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「岬のマヨイガ」を観に行った。


岩手の美しい景色。そして東日本大震災の描写。主人公の少女・女子高生・おばあちゃんや、ご近所さんたちの交流。遠野の妖怪や伝承。

監督の川面真也さんは「のんのんびより」以降、美術制作社は「草薙」と組むことが多い。僕の愛読する漫画「ハクメイとミコチ」の緻密な絵を、草薙は見事に美しく表現してくれた。川面監督は「ばらかもん」での田舎の表現もすばらしかった。

今年は東日本大震災の10周年である。
あの災害以来、僕は毎年宮城に訪れようとしている。
5年位前に僕はついに憧れの遠野を訪れ、博物館もふくめ実に幸せな時間を過ごした。河童が道端に、部屋に座敷わらしがいそうだった。
もともと町歩きや歴史を感じるのが好きな僕も、民俗学の大家・柳田國男先生に憧れ、宮本常一先生の本を読みあさった。また新しい「好き」ができた、貴重な時間だった。


この映画を観に行ったきっかけは、漫画家の押切蓮介先生と五十嵐大介先生が発表したイラストとコメントを見て。

「ハイスコアガール」や「ミスミソウ」で有名な押切先生の作品・「ツバキ」2巻に「マヨイガ」という話があり、東北の伝承(怪奇)のマヨイガの話も知った。(同巻の「朧月夜」は津山事件のモチーフがあり、ページめくった瞬間に僕は戦慄が走り足をバタバタさせた記憶があり、それを受けての「マヨイガ」はとても印象深かった)


「海獣の子供」で有名な五十嵐先生の作品では、僕は「リトルフォレスト」て作品を読んだが、とても心地よい気持ちになった。岩手の田舎に移住した女性が農業をやりながら食事をつくる話。地元の食材を使った料理、実に美味しそうに描写する。

そんな地域の民俗に興味があり、東北には震災以来、馴染み深さと愛情を持った僕。
また、SNSでのレビューにて、岩手の描写や料理の描写の評価が素晴らしいと聞き、映画館に行くことを決めた。


面白かった!
料理が美味しそうなのはもちろん、そもそも僕が好きな漫画やアニメの傾向は「死にたくなるような何かを抱えた人が、何か一歩前進する人間ドラマ」なのだが、主人公の3人の女性に共感する。そして僕が感じたのが、「地元に根ざして生きる」ことと「信仰を大事にする」ことだ。
妖怪の存在と、クライマックスについては、僕はまったく違和感がなかった。
妖怪や神々、それに対する信仰は、その土地にて生きる人々の物語から残される。何かに必死に抗い、何かに必死に祈り、何かを伝えようとする。そこには様々なドラマがあるようで、研究の価値は大きい。
とりあえず、道端のお地蔵様を拝みたい気分にもなった。


さらに、僕もいろいろ悩みが多い中、主人公たちが迷い、そして次第に覚悟を決めていき、一歩を踏み出すこの「岬のマヨイガ」という話を観て、僕自身にも何か教えてもらったような気持ちになった。


https://note.com/d_ooyama/n/nbb64374bac69

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