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ラーメンどんぶりの底に隠されていた真実


後になって気づくことが多い日常ですが、何気にラーメンどんぶりの底に書かれていた文字の中に隠されていた真実があったという個人的な話です。ここのラーメンは誰もが
食べられるラーメンではありません。富山県の山深い場所にある折立キャンプ場から
数時間かけて山を登った太郎平小屋で提供されているラーメンだからです。

北アルプルの太郎平小屋の太郎ラーメンは知る人ぞ知る山小屋のラーメンだけど
どんぶりの底まで食べると現れるクレージー クライマー(Crazy Climber)の文字。
まさにここ北アルプスの真実をさりげなく語っているということに後で気がつく。
まずここの場所は登り口の折立から高度差1,000m徒歩で登ったところに
あるだけでなく、皆がまず目指す薬師岳はさらにそこから600m登った所にピーク
がある。
1日で1,600mを大概のクライマーが登るわけです。(富士山は5号目から約1400m登る)
しかも単純に登るだけでなく、途中で何度も下ったりする だけでも無く ゴツゴツした
岩の上  だけでなく足のスタンスの届かない岩場もあり、松の枝が伸びまくり足の
踏み場もない場所を痛い足を抱え登り続ける必要がある。
これらのクライミング行為は まさにクレージーです。

登山道は困難な道が続くだけではなく、街中では考えられないような 手すりも無い
崖の脇を不確かな足場を使って移動せざるを得なかったり(仕事なら労安衛法違反)
小屋と小屋の距離もゆうに4時間以上はかかる距離にあったり、標識も不確かで
巻道も無く必要以上にピークを超えながら進まざるを得ない所も多い。
ましてや携帯電話も届かないという 危険極まりない環境の中を限られた時間内に
移動を終えなければならない。
安全が確保された都会の中での日常に比べると、まさにクレージーな状況である。

小屋についても快適なわけではない。雨水の飲料水が提供されていれば良い方で晴天が
続くと提供できる飲料水が不足し、遠くの水場まで汲みに行かざるを得ず ジュース類が
売っていないわけではないが、市価の数倍の値段は当たり前でトイレも有料かつ
ボットん式で風呂などあろうはずもない。
寝る場所も仲間内での個室なら最高な部類でそれ以外は1人布団一つ分のスペースで
雑魚寝となり いびきや周りの音で眠れない人が出るのも当然の状況である。
まさにこんな環境に好んでやってくるなんてクレージーである。

なにより生きて帰れるかどうか 自分の精神的な強度や体力的な強度をこの困難な状況に
照らしあわせもせず やってくるクライマー達こそが まさに Crazy Climber である。
ラーメンどんぶりの底の文字は そのことを 私に問うている気がした。

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