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運動エネルギーが面積のような次元を持つことの意味

運動エネルギーを表わす式というのは運動量を速度で積分した形をしている。

これは運動量を質量をもった位置の変化速度とみており、またその質量の走査面積を運動エネルギーとして計算することになる。この説明ではなんだか漠然としていてつまらない。

というより、運動エネルギーとは「その仕事によって質量の決まった物質がどれだけ、ある一定のポテンシャル面にばらけて表面積を大きく(変化させられる)できるか」という計算になっている。

ニュートンのゆりかごというモデルがあるが、ここでは完全弾性衝突ということばが思い当たる。全くその反対の木っ端みじん、粉々衝突を完全崩壊衝突と呼んでみよう。

つまり運動量も、運動エネルギーもどこに保存されたかわからないような衝突だ。これは粉々を通り越して水のような流体でもガスでもよい。もともとまとまりがあった物体同士が衝突してチリチリバラバラになるというモデルである。運動エネルギーを使い切って外形を最大限変化させた場合を考えるわけだ。いくら散っても核崩壊でなければ、元の物体の質量自体は保存されているはずだ。掃き集めたチリの合計質量は元の物体質量と等しいはずだ。

では何が変化したのか。面積である。加えられたエネルギーが大きいほど物体が散らばって拡散する面積は大きくなるだろう。

高いところからガラスコップを落とせば割れて砕け散るだろう。高さが高いほど散らばる範囲は広くなる。ポテンシャルの変化が運動エネルギーであり、それが為した仕事がばらけである。

ケプラーの第2法則もこれと似ている。惑星においては面積速度一定というものである。外部からのエネルギー出入りがないならば惑星とてばらけにも限界法則があり、一定時間あたりのばらけ(軌道走査)面積は一定だというのである。

我々の身近な現象で成り立つことと、惑星、いや大宇宙で成り立つことの基本は共通である。

光のエネルギーを表わす式も一定時間後にどれだけの面積を照らすことができるかという計算式になっているのだ。



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