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播但線・加古川線の旅(2)

         播但線・加古川線の旅(1)から続く

賑わいのある福知山

 福知山での待ち合わせ時間は約50分。どのようにして過ごすかは当初の計画では未定であったが、立派な駅と駅から見える町並みに惹かれて迷わず改札を出ることに決定する。
 駅舎は最近改修されたのか、とても清潔できれいである。改札前コンコースにはコンビニや専門店など商業施設も入居している。人の流れも多く賑わいを感じる。失礼ながら事前にイメージしていた“福知山”とはずいぶん異なって、都会的である。
 コンビニで素早くパンとコーヒーを買って待合室のベンチでかき込む。遅ればせながら本日の昼食完了。そして町探検に出かけることにする。
駅はどちらが表でどちらが裏なのか分からないほど、両方とも賑わいを感じる景色が広がっている。片方の駅前広場には堂々たるSL機関車が展示されている。写真を1枚。すぐUターンして反対側の出口からまっすぐに伸びる通りを歩いてみることにする。すぐに見えるのがJR西日本福知山管理部の建物である。ビル玄関の御影石には「西日本旅客鉄道株式会社」と描かれている。ここはJRの拠点の一つなのである。だからこそ駅やその周辺は整備に力が入っているのか…。
 しばらく歩くが、人通りもそれなりにあって飲食店なども多くが営業しているようである。15階程もある高層マンションなども見えたりする。繰り返しになるが、福知山の印象変更! 
 ただ、賑わいを感じるのは先程来マイクを通して聞こえている選挙運動の声が要因なのかもしれない。ちょうど明日が福知山市長選挙の投票日のようで、一人の女性候補が駅前広場でしきりに声を上げている。周囲には幟旗をもった多くの支援者が立って道行く人に手を振っている。と、そこに対立候補と思われる現職の男性候補者が乗った選挙カーが通りかかって信号待ち。その間、現職選挙カーはすっとアナウンスを中止する。ふと東京で何とかという政党が他候補を追いかけ回し、暴力まがいの行為を行っていたニュースを思い出すが、ここ福知山では、しっかりと大人の対応がとられている。その選挙カーは出発する際、「○○候補(駅前の女性候補)の健闘をお祈りいたします」とアナウンスして去って行った。福知山の印象、再度向上。

谷川まで

 駅に戻り、改札を通って4番線、福知山線のホームに向かう。
しばらく待つと、2両編成の篠山口行き普通電車が入線してくる。乗り慣れた2列シートの新快速型である。ただしワンマンカー。今日これまでに乗った列車は全てワンマンで運行されている。窓側の席にゆったりと腰を落ち着ける。部活帰りなのか、土曜授業があったのか、女子高校生のグループが賑やかに話している。
 14:07、定刻に電車は福知山を出発。山陰線の線路が左に別れていき、わが電車は福知山線の線路を進む。すぐ左手に福知山城が見える。スマホを出してすばやく写真を1枚。電車は快適な振動とともにスピードを上げていく。
 窓外は午前中から見ている景色と大差はなく、田園地帯と住宅地が入れ替わり現れては消えていく。駅間はそこそこ長い。
 14:26黒井着。対向列車の待ち合わせ。いつの間にか女子高校生も下車し、車内は静かである。2人掛けシートに一人ずつ、といったところか。
 14:29、白い特急電車がすれ違っていき、わが電車も出発。
 14:34、石生(いそう)着。アジア系外国人と思われる若者6~7名のグループが乗車してきて、車内が少し賑やかになる。この時、乗車しかけた2人が駅舎の方に引き返し、何やらした後あわてて電車の方に戻ってきた。運転士さん(今回は若い男性)はこれを見て、いったん閉めたドアをすぐに解除して2人を迎え入れた。今日の運転士さんは皆乗客に優しい。そしてさりげないプロ意識を感じる。
 14:39、柏原(かいばら)着。駅は少し賑やか感がある。この辺り、窓外の看板に「氷上」「ひかみ」の文字。聞き覚えのある地名である。
 そして、14:46谷川着。時刻表通りの到着である。電車はこのまま福知山線を走って篠山口まで向かうが、当方はここで下車して加古川線に乗車する。いよいよ本日の最終イベントである。

