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2021年に再確認した我が家の定番、シンプルな高菜パスタ

食べることが大好きで、料理も好き。台所には小学生のときから立っている。サーフィンを始めたことで、人生で一番食べていた20代。覚えた料理の喜びは、好きな食材を好きなだけ食べられること。好きな食材トップ5にパスタは常にランクインしている。食材常備棚で切らすことはない。結婚してからもパスタ好きは変わらず、妻もパスタ好き。喜んでくれるのが嬉しくて様々な味を試行錯誤を重ねていく。気がついたら我が家の定番が出来ていた。

休日の昼下がり、聞こえてくるリクエスト

2021年春、ネットニュースでは、一年遅れて東京で開催されるスポーツの祭典開催に向けた意見が飛び交っている。世界的な情勢は相変わらず落ち着く気配が見えない。マスクは私達を守っているのではなく、見えない相手と対峙している不安な表情を隠しているようだ。

休日の昼間、spotifyでlofi系のプレイリストが自宅居間のスピーカーから流れている。開け放たれている窓から、外の空気とともに遠くで工事しているらしい音も心地よく流れ込んでくる。天気は晴れ、青空にふわふわとした曖昧な輪郭の雲がゆっくりと南の空から北へ流れている。高い位置にある太陽からの光は心地よく、照明をつけなくていい程度に室内を照らしている。妻は隣の部屋で魔法系長編ファンタジー最終巻の世界に没入。今日は波もない。午後は一緒に買い物へ出かけようか、などと夫婦の会話が流れている。平日に溜まった洗濯物は、夜にやればいいだろう。プライベートアカウントの溜まっていたメールを処理しながら、読み終えていない本が頭をよぎる。仕事の日とは違う、自分のペースでコーヒーを飲める心地良い時間が流れている。

「高菜パスタ食べないの?」
唐突に聞こえてきたランチのリクエストは、妻からよく聞こえてくる言葉だ。結婚当初から何気なく作っていた高菜入りのオイル系パスタを彼女はとても気に入っている。毎日食べたいと言ってくれるほど。どんな料理でも美味しいと食べてくれるのは、作りがいがあるというものだ。くいっとコーヒーを飲み干し、キッチンへと向かう。


調理器具

・トング → 具材混ぜるのに使う
・小さいフライパン(直径24cm程度) → オイルソースを作るのに使う
・大きいフライパン(パスタが入る大きさ) → パスタを茹でるのに使う

材料(二人分)

・伊東家のごまたかな 100g
・スーパーで安かったオリーブオイル
・桃屋のきざみニンニク
・鷹の爪(無くてもしょうがない)
・味の素のほんだし
・好きな醤油
・selvaの1.7mmパスタ200g

あるともっと美味しくなるもの

・生レモンやシークワーサージュースなどの柑橘類
・タバスコ、七味

Selvaのパスタと伊藤家のごまたかな

作り方

1)準備
鍋の水にオリーブオイルを3回し程度入れてお湯を沸かす。パスタにオイルの膜を作ることで、チュルチュルっとした食感を演出することが目的。

鍋のお湯が沸くのを待つ間、ソース用のフライパンを用意。きざみにんにくと鷹の爪を丸ごと一本入れる。オリーブオイルをフライパンの底がオイル膜で埋まる程度に回し入れ、弱めの中火にかける。
にんにくにオイルをかける瞬間、「これから美味しいもの作るぜ」と自分のスイッチが入るのが楽しい。だが、慎重に…。火が強すぎると、きざみにんにくの香りが簡単に飛び散ってしまい、更に鷹の爪もすぐに焦げてしまう。ゆっくりゆっくりと両方の香りをオイルに移していく。火が弱くても焦らない。お湯が沸くまではもう少し時間がある。波が来ないときはじっくり海面を観察して、待つしか無いのだ。

2)パスタを茹でる
パスタ麺はSelvaの1.7mmを好んで食べている。標準ゆで時間は8分。いろいろなパスタの乾麺を食べ比べたが、鼻を抜ける小麦粉の香りとぷるんとした食感が我が家の料理とよく馴染む。そろそろお湯が沸いたようだ。一気にパスタを大きいフライパンに投入。パスタがお互いにくっつかないようひと混ぜ。

3)オイルソースに高菜を投入
さぁ、ここから一気にすすめる。小さいフライパンの火力を中火に上げる。にんにくの香りが移ったオイルに「伊藤家のごまたかな」をお箸でどっさりと入れる。ごまたかなの塩気が味を決めていく。どれだけ入れても多すぎるということもない。ほんだしも一振り、高菜から出てくる水分を飛ばすイメージで炒める。ひと手間をかけないと、相手はこちらの想いに応えてはくれない。

茹で時間が5分になったら、お玉で茹で汁を1杯小さいフライパンへ。火力を少しだけ上げる。残り2分、茹で汁のなかでごまたかなを踊らせる。にんにくの香りをまとっとオイルが高菜に取り込まれているので、無理に乳化を狙う必要はない。ごまたかなが茹で汁によって均一にほどけ、パスタとしっとり絡み合わせたい。そこに醤油を一回し。味見をして、少ししょっぱいかなと感じる程度が、パスタを加えた時に丁度いい。微調整は醤油のみ。大豆の懐の深さと「美味しくな〜れ」の愛情の組み合わせは秀逸だ。

4)パスタとソースを絡める
茹で時間が7分になった。パスタをトングでそのまま小さいフライパンに移していく。パスタに絡みついたお湯も遠慮なく小さいフライパンに一緒に入れる。一緒に入っていく茹で汁も美味しいソースへと変化していく。細かいことはあまり気にしないことが大事。洗い物が増えるので、ザルなどで湯切りはしない。簡単なことを難しくするのは、頭の固い皆様に任せておけばいい。

あとは混ぜるのみだが、二人分の量は小さいフライパンで混ぜきれない。大きいフライパンの茹で汁は流し、豪快に移していく。大きいフライパンに移ったごまたかなオイルソースとパスタを一気に混ぜる、混ぜる、混ぜる。すると、混ぜているパスタがツヤっと光り始める瞬間がある。オイルソースがパスタにしっとりと絡みつき、素材が調和して美味しく整った瞬間だ。今日も美味しそうだ。


二人分のお皿に盛り付け、テーブルへ運ぶ。食べる前から妻は笑顔だ。にんにくと鷹の爪の香りをまとっとオイル。パスタに絡みついたごまたかな。お皿に溜まっているオイルソースを重力に逆らい口へ運ぶ。ぷるんとしたパスタの食感は、まるで口の中でパスタが小躍りをしているよう。一緒にあるといいのが、生レモンやシークワーサーなどの酸っぱいジュース。柑橘がじっくり育てたオイルソースに、奥行きと爽やかさを出してくれる。満天の星空は夜が明けると青空になるように、違う表情を味わえる。タバスコや七味も楽しいアクセントだ。今日も美味しい。

美味しいだけではない。我が家の高菜パスタ

先日、2021年で一番感動した味について考える機会があった。振り返ると、覚えている美味しいものは沢山ある。同時に、情勢は落ち着かず見えないストレスが続く。それでも体は遠慮なく腹が減る。特異な状況の中で「一番」を考えると、我が家の定番がまっ先に思い浮かんだ。
定番とは、言い換えれば受け継がれていくもの。関わる人にとって良い事があると信じられているコト。当たり前に存在しながらも、ポジティブな影響を与え続けているモノやコトが定番となっていく。
我が家の高菜パスタは、美味しいだけでない。今日も妻の笑顔と声が聞こえ、安心と感謝を与えてくれる定番だ。
「高菜パスタ食べないの?」

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