映画 「太陽の塔」

http://taiyo-no-to-movie.jp/

 いつもお世話になっている関根光才監督と映像プロダクションspoon.によるドキュメンタリー作品。

 岡本太郎の残した巨大オブジェを通して日本を観た。

 超時間性、芸術、メッセージ、普遍性、アンチテーゼ、と、さまざまに分解され、好奇心をくすぐられる。

 大学時代に建築を学んでいる頃、印象に残っている教授の台詞のひとつに、近代建築は2週間あれば学ぶことができる、という言葉がある。

 バウハウスから発生したモダンデザインは、それくらいコンパクトな歴史を持っているということだと思う。

 大阪万博という戦後日本の圧縮された近代的成長の一里塚において参加者の中でひとりだけ(と言っていいと思う)脱近代的思考を表現した岡本太郎を通して、未だにポスト近代へのベクトルが暗中模索中の日本へ、示唆と勇気をくれる作品。

 1970年前後の建築やアートに魅力を感じる。その正体が少しだけ分かった気がした。映画の中で、当時、国が若かった、というニュアンスの言葉があった。若かったのだ。血気盛んなモノたちの衝動。そこに生まれたアンチテーゼとしての逆衝動。その空気を吸うことができた。羨ましかった。

 ノンインタラクティブの魅力。一方的な投げかけは強い。もうこんな時代は来ない。

 岡本太郎からの贈与、この映画で確かに受け取った。なんとかなるかな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?