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【詩】抱擁

<bara>
薔薇にはとげがあり
自らを綺麗にするために
触れる男どもの 赤い血を吸っている

夕焼け雲が
静かな時を告げるときに
花の香りは 濃くなって

夜の備えをしている

<抱擁>
雲の間   透く 月光 
なまめかし 白肌 香り
くびすじ  沿う 指先
微笑み   潜む 情欲

あなたは 物体で いて
こころであり 自然にあり
知らぬ間に 見詰め合う瞳

包み込む 霧のよう
吐息に 満ちて
やはらかに 愛撫は続き

言葉と時間が
ひとつになりて
紡がれる

しめやかな 静謐なる
匂ひがする

<タントラ>
あなたの笑顔は永遠にあり
月ひかりの中の蛍光虫のように
きらめき
甘えるような言の葉に
生きる蜜を感じる
香のにおひが艶かしく
肌のような気配で
血の流れがみえた
暗闇は全てをつつみ
時空を胎内に潜めて
火炎をゆらめき
静かな時が流れる


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