獣の話(インセインPC・附子(フーズー)の話)
諸注意
これの話をします。
また、この記事には以下のインセインシナリオのネタバレが含まれます。
本記事ではインセインシナリオ『Maison Rosa Noir(メゾン ロサ ノワール)』を『黒薔薇館』と呼ぶことが多々あります。もしかして公式略称は黒薔薇館じゃなくロサノワだったりするのか!?
悪党をしたい!(ことのはじめ)
加害者キャラクターだいすき!と各所でプレゼンをしたりしていたら悪党でスマブラするシナリオをやれることになりました。やったね!
とにかく暴力がしたいな……と思っていたので、PC3をやるぜ~!と選択しました。PC3の概要はこれ。
こいつで野心ありまくりの暴力男をするぜ~!
そういやこれインセインなので秘密もあるんだよな。
どんな秘密があるんだろうな~!
……。
…………!?
!???!???!?
PC3で2m男をやるぞ(キャラメイク)
最初に思ったことが「自害アタックできないやつだこれ!!!」でした。
※インセインでは脱落場面の死亡選択時に攻撃ができる。
これはねえ~秘密をメインに据えるならこう……冷血なクールガイをね……もしくはちょっと訳ありっぽい二枚目の男をね……しそうになるけども……
でも2m超えの暴力大男でやりてえよ!!勝ち抜きてえよ!!このスマブラをよ……!
そんなわけで仮案ができました。
う~~~~~ん、てとりの男!
秘匿情報の気色悪さが暴力男と相性が悪いので(この手の気色悪い男キャラをするならストレート暴力じゃない)、ここをもうちょい変えて、最終的にこう。
※長いので適当にスクロールしてください
は?長過ぎる。長過ぎるんだが?メモじゃねえだろこれ。
長過ぎるので三行でまとめるとこういうキャラです。
容姿はこんな感じ。
デッカデッカ男。アムールトラの擬人化みたいなやつ。
できあがったキャラシはこんなんでした。
アビリティ的には生物エネミー絶対殺すマンとして組んでます。
黒薔薇館でおきたこと(主にPC3視点)
ログとか公開してないのでこれ読んでくれ……とはできないんですが、自分がやった卓のざっとした流れを書いておきます。
どんな状況になってるかは妄想して補ってください。おそらくそれ以上のなんかがあの場でおこなわれてました。
★導入フェイズ
シーン描写:PC①とPC②(娼婦PC)
・PC1×PC2サイコー!と初手からなった
・PC1のキャラが強キャラ(女王)
シーン描写:PC③とPC④(用心棒PC)
・いちゃつきながら酔っ払いをボコボコにした
・絵面がヤクザ映画なんだよな
★ドラマシーン1サイクル目
1.PC4(PC3と共に強面の男を調査、成功)
・PC4(真の支配人)がPC3に対して支配人の話題を結構出している
・PC3が恐怖判定に失敗。秘密の内容である要人暗殺がひっかかってるようなロールをする。
・こいつらまた他人への暴力込みでいちゃついてる……
・この後、PC4は秘話タブで現状(PC3の部下をしつつ真の支配人として楽しんでいる)について言及している
2.PC1(PC2と共にゴル・ゴダートを調査、成功)
・すっごい官能的なシーンがあった
・真の支配人がいることに気づく2人。これで真の支配人について知らないのはPC3だけになったのだった……
・PC1の格がみるみるあがっていく
3.PC3(PC1を調査、成功)
・暴力で調査!!!!!
・PC3が求めてたお嬢様がPC1だと判明した
・そして恐怖判定でファンブルを叩き出す
※ネタバレ PC3はこの卓で3回もファンブルをします
・調査現場にPC2とPC4もいるが、PC1の正体は現状PC3のみ分かっている状態
・PC1お嬢様がまるで覇王だったので、PC3は攫ってお姫様にするより王として自分が馬になり果てまでつれていくことにした。以下その時のセリフ。
・このあとPC3はPC4にPC1の秘密を暴露。
・ただし、PC3の秘密はPC4に開示されていないので、傍目からは『用心棒のでっか男が復讐者で覇者のおもしれー女の馬になった』という状況。
・その後の秘話タブでポエムをした
・なんかこのポエムやってるときにPC4の秘話タブも動いてて……あとでそれを見て私は気が狂いました
4.PC2(署長を調査、成功)
・すっごい官能的なシーンがあった(2回目)
・この卓GM含め全員ロールがうまくてやっべえ卓なんだなと感じた
・調査した内容はハズレっぽかったのだが、実はここでプライズをとってることがのちのちPC1の覇王伝説の重要ポイントとなる
★マスターシーン
・女貴族が殺され、新しい情報が提示される
・PC3がまたもや恐怖判定でファンブルを叩き出す
・主人が死んだときのことでもおもいだしたんですか?
