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インダハウス柔道部物語

現役復帰の場として、そしてインダハウス柔道部のお披露目の檜舞台として出場した明石市市民大会からあっという間に11ヶ月が過ぎた。
そして、来る10月8日に久しぶりの試合に出場する。今度は一人ではない。
去年産声をあげたインダハウス柔道部が二度目の大会にたどり着くまでの活動の記録をこの機会にまとめておこうと思う。
後半では大会がぐっと楽しみになる情報も載せておきます。


俺たち、インダハウス柔道部


明石市市民大会に出場して宇都宮に帰ってきた俺の柔道熱は今までの人生でかつて無いほど高まっていた。久しぶりの試合のヒリヒリ感にあてられたのもあるし、出場した試合で勝ちの美味さと負けの不味さを一つずつ味わってしまったことももちろんそれぞれ理由の一つだった。でも、それ以上の理由があって。馬鹿みたいな理由だけど、超楽しかったのだ。こんなに楽しいものを試合の前にしかやらないのはあまりにももったいない、どうにか日々練習できる拠点は無いものかと思っていた訳だがなかなかどうしてコレが難しいものなのだ。
 柔道の世界は徐々に変わってきているとはいえ、独特のしがらみのある世界だ。出身道場がどこだから…、今の所属がどこだからどこには練習にいきにくい…などなどのムズカシー理由で大人になってからもう一度柔道を始めたり、所属をかえるということのハードルがなかなかに高い(ちなみにこれはあくまでも俺自身の感想なので柔道界全体がこうですと言っているわけではない)のだ。そんな中で前職時代に交流のあったMr.カンノが主催する「葵陽塾」と出会うことになる。もちろん職場から近かったのもあったが、「柔道がやりたい」という同じ思いで集まった大人たちが経験年数や出身校や最終成績なんて関係なく汗を流す空気感がとても居心地良く感じて自然な流れで葵陽塾を練習の拠点にさせてもらうようになる。

↓葵陽塾のリンク貼っておくのでぜひ見てみて。
 


https://www.instagram.com/kiyojuku_judo/?utm_medium=copy_link


子供から大人までどの世代も柔道を楽しめるのでマジおすすめ

 拠点が決まり、毎週練習をしていると面白いもので俺の周りの大人たちが柔道に興味を示してくれるようになった。普段遊んでもらっている仲間たちが道場に来てくれたり、見学に来てくれるのは本当に嬉しいことだった。一旦練習をお休みしている仲間たちも多いが、気が向いたときにまた練習に来てほしいと思っている。そんな中でも2月くらいからオオイシさんが本格的に柔道を再開することになり(中学の時1年間だけ柔道経験あり、初段はもっている。どういうこと?)みるみる柔道にのめり込んでいった。
 好きこそものの上手なれってよく言ったもんで、オオイシさんはその言葉を体現している。いま、宇都宮在住の大人でこんなに柔道の映像を見ている人はいないんじゃないのかってくらいに世界各国の選手の動画を見ている。見ている動画にかなりの偏りはあるが、日常的に見取り稽古をしているのでとにかく飲み込みが早い。SNS時代の柔道家の形だなと、オオイシさんからおもしろ柔道技のリンクが送られてくるたびに思う。あと、びっくりするほど素直にコーチングに耳を貸してくれる。コレってすごいことだと思う。基本を教わって、俺流に早速挑戦して、試行錯誤した結果王道で基本の技術の大切さに気づく。この結構な時間を要する成長の過程を彼は半年ちょいで駆け抜けている。あなたはすごいよ。
 
 これってすごいことなんだけど、葵陽塾には結構な人数の大人が練習にやってくる。初心者から経験者まで。葵陽塾では日常の風景だけどなかなかこうはいかない。そんな環境下でオオイシさんに熱く偏ったコーチングをしていると、大人の塾生さんたちも興味を示してくれるようになったりして。俺が練習に行けない日もオオイシさんに新しいことを教えてくれたり、こんな俺にいろいろ質問をしてくれたり、関係が深まってくると俺も知ってる知識や技能を皆さんに伝えたり。そんな、何か熱いものが渦を巻き始めたような感覚を覚え始めた夏の終わり、願ってもないタイミングで試合の通知が届く。試合は10月8日。葵陽塾からはびっくりするくらいの人数が出場する。
 試合前の1ヶ月くらいの練習は毎回痺れる楽しさだった。今の自分に何ができるか、何の技なら一本がとれるか、新しい技に挑戦してみようか…などなど、コレ以上無いほど頭をぐるぐると回しながらの練習は楽しいの一言につきる。当然、新しい発見も増えるし、今まで何気なくやっていた動きの理屈がわかったりと今までの柔道人生で一番柔道偏差値が向上した期間であったように思う。オオイシさんの成長スピードもどんどん加速していった。己の成長に体がついて行かずに、危うく体がバラバラに崩壊しそうになるというジャンプマンガの主人公みたいな状況に本当に陥っていた。40歳をすぎて。あなたは本当にすごいよ。
 試合前ということもあり、今までは体重差もあり乱取り稽古をやらなかった塾生さんとも取っ組み合う中で、十人十色の柔道スタイルの面白さを感じ組めば組むほど相手への愛と感謝がつのっていく。そんな日々を過ごさせてもらった。俺は以前、試合に向けてインスタの方でこんな文章を書いた。

