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新たな領域の開拓

 久しぶりに飛行機に乗って調査してきました。計画当初は、現地の制限が解除予定である翌日からに設定しておりましたが、出発の時点では躊躇するような状況になっていたため、受診した上で出かけました。
 その島には30年ほど前に行って以来でしたので、懐かしいというよりも何も覚えていませんでした。しかも、調査海域は島の人でもあまり足を運ばないような場所(だと思います)なので、この島の北部と南部しか潜った経験のない自分にとっては、まさに未開の地でした。

潜水調査前の海岸線の踏査(撮影:合志明倫)

 調査の初日にまさか早朝から、こんな急峻な岩場をいくつも超えていくとは思わず、かなり軽装できてしまいました。海岸線だったのでハブに対する警戒度は低いと思いますが、足首は擦り傷だらけになってしまいました。っと言っても気がついたのは、水中に入ってからでしたけど(笑)。
 先ずは、SUPにダイビング器材を乗せて左奥に見えている島に上陸することになりました。ビーチから1kmほどの場所ですが、向かい風だったので、約20kgの器材を積んだボードを漕ぐ初心者には、かなりキツかったのではないかと思います。

島に上陸して、今度は島の周辺を踏査

 オンショアだったので、そこそこ波はありましたが、ダイビング巧者の2名で何とか乗り越えて調査をしましたが、それらしく見えるのは全て粉砕したブイのカケラで、いい感じに古びたものは割れた瀬戸物に見えるので、岩に挟まっているカケラを見て何回ドキドキしたか分かりません(笑)。初回の潜水では特に収穫無く、エキジットして再びSUPに器材を乗せて元の浜に戻りました。帰りは追い風だったので立って漕いだ方が楽できました。

 もう1名は1本目を丘番で潜らなかったので、少し慣れるためにビーチで潜ってみましょうと言うことで、体験ダイビング並の水深でリフレッシュしました。魚は少ないように感じますが、パッチリーフが点在して、それなりに南の海を満喫できました。適当な時間と場所でUターンして、そろそろエキジット地点というところで、私のフィンが引っ張られるので、振り向くと何やら戻れの合図?
何かがあったことは想像がつきますが、一体何を見つけたのでしょうか。
ついて行くと

合志明倫氏が発見した碇石

明らかに周辺の石や石灰岩とは違う形状の石(岩)がありました。長手方向で約80cm、幅が20cmちょっと。

小型船の碇石と考えられる

 写真を撮って、一旦水面に顔を出して、位置の特定(山立て)して後で、もう1名の専門家を連れて来ようと思って再び元の場所に戻ると、なんと!この20kgはあるだろう岩を発見者は持ち上げて泳ぎ出すでは無いですかぁ。直線で有に50mはある距離をこの岩を持って泳ぐ発想は私にはありませんでした。発見する感性も凄いですが、桁外れのパワーもアスリートの成せる技です。
 今回は予備調査でしたが、その後、潜水の巧者、海事考古学の巧者の2名が威信をかけて、どんなに頑張っても何も見つけることはできませんでしたとさ。

 これまで、私たちは潜水のプロと海事考古学者がタッグを組めば、今までにない成果を残せると思っていましたが、そこにはまだ欠けていたモノがあったようです。水中を新鮮な目で見ることのできる新たな感性がプラスされたことで新たなチームができました。これからの調査をこのチームで行うのが楽しみでなりません。

この地方に伝えられる大型船の碇石

 このサイズの碇石は、国内では海中からの発見の記録は無く、私たち調査チームはこの碇石の国内初の発見に挑戦しています。
あの海域の何処かに、このサイズの碇石があるのでは無いかと考えております。また、陶磁器の破片が打ち上がる浜の調査も、今後は続ける予定でいますので、今後の動向にご期待ください。


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