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世界観episode 34 -デザイナー1年生 (HSS型HSP社会人編②)

さて、芸大卒業後、なぜか一年くらい

音楽制作とDJを本気でやれば食えるように

なると思っていた青年は、当然そんな

はずはなく、ガチで将来を焦りはじめます。

一年目の家電量販店のDTMコーナーの店員は

苦痛すぎてさっさと半年ほどで辞め、

制作に集中していましたが、

観念して就活を始めます。

DJイベントで制作したフライヤーや

学校の課題で制作した、架空の広告やロゴなど

色々ポートフォリオにまとめ

新卒一年遅れの就活です。

色々とデザイン事務所を周り

思った以上に内定を頂くことが出来ました。

ここで学歴の看板の威力を知ります。

ありがたいことに就職先を選べる立場となり

一番面白そうだった、社長さんがミュージシャン

でオシャレなオフィス、音楽事業も手掛ける

京都のデザイン事務所に決定しました。

音楽活動の時間は制限されてしまうけど

何となくこの会社でデザイナーとして

何年かキャリアを積んでいくのだろうなぁ

と漠然と考えていました。

そしてまず見習い期間の3カ月がやってきます。

当時のお給料、手取りで15万円くらいでした。

今から考えると信じられないくらい搾取されて

いたなと思うのですけど、僕は経験や実績を

積めるということが、後のデザイナー人生で

絶対に役立つと直観で感じていました。

そしていよいよ商業デザインのやりがいと

厳しさを体験しています。

新人デザイナーは簡単なポストカードや

名刺、営業さんが取ってきたお仕事を

軽く打合せしてデザインしていきます。

初めてお金を頂いて、デザインをした感想は

「ぜんぜん好きなように自由にできない」

でした。

自分の拘った表現や、フォントを駆使して

当時海外で流行っていた手法を

入れようものなら

「あ、余計な表現はいらないよ」

「文字が小さすぎて読めないね。大きくしといて」

拘りが伝わらないなーと悶々としていました。

それでもクライアントさんに喜んでもらえる

体験にとてもやりがいを感じましたし

1人よがりのデザインよりもちゃんと意味が

あって、自分の中ではダサい表現も

納得いくようになってきました。

デザイナーというと華やかなイメージが

あるかもしれませんが、結構地味な

作業を繰り返すことが多いです。

最初は修正の回数に驚きました。

修正するということは自分の仕事に

ダメだしされていると思っていましたが

後にクライアントさんとの意思を

擦り合わせていく、ブラッシュアップ

という工程なんだなと理解しました。

毎日夜遅くまで、終電近くまで頑張る日も

ありました。

今思うと長時間労働は疲労や集中力も低下し

とても効率が悪いので、日本企業の悪しき

根性論が蔓延していたなと思っていましたが

ヘトヘトになることで、どこかで

自分を追い込んでいることで

自己満足に陥っていたところもあるのかな

と思いました。

世界観episode 35 -叩きのめされたデザイナー1年生
へ続きます

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