そして、やる以上はぶん投げたい、捻り倒したい、負けたくない、勝ちたい、勝ちたい、勝ちたい。⁡

⁡勝って俺自身に痺れたい。自分のことを好きになりたい。⁡生きてる感じを味わいたい。⁡⁡

⁡そんな、エゴの金太郎飴のような一人称の戦いがしたいと強く感じてます。

大タカシインスタグラム

もちろん戦うときは一人なんだけど、こんなにおもしろい仲間が増えてきてしまうと、自分のことだけやってるのはつまらなく感じてしまう。一人称だけではつまらない。有名なアフリカの諺で「早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け」ってのがあるけど本当にその通りだとおもう。この一緒に練習している仲間たちとなるべく遠くまで行きたいと思っているわけですよ。

インダハウス柔道部&葵陽塾メンバー(一部)10月8日の試合の見どころ

ということで10月8日に「第二回チャレンジカップ」という大会に出場する。会場は川口市立体育武道センターで10時から開会式なので可能な限り応援に来てほしいと思っている。こんなおもしろメンバーの試合はそうそうないので。とはいえ、なかなか柔道経験者がない方々にこのメンバーの面白さがなかなか伝わらないかと思い、勝手にメンバーを紹介したいと思う。事後承諾上等。


キャラが立ちすぎている出場メンバー


【葵陽塾】"変幻自在のトリックスター"Mr.カンノ


優しい笑顔とは裏腹の柔道スタイル

まずはこの人。葵陽塾のドン、俺たちの主催者Mr.カンノ。二つ名は敬愛する格闘家の須藤元気から拝借。
やさしそうな第一印象、やわらかな物腰からは考えられないややこしい柔道を(褒め言葉)展開する。至極当たり前の話だが、相手が知らない技をかけるとよく効く。Mr.カンノはそんな相手が知らない攻め筋を試合中にいくつもお見舞いしていく。毒針が一発相手に入れば試合はあっけないほど簡単に決着する。超人的なフィジカルや天才的な反応速度で勝負するタイプではない、良くも悪くも普通の人が超人を相手に戦うためには頭を使うしか無い。Mr.カンノの柔道をみているとそんな普通の人の試行錯誤の跡がみられる、頭を使ったあとがある。俺はそのよく手が入った作品を見る度に目頭が熱くなり、興奮する。武器はたゆまぬK.U.F.Uなのだ。

【葵陽塾】"#サムライすぎる"イシカワさん


正々堂々が道衣を着ているような漢の中の漢

次に紹介する葵陽塾メンバーは「#サムライすぎる」ことイシカワさんだ。先に紹介したMr.カンノとはある意味対極に位置する圧倒的正統派で美しい柔道スタイルの持ち主。この小さな体に大きな大きなハートを宿した勝負師。強靭な体幹でブレることのない、すっと伸びた背筋。相手が小さかろうが大きかろうが繰り出す技は全て一本狙いの真っ向勝負。技の手数自体はそんなに多い方では無いが、ジリジリと技に入るタイミングを伺う様子は真剣で切り合うサムライのよう。軽量級らしい背負投と、とんでもない爆発力の内股。その圧倒的突破力でど一本を見せてくれ。実際に130kg超えの俺と乱取りした時も真っ向勝負を仕掛けてくる気概に、思わず怯んでしまったほど。サムライすぎるその戦いっぷりに痺れろ。

【葵陽塾】"遅れてきた大陸弾道ミサイル"ヤマダさん


見てみぃ、この圧倒的な手足の長さ!

