20. 郷内先生へ           中学一年 A雄

 先生、元気ですか、ぼくも元気です。

 先生、ぼくは、こっちの学校にきてもう一か月にもなるけど、なれません。

 みんな、アイヌのことをバカにする。ぼくをみたら、毛深い男だ、うでまくってみろ、足だしてみろという。

 ぼくはにくたらしい。アイヌのことをとてもバカにする。ぼくはこの学校が、とてもいやだ。ぼくはアイヌだから、アイヌといわれてもいい。だけど、バカにするためにアイヌを使うから、ぼくのからだがふるえるのです。

 アイヌ!熊!人間ならアイヌ語しゃべってみろって、朝から帰るまでバカにする。

 先生、こういうとき、どうしたらいいんですか。

 ぼくは、日高へ帰りたい、とっても帰りたい。

 親方に話したら、学校へ行ってくれました。ぼくは安心したけど、まだ同じです。

 友だちはひとりもいない、さびしいな。だれもいない、さびしいな。だれもいないんです。

 どうしたらいいですか、手紙ください。

  ※A雄は、生まれてから小学校卒業するまで静内町に住み、家事の都合で、岐阜県に行きました。


***3  子どもたちの叫び

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