加古川線へ

 谷川駅は寂しい山間の駅であるが、ここが加古川線の終着駅となっている。跨線橋を渡って階段を下りたところに、Uターンの矢印とともに「加古川線乗り場」の案内表示があった。振り返って見ると、そこにブルーと銀色の車体をした1両編成の電車がじっと出発を待っていた。15:13谷川発、西脇市行きの普通電車である。
 出発までまだ30分近くあるのに、すでにスタンバイ完了といった感じで、男性の運転士さん(兼車掌さん)と思われる人が一人、電車の横に立って乗客を迎え入れている。といっても、やってくる乗客はまばらなのだが…。
 時間があるので、いったん改札口へ行き駅員さんに断って外に出る。駅舎の写真を1枚。駅近辺にはこれと行った見所はなさそうである。
 トイレを済ませ電車に戻る。車内は左1列、右2列のシートが並ぶタイプである。左側の1列席に腰を下ろす。乗客は12~3名といったところか。鉄道マニアと思われる小学生くらいの少年2人が、スマホを触りながらしきりに電車の話しをしている。
 15:12、向かい側のホームに白い車体の特急「こうのとり」が入線して停車。入れ替わるように、15:13、わが1両の電車は谷川駅を出発した。
 出発してすぐ、鉄道マニアの小学生たちは席を立って運転席のすぐ後ろに移動。前方の線路や運転士さんの様子を興味深げに眺めている。と思ったら、今度は車内を小走りに移動して最後尾に行ったりしている。なかなか気ぜわしい。車内には、他にも“乗り鉄”とおぼしき少年や青年の姿が見える。
久下村を出てすぐに電車は最徐行となる。左側に崖が迫り、一部崩れたところにブルーシートが掛けられているのが見える。
 15:22、船町口着。着いたとたんに、後ろにいたマニア小学生が走って前方の運転士さんに何かを伝えに行く。聞き耳を立てると、どうやら後ろのドアに不具合があるのではとの申し出を行っているようである。ここで運転士さん、少年とともに後ろまで歩いて来てドアを見た後、「大丈夫だよ」などと優しく話している。またしても乗客に優しい運転士さん。今日の乗車は気持ちがいい。
 15:26、本黒田着。看板には「黒田勘兵衛生誕地」と書かれている。
 15:35、日本へそ公園着。このような名前の駅があるのを、もちろんはじめて知る。そして目の前には「日本へそ公園」の入り口が見えるが、少しのわびしさ感は否めない。
 15:37、比延(ひえ)着。山すそに広がる平地に、民家が続いている。ちなみに、見える車は、いつの間にか「神戸」ナンバーになっている。
 15:41、新西脇着。この辺りの駅間は短い
 そして15:43、定刻に終点・西脇市に到着した。

旅の終わり

 西脇市での乗り継ぎ時間は短い。下りたホームの目の前に待っている2両編成の加古川行き普通電車に素早く乗車する。ロングシート型であるが、乗客は少ない。1両目には十数名、2両目には5名ほどである。2両目のシートにゆっくりと腰を下ろしたところで、15:45、電車は西脇市駅を出発した。先ほどのマニア小学生もしっかり乗り込んで、窓外を眺めたりしている。
 15:52滝野着。15:56社町着。高速のインターで聞き覚えのある地名が過ぎていく。左手に中学校が見える。グラウンドでは部活動真っ盛りといった感じで、生徒たちが動いているのが見える。休日のこの時刻に熱心である。今日は終日天気がよく、気温も高い。熱中症が少し心配だが、余計なお世話であるのは言うまでもない。
 車窓は、田畑と住宅地が続く。いよいよ旅も終盤に近い。それにしても、この電車はまたよく揺れる。メモ帳に書く文字が判読不明になってくる。揺れる電車と揺れない電車。車両の問題なのか線路の問題なのか…。
 16:06粟生(あお)着。多くの乗客が乗り込んできて、やや慌てる。シートがほぼ埋まり、立ち客もある状況となる。地図で確かめると、粟生駅は神戸電鉄や北条鉄道との乗換駅となっており、納得。対向列車を少し待って、16:08出発。
 16:12小野町着。
 16:20頃、大きな鉄橋で加古川を渡る。加古川は広い川幅いっぱいになみなみと水を湛えている。都会が近づいてきた空気感。渡ったところで、厄神着。
 16:25神野(かんの)着。乗降客少々。
 16:28日岡着。乗降客数名。少し外が曇ってきた。出発後、住宅地の密度が濃くなってきたと思ったら、一気に市街地が広がり都会の風景となる。
 そして16:31、定刻に終点・加古川に到着し、加古川線の旅が終了した。

 姫路を出発して加古川まで、乗った列車は計7本。すべて1両または2両のワンマンカーで、乗客に優しい運転士さんばかりでした。感謝。ただし、揺れる電車と揺れない電車の原因は今も不明…。

 加古川からは、16:37発の敦賀行き新快速に乗車。このまま京都まで行くか迷ったが、意を決して西明石から新幹線を利用することにする。
 16:46西明石着。改札を出て自動券売機で京都までの新幹線切符を購入。
 17:02西明石発「こだま854号」新大阪行きに乗車。自由席はガラガラである。
 17:11新神戸着。下車して「のぞみ」に乗り換える。
 17:16新神戸発「のぞみ40号」東京行きに乗車。自由席はほぼ満席であるが、何とか席を確保。
 17:43京都着。
 先ほどまでの7本の列車と新幹線とのスピード感の違いに、体がややついていかない気分…。


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