野球部不幸計画
俺は野球部が嫌だ。
(サッカー部も含む)
ここで言う野球部は概念であるため、
全員を言っているわけではないことを念頭においてほしい。
あいつらは群れで行動して、でかい図体で学校の目立つところにいる。
肩ぶん回して歩いて、可愛いけど怖いギャルと戯れてる。
運動神経が良くて、チヤホヤされて、
そのまま大人になる。
昔の悪行のおかげで、大人になってやった善行がやたらもてはやされる。
俺たちは教室の隅で机に突っ伏して、
周りの話し声が、自分の悪口を言ってるんじゃないかという、自意識過剰の中で眠るしかないのだ。
なぜ野球部は順当に人生を送るのだろう。
なぜ野球部はもてはやされるのだろう。
今回はそんな野球部たちの不幸にしてやりたい。
ということで、
野球部不幸計画を俺なりに立ててみようと思う。
ではいこう。
1.
チンピラパパと、ヤンママの交尾により
野球部誕生。(0歳)
2.
深夜23時、ヤンママに連れられドン・キホーテへ。兄妹で深夜の鬼ごっこ(5歳)
3.
父の勧めで野球クラブに入る(8歳)
4.
体が大きくなり始める(10歳)
5.
同級生のキモいやつの肩を殴ったら泣き出す。暴力を知る(12歳)
6.
野球部に入る(13歳)
7.
キモいやつをいじって人気者になる。
体の大きさを生かしギャルの彼女を作る(14歳)
8.
頭が悪いため地域で1番頭馬鹿な高校に進学する(15歳)
9.
肩を壊しグレる。野球部を辞める(16歳)
10.
暴力事件を起こし退学する(17歳)
11.
頭が悪いため、力と体力があれば何とかなる仕事に就く(18歳)
12.
野球部、性欲が爆発する。
ダチと行ったクラブで出会ったギャル女と、その日のうちに交尾をし、避妊に失敗。
野球部、父親になる(19歳)
13.
ギャル女と結婚し、祝福される。
金がないためハワイ旅行の計画が頓挫する(20歳)
14.
給料が低いにも関わらず、またさらに子供を作る。(21歳)
15.
低賃金のため狭いアパートで4人で暮らし、子供を育てる。
「あんた、今日帰り遅かったけど、キャバクラなんか行ってないでしょうね💢」「家、お金ないんだからね💢」とギャル女に言われけつを蹴られる。
「行ってねーよ」「てか、理由それかよ」と笑いながら返答し、ギャル女にキスをして、
その後、「私も!」と言う娘にキスをする。
息子を抱き抱え、「お前にはピッチャーになってほしいなぁ」と
あまりにも早すぎる願望を伝え、
泣き出した息子をあやしたあと、娘と一緒に風呂に入り、クラブで流れていた、わけのわからん洋楽を歌う。
(22歳)
16.
何とか金を貯めて買った型落ち中古のベルファイヤに乗り、休日はダチ家族と共にキャンプに出かける。
会社の上司からもらった、野菜と肉でBBQ。
「野菜はいい、肉食え」と子供に言う。(26歳)
17.
娘、中学にして英語が堪能。
「さすが俺の子だな」と言う野球部に対して、「あんた日本語もまともに喋れないじゃない、私に似たのよ!!」とギャル女が返す。
何度目だかわからない、くだらない会話が家では繰り返される。(28歳)
18.
息子、思春期によりぐれる。
ギャル女にババァと言う。野球部叱る。(34歳)
19.
娘、留学に行きたいと言い出す。
野球部、反対しながらも、仕事終わりの余った時間でUber eatsを始める。(35歳)
20.
娘、留学に行く。(36歳)
21.
息子、野球の強豪校に進学。寮住まいのため家を出る。(38歳)
22.
狭いはずのアパートが広く感じる。
「なんか静かになっちゃったね」とギャル女が言う。息子の舌打ちも、娘の早口も無くなった部屋では、ギャル女の声が少し寂しそうに壁に溶け込んだ。
「そうだな」と一言だけは呟いた野球部は
徐に立ち上がるや否や、両の手を握り空中に打撃のスイングをする。
「何やってんの笑」と言うギャル女、
「もう一回始めようかなあー」と言う野球部、
2人はハワイ旅行の計画を立て始めた(39歳)
そんな俺といえば、どうだろう
1人部屋で野球部が不幸になるための計画を立てている。
野球部がいつまで経っても野球部であるように、テニス部はいつまで経ってもテニス部なのだ。
野球部が不幸になる計画を考える前に、
俺は俺を幸せにする計画を立てるべきだと思う。