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指鉄砲と腹圧

ゆたかな体に反比例して、衰える筋肉を鍛えるべく、女性向けの運動施設に通いはじめた。えーい、カーブスだ。おばさんたちがサクッと筋トレできるとこ。コロナ前はスポーツクラブに入っていたが、ラクなヨガしか行かなんだ。でも健康診断の数値が悪くなるにつれ、お医者さんから「筋肉をつけなさい」と言われるんだよね。その通りなんだよね。何もしないと筋肉ってつかないんだよね。カーブスで測ったら「体年齢64才ですね」って言われたんだよね。64才でこの元気さだったら年を取るのも悪くないかもと思うけど、そういう問題じゃないんだよね。

というわけで、カーブス。
最初の5回はインストラクターがついて、機材の使い方や体を動かすコツを丁寧に教えてくれる。

「腹圧を意識してやってみましょう」
と、腹圧の入れ方も教えてくれる。

「ここに力を入れて、頭を上にぎゅーっとひきあげられる感じで」
と言いながら腹を押してくれる。
押せどもへこまぬ腹に申し訳なく思いつつも、そんなこと思うより、ちゃんとコツをつかんで実践しなきゃ意味ない、と頑張ってみる。

思えばある時期、わたしは腹圧というものと真逆の方へ、人生を歩き始めたのです。

腹に子供がいらしたとき。
だいじなだいじなあかんぼうをなんとしても守らねばならない。
常にストレスのない、サイコーに居心地のよい腹環境を作ってやらねばならない。

ということで、腹をゆるめ、でかくなるにつれ、さらにでかでかと、ふくよかで、幸せワンダーランドな腹へともっていったのです。
力を入れるとか、へこませるなんて、もってのほかでござんす。

現に2人とも腹の中が居心地よかったのか、予定日から1週間すぎても居座り、あやうくバッコンって吸い出すやつか?とマジで心配しだした頃に、元気にお生まれになりました。

下の子が生まれた後も、「腹を守ってやらねば」という意識は脳に居座り続け、「3人目?」と言われながらも、ただ単にでかい腹をだいじにだいじに守りながら生きてきたのである。

しかし今。
腹に圧をかけて、へこませよと。
骨盤を起こして、姿勢を正すべしと。

えーん、私の腹が、幸せな妊娠中の残像がー。

もうそれはいいのよ、だって下の子を生んで18年もたってるわよ。
心の声がポンポンと肩をたたく。

はいわかりました。

ヘソのちょっと下に力を入れる。
骨盤をずずーっと立てる。

いける。できてる私。

でもちょっと時間がたつと忘れてしまうのよー。
何の力も入らないゆるやかな腹にもどってしまうのよー。

この間、「あさイチ」あたりで誰かがやってたっけ?
腹から声を出すコツ。
手の指をトップ画像のように、小指と薬指をまげた指鉄砲の状態にして、両手を自然にぶら下げて声を出すと、腹から出るんだと。

やってみると、あら、ほんとだ。
力の入れところがいつもと違い、腹から声が出る感じ。

ということは、この指鉄砲をすれば、自然と腹に力が入るのでは。
と思って歩いてみる。

おー、確かにそうだ。
いい感じに、腹に力が入ってる。

これでやってみよう。
これを意識して生活すれば、腹圧を身につけられそうだ。

と思ってしばらくすると、またふつうの指にもどってる。
忘れるんだよねー。