての工事再開が望まれているとことと思います。
小規模な事故であれば、社内的な調査・原因究明・再発防止策の策定を経て、発注者の承認を得る、といった手続きで工事を再開することとなり、工事が中断したとしても数日程度、早ければ翌日には工事再開の目処が立つことも珍しくはないのではと思います。
今回の橋桁落下に関しては、事故の規模・被害の大きさから外部識者を交えた委員会が立ち上がっているため、数日程度での工事再開は無理であることは工事関係者も認識していることろではあろうが、1日も早い解決を望んでいることは想像できる。その望みは、委員会メンバーにとっては圧力にもなり得るものと思います。
個人的には、これまでの委員会での報告からいくつかの気になる点が出てきてはいるものの、その思いつきが必ずしも事故の発生要因に繋がっているとは限らない。ひとつでもヒントを見つけるとそれに固執し、その考えを裏付け、補強するための要因ばかりを探し始め、その考えから離れられなくなっていく。その傾向は経験があればあるほど大きいのではないだろうか。様々な経験がある自分自身が思いついた考えである、間違っているはずはないのだ、といった自信がそうさせるのだろう。
そんな思いに抗いながら、客観的事実を積み重ね、事故へ繋がった要因を洗い出し、ひとつづつ丁寧に検証して原因を究明する。その結果、真に有効な対策が見つけられるのだと思います。
第3回以降の委員会にも注目していきたいと思っています。


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