軽量級の紹介が続きましたが今度は大物の登場だ。『SLAM DUNK』の中で田岡監督が魚住に上手くしてやることは出来てもお前をデカくしてやることはできない。と話していた。そうだ、大きさは才能なのだ。見てくれこのスラリと伸びた手足の長さ、柔道の指導をしたことがあるものなら全員が彼に「大外刈」か「内股」をやらせたくなる。ご多分に漏れずヤマダさんの得意技は大外刈だ。この長い脚から繰り出される大外刈りはどの間合いからでも届くような、まさしくライクア大陸弾道ミサイルな魅力がある。体力不足が若干の不安要素ではあるが、柔道は投げてしまえば試合は終わる、ガソリンが尽きるのが先か、ミサイルがヒットするのが先か。ヤマダさん、片道切符で行けるところまでいってみよう。

【葵陽塾】"葵陽塾のヘラクレス"キヨトーさん


努力で練り上げた肉体と技

道衣の上からでも分かる盛り上がった大胸筋、ビスケット・オリバよろしくこれ見よがしの逆三角形ボディの持ち主が葵陽塾のヘラクレスキヨトーさんだ。無尽蔵のスタミナと軽量級離れした脅威のフィジカルを武器に果敢に戦う姿は美しさすら感じる。スタミナを活かして手数の多さで相手の体力とバランスを削り取っていく、そんなタフな戦いをする大激闘男。技の出入りの速さが魅力の軽量級らしいスピーディな戦い方は柔道を見たことがない人も楽しめること間違いなし。体重が倍くらいある俺ともガンガン乱取り稽古をしてくれる強い心と体の持ち主。俺たち行ける、まだ行けるまだまだ行ける。

【インダハウス柔道部】"インダハウス柔道部部長"大タカシ


自分で自分の説明するのも小っ恥ずかしい話ですが

続いてインダハウス柔道部の紹介。私大タカシでございます。1に圧力2に圧力、3、4がなくて5に圧力をモットーに後退のネジを外して常に前に出続ける執念が最大の武器。一見オーソドックスなよくいる重量級です面して始まってみたら奇襲、変則のオンパレード。大きめの煙玉を投げてモヤモヤしているうちにどさくさ紛れで勝つような柔道をこの年まで続けてきました。100kg超級を生きるには低すぎる身長をカバーするために身に着けた処世術をフル活用してゲリラ戦を仕掛けていく。基本的にテンションで戦うので試合の日は明るく楽しい大タカシではいられない。

【インダハウス柔道部】"偉大なるアマチュアど素人"オオイシさん


ここまで仕上げるには眠れない夜もあっただろう。

今大会再注目の男、それがこの男オオイシさんだ。まさしくザ・グレート・アマチュアリズム、偉大なるど素人の成長の証をその目に焼き付けろ。
「最初はオーソドックスな組手を教えて、ある程度型にはめて…」そんなふうに思っていた時期が俺にもありました。でも、いきいきと楽しそうに毎回変な技をやりたがるオオイシさんの姿をみるうちに指導案を変更。今回は小難しいこと教えてません。その野生に任せてみます。オオイシさんの長所であり短所でもあった馬鹿力、今ではだいぶ脱力ができてきました。本当に大したもんだよ。そのフィジカルを武器に幕之内一歩ばりの、おでこがくっつくようなインファイトで勝負ができたら今大会大いに勝機あり!もつれ際のスクランブルな攻防は生まれついての才能があるので勝負どころ。そして、なぜかめちゃくちゃな破壊力を持つ巴投げが武器。巴投げって、近代柔道においていろいろな入り方が研究されているんですよ。斜めから入ってみたり、トリッキーな入り方してみたりね。そんな中オオイシさんは素人の方が巴投げって聞いて連想するようなどシンプルな入り方で巴投げに入ってくる。最初はそれじゃ入らないよな…って思っていたら何故か知らんがそれがめちゃくちゃ入る。スーパーファミコンくらいの解像度の巴投げなのにすーごい威力。なんでか?俺にもわからんよ。でもワクワクできるくらいに手札に勝負できるカードが揃ったことは確か。勝負してやろうぜ、オオイシさん。

まとめとして

 去年の年末に立った一人の柔道部としてスタートしたインダハウス柔道部。今では大切な二人目の部員が試合にデビューして、柔道を通した仲間ができて毎週畳の上で投げたり投げられたりでキャッキャやっている。いい大人が自分のために時間を作って柔道をやっているのだ。すごく青春みたいなものを感じている。俺の好きなガガガSPのコザック前田が「十代はただの勢い、三十路過ぎてからが本当の青春」っていっていた。その通りなのだと思う、やめたらおしマイケルなのだ。いまは試合が本当に楽しみだ。応援、よろしくお願いします。


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