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キングオブコント2019でどぶろっく2.0を見た

9月21日に放送されたキングオブコント2019。
その出場者「どぶろっく」のネタを観て、笑いと共に不思議な感動が込み上げてきました。今回は感動のその理由を綴ります。

ちなみに私はどぶろっくの大ファンではなく、ネタ番組を観ているとき出てきたら「お、どぶろっくじゃん」とちょっとテンション上がる、そのくらいのどこにでもいるお笑い好きです。

なぜ私は心を揺さぶられたのか

軽く紹介しますと、どぶろっくは男性二人組みのコンビで、歌の旨さと男臭さが彼らの武器です。

お笑いのネタ番組を観る人は知っていると思いますが、どぶろっくの基本スタイルは「真ん中に立って二人で下ネタオリジナルソングを歌う」こと。

男にしかわからない下ネタを歌唱力高く真剣に歌う、そのシンプルな笑いがが彼らの持ち味なんですね。

ところが今回のネタは森で貧しい農夫が不治の病で苦しむ母の薬を探すシーンから始まります。
オリジナルソングを歌ってはいるのですが、オペラ調のミュージカルのように重く暗い雰囲気で始まるので、おそらくみなさんこう考えたはずです。

「あれ、いつものどぶろっくじゃない」

聞き慣れたシンプルな歌ネタではなく、なんだか複雑そうな高尚そうなネタを始めたのだから自然なことです。

そしてこの「いつものどぶろっくじゃない」というほんの一瞬の思考の中には実はいろんな感情が含まれていたはずです。

例えば、

・新しいことをやろうとしている彼らへの「期待」
・いつもの感じのネタじゃないなという「驚き」
・あの男臭い下ネタが好きだったのにという「失望」

など。

「期待」というプラスの感情もある反面、「驚き」や「失望」といったネガティブで不安な感情も同時に生まれてしまいました。

実は、ネガティブなものも含めこれらの感情を芽生えさせたことがネタの前フリとしては大成功だったと、あとから気付かされます

ネタは進み、貧しい農夫の前にギリシャ神話に出てくるような神様が現れ「願いを1つ叶えてあげよう」と母の薬を探す農夫に言います。

オペラ調の歌とギリシャ神話のような雰囲気、そして重めのストーリー、この組み合わせで一層「いつものどぶろっくじゃない」感は強まるばかり。

そしてサビ、願いを叶えてくれるという神に男は言い放ちます。


ならば、大きなイチモツをください


ここで笑いが爆発しました。
前フリで「期待」や「驚き」、そして「失望」を抱いていた観客は揃って同じツッコミを脳内でどぶろっくに放ったはずです。

やっぱりお前らはそういうネタなんかい!」と。

男臭さやシンプルな歌ネタを捨てたと思わせ、オペラ調に進む重いストーリーでいつもと違う雰囲気を漂わせるだけ漂わせ、そして迎えたサビで「大きなイチモツをください」とド下ネタな願いぶち込むことで、

見事「期待」を超え、「驚き」と「失望」をも爆発的な笑いに変えたのです。

きれいに言えばミステリー映画のクライマックスで、序盤の出来事が大きな伏線となって回収されていくあの感じ。ここにつながるの!?みたいな。

この人達すげーなって感動しました。
計算してやっているんだとしたらすごいと思いませんか?

あえて違う雰囲気でスタートすることで、真骨頂である下ネタを捨てたと思わせといて、サビでしっかり強めの下ネタを入れて落とす。

もちろんどぶろっくが初見の方にもかなりおもしろいネタだと思いますが、どぶろっくを知っている人はその面白さが更にプラスされるわけです。

騙されたとすら感じました。思うつぼとはこのことです。
蓋を開けてみれば、結局はいつもの下ネタソング。

ただ1つ懸念点もあります。
それは良くも悪くもネタとしては「出オチ」ネタに分類されること。

なぜなら「今までのスタイルから大きく変わったと思わせて実は変わってない」という笑いの要素がかなり含まれているので、初見にはかなりのインパクトがあるのですが、2回目以降はそれを知っているのでそんなに跳ねなくなる(それでも十分面白いですが)リスクがあるため。

なので2回目のネタも同じテイストでいったのは大きな賭けだったと思います。
役割を逆にするなど工夫はありましたが、やはり実際には1度目ほど跳ねなかったので、1度目のネタの貯金で「逃げ切った」優勝という印象でした。

とはいえ今までのスタイルから正統に進化したこと、そして進化そのものを笑いの裏切り要素としてネタに取り入れたこと、最後にキングオブコントという大舞台で安定ではなく挑戦を選んだこと、どれもマジリスペクトです。

最後に

さて、テンションがあがって綴ってしまいましたが、ごめんなさいどれも私の勝手な想像です。笑
本当に彼らがそれらを計算してやっているかなんてわかりません。

ただ今後どぶろっくのお二人をテレビで見たとき、以前よりもっと前のめりでネタを観ることになるでしょう。
また今回のような大どんでん返しな笑いを楽しみにしています。

どぶろっくさん、ありがとうございました。

--- 2020/03/01 追記

たまたま観ていたネタ番組にどぶろっくさんの姿が。
今回のネタは「やらかしちまった」

キングオブコントから約半年。

キングオブコントで好きになったので好感度フィルターがかかっちゃっていることは否めないが、優勝する前より確実に完成度が上がっていると感じました。

「おれらのやってきたことは間違いじゃなかったんだ」

キングオブコントの優勝でそれを確信したこと。
確信したことで自信に繋がり迷いがなくなり結果ネタの完成度が底上げされてるのでは、と勝手に推察してしまいました。

いつもいつも私のつたない記事を最後まで読んでいただきありがとうございます。