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自分たちでゼロから結婚式を創った夫婦の話し。~Ep11.「ごめん、前倒しになった。」~

Ep11.「ごめん、前倒しになった。」

 妊娠の安定期には入っていなかったものの、つわりの終了時期とお腹が大きくなり始める時期を考慮して7月あたまには結婚式をしなければならないことを全員に伝えることにした。

 少し強張った表情で僕は切り出した。

「あの、みんなに言わなきゃならないことがあるんだけどちょっといいかな・・・実はさ、みはるが妊娠したんだ。」

 一番に反応したのは知念だった。最初は驚いた表情を見せたが直ぐに満面の笑みで、「楽しみですね!!お二人の子どもだからきっと可愛いですよー。」その後もメンバー全員が次々に祝福してくれた。

 笠井は「テツリさんに似たら顔が濃くなりますね!」とゲラゲラ笑っていた。あとで、足の毛をむしっておいた。

 そして僕は話を続けた。「ありがとう。でも、祝福ムードの中、本当に申し訳ないんだけど当初予定していた結婚式が10月から7月に前倒しにしないといけなくなった・・・・。実際、今が4月中旬。結婚式が7月だとしてあと3ヶ月ちょっとしか準備期間がない。間に合うかどうか正直分からない・・・。」

 そんな僕の力ない言葉を聞いて長谷川が勢いよく言った。「てつりさん!大丈夫ですよ!3ヶ月もあれば準備出来ます。というか、絶対終わらせます!」おそらく、長谷川のその言葉に根拠は無かったと思う。でも、彼のその一言に少し救われた。

 「まあ、確かにジタバタしても仕方ないか。やることやって間に合わせよう。」

 皮肉にも危機的な状況がみんなの絆を以前より強くさせた。

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