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音楽うた物語「ごんぎつね」

新美南吉の有名な童話「ごんぎつね」を音楽うた物語として2022年に作曲しました。
「ごんぎつね」は、ほとんどの国語教科書に載っているそうです。きっとほとんどの方が、一度は読んだことがあるのではないでしょうか。この「ごんぎつね」は、はじめ童話雑誌「赤い鳥」で発表されますが、主宰の鈴木三重吉が多く修正をしています。私たちが教科書で読んだのは、この鈴木三重吉の編集したものだそうです。新美南吉が書いた草稿(オリジナルの原稿)は、三重吉編集のものと比べると、だいぶ物語から受ける印象に違いがあります。三重吉のテキストは、わかりやすく無駄な表現をはぶき、わかりにくい単語を置き換えたりして、全体的に明快な文章となっていると思います。南吉の草稿のほうは、やや未完成な印象を受けますが、カットされていない分、南吉の表現がストレートに伝わってくるように思えます。

作者のテキストに手を加えるというのは、いろんな問題を含んでいるように思えますが、「ごんぎつね」がたくさんの人々に受け入れられていったという点では、三重吉がテキストに手を加えたことは、プラスに働いていたのだと言っていいでしょう。

この作品を音楽化する際、まず台本を作成しましたが、教科書に載っている三重吉編のテキストだけではなく、南吉の草稿をブレンドする形で作成しました。また南吉の作品普及に尽力した友人の巽聖歌編のテキストも、ほんの少しですが含めました。さらにひらがなの表記は、基本的に巽聖歌編のテキストに揃える形にしました。詳しいことは専門外でわかりませんが、教科書に載せる際に難しい漢字をひらがなに変える必要があったのかと思います。巽聖歌のこの作業に友人としての南吉への愛情を感じます。

上演時間は、約30分。もともと短い童話ですが、とてもドラマティックな物語です。30分の音楽のなかで、この物語をダイナミックに表現しきれるよう心がけて作曲しました。編成は、最小6人(歌い手3人楽器奏者3人)、最大12人(歌い手9人楽器奏者3人)です。以下にダイジェスト動画をご用意しました。ご覧いただければと思います。

※作品についてのお問い合わせは、kimura-tetsuro@outlook.com までお願いします。


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