晴耕雨読の「読む」は書を読むことではない。「地球守」の環境再生に学ぶ
新緑のまぶしい春。家族で、長野県木曾福島を訪れました。目的は観光ではなく、NPO法人「地球守」の環境再生ワークショップに参加すること。
長野県木曽福島は、霊峰 御嶽山のふもとにあります。ワークショップの現場は開田高原八幡神社。そこには、美しい河川の源流があり、ワークショップではその源流再生のための働きかけ方を学ぶということでした・・・
では、そもそも「地球守」ってどんな団体で、何を目指しているのでしょうか??
「地球守」代表の高田宏臣さんは、もともと造園設計施工を生業とされていた方です。今は、環境再生の方向へ舵を切って日本全国の現場で環境再生にあたっています。『土中環境』という素晴らしい書籍の著者でもあります。
皆さんは、土の中がどんな風になっているか、考えたことありますか?
泥、石、根っこ・・・そんなものが、塊として存在しているなんてイメージありませんか?(私が持っていたイメージです。)
ですが、高田さんの考える土中環境は違います。そこには、ダイナミックな水の流れ、空気の流れがあり、土中の根や微生物が活き活きと活動している姿があります。
そして、今日本中で起きている土砂災害や木の立ち枯れの大きな原因として、その土中環境の劣化がある、と指摘しているのです。
どういうこと????と思われたでしょうか?
例えば、部屋の空気がこもっているなあ、というときに、窓を一つ空けてもあまり変わらない、という体験をしたことはありませんか?ですが、部屋の端と端で、二つの窓を開けると、急に風が抜けて、部屋の空気が変わることがありますね。
実は、土の中も同じなのです。土の表面が見えていたら、水や空気は中に入っていける、と思いがちですが、見えている表面だけではなく、もう一つ、出口がなければ水や空気は、土の中に入っていかないのです。
出口がない環境で、土はパサパサに乾ききってしまい、結果としてその場にある木が枯れてしまうというようなことが、頻繁に起こっているそうです。
例えば昔の人が当たり前のように作っていた溝やため池といった土木造作が、土中環境をよくするためのものすごく大切な役割をもっていた、ということも語っています。
詳しくは、『土中環境』をぜひ!
では、どうやって、土の中で、水や空気や微生物がワクワクと動く、いわば「生きた土」が育めるのか?高田さんのすごいところは、言葉巧みな描写とともに、実践があり、実際に環境を改善・再生させていくという働きかけがあること。
今回のワークショップではその具体的な手法が学べるというので、家族を巻き込んで車を飛ばして木曽福島まで押しかけたというわけです。
ところが・・・当日はものすごい豪雨。
豪雨では環境再生は行えません。なぜなら歩くだけで土地を壊してしまうから。
『晴耕雨読』という言葉があります。この『読』は本を読む、ということではなくて、土地を読む、ということ。雨の日に、水がどう流れて、どこに溜まって、どこに染みこんでいくかよく観察するということ。そのうえで、実際の働きかけは『晴』れて、土地を傷つけにくい時に行うということ。それが先人の知恵だと高田さんは語ります。
結局環境再生の作業は、翌日に持ち越すこととなりました。
その一部始終は、偶然にも、一緒に参加されていたカメラマンさんが、美しい映像に残してくださいましたのでぜひご覧ください。
そして、地球守の活動の意味するところ、その思想は『地球守の自然読本』という小冊子に紹介されています。こちらの販売は、地球守の活動を支えるドネーションとなるそうなので、私も微力ながら支援しました。興味がある方には実費のみでお譲りしますので「BASE」からご注文ください。
なお、地球守のワークショップ初日、雨天になってしまったため、代わりにポット苗のワークショップを開催してくださいました。こちらもとても学びが多い場でしたので、また後日シェアしたいと思います。
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