★ドラマシーン2サイクル目
1.PC3(ゾルダート家を調査、成功)
・よく知ってることを改めて開示された(暗殺者の情報が新規開拓された)
・PC3の『怒』の部分出しまくりコーナー
・ついでとばかりに強面の男を死体蹴りしてプライズも奪った
2.PC1(PC2の秘密を調査、成功)
・今週のつよつよ娼婦百合!実は生き残りのお嬢様と、その両親を抹殺した暗殺者ということがバレてしまい…………?
・罪を告白するPC2、それを裁くことができるPC1……2人の運命は……
・『全身全霊でPC1のみに仕えろ』という命の元、更につよつよの娼婦百合になりました
・この2人がいればもうこのシナリオは安泰ですよ ワハハ ……
・そしてついでとばかりに支配人の権利もゲット
・PC1、おもしれー女……
3.PC4(PC3と感情判定、成功)
・とても特殊なシーン
・真支配人として知っている情報を他PCに開示するPC4(この時点でPC4の秘密はメタ的にほぼ開示されている)
・PC4VSPC1の対立構造を招きつつ、PC4がPC1のプライズを略奪しようとするも失敗。
・失敗シーンのロールが『自分だ知らない情報を喋るPC4にキレたPC3が、PC4を床に叩きつけ、PC1を守ろうとしたPC2がPC4に毒針を放ちPC4が過呼吸状態になる』
・略奪に失敗しつつも、PC4はPC1の秘密をPC2にバラす
・混沌とした状況の中、PC3はPC4を連れて別室へ、PC1はPC2と二人きりに
・そう…………こんなにめちゃくちゃになっておきながらも……まだ判定をしていないのである!!!!
・怒れる男と開示した男、二人きりになったらなにをする?
・そうだね。感情判定だね。
・弱っているPC4を追い打ちでボコボコ(ワイン瓶で殴るなど)にして、PC3がPC4にした質問が……これ!
・……ここの説明は置いといて。これに対してPC4が『解答』をしなかったので、次の質問。
・これに~~~肯定を~~~~PC4が~~~~~~返して~~~~
・このふたりはおしまいだよ。
・感情判定の結果は、PC3→PC4が愛情、PC4→PC3が憧憬でした
・おしまいだよ
・この後感情についてのロールするか……となり、PC3がPC4の口約束は信用できないからとPC4の片目を抜き取ってPC3がもらうことになりました
・おしまいだよ!!!!!
・え~~~~~~ん たすけて たすかりません まだおしまいはつづくのじゃ マジ?
・一方その頃PC1とPC2はPC3とPC4とは異なる強靭な絆を繋いでいました
4.PC2(下っ端の少年と感情判定)
・とても特殊なシーン
・改めてPC3とPC4の元へ向かうPC1とPC2、道中で下っ端の少年と会話(まだこの時点では判定していない)
・PC3とほぼ満身創痍PC4の元に到着。
・PC1がPC3を問い詰める。お嬢様に問われる気分はどうだ?
・ついでにPC1とPC2の絆を見せつけられる。今どんな気持ちだ?
・このよわよわ状態暴力男CPとつよつよになった娼婦女CPのコントラストがすごい!
・PC4がPC3にプライズを譲渡。そしてPC3がPC1にプライズを譲渡。真支配人はPC1となった。
・黒薔薇館~完~
・実はまだクライマックスじゃないんじゃよ
・Q:すべてを失ったPC4と二人きりになったPC3、なにをする?
・A:手に入れたPC4に自分の片目をあげる
・はい。
・実はまだPC2の判定をしていないのである!
・PC3とPC4と別れたPC1とPC2は下っ端の少年と再度遭遇。そしてPC2が感情判定。どっちもプラスの感情を取得。
・その後、PC2がふくよかな金持ちのプライズをゲット。PC1に譲渡。
★クライマックスシーン
・すっかり格の落ちたゴル・ゴダートとバトル
・通常時は下っ端の少年が暗殺者としてゴル・ゴダート側についており、めちゃくちゃ強いため、ロスト覚悟の戦闘なのだが……
・なんと感情判定をしているので今回は味方になってくれます
・やべ~(完全勝利)
・PC3が回想シーンで秘密を開示。ファンブル……?知りませんね……振り直しましたから……
・真支配人となったお嬢様、身元を明かした元執事。「PC4に惚れたので貴方とは行けません」という旨を宣言し、持っていたプライズ:マフィアの後ろ盾をPC1に譲渡し、PC1と共に未来を歩むPC2にプライズ:従者の証を譲渡。
・最終的なPC1のプライズ量が『王』なんだよな
・そうして、PC3はPC4と共に未来なき破滅の道を選び、遠く北の地で暴れまわることにしたのでした。
・おしまい。
附子はどういう男だったのか
人間になるのをやめて獣になった暴力男です。
ひとつひとつ解体していきましょう。
『故郷』について
附子は故郷がなくなった遊牧民です。
「故郷がなくなった」というのは母の言葉であり、母の言う『故郷』は遊牧民がかつて支配していた大規模な帝国を指します。
故郷を取り戻したい、という根源の遠い遠い目標は、自分のモノではなく『とりあえず掲げた』夢未満の指針でした。なので、正確には附子自身の夢や目標ではないんですね。
けれど、母の言葉、『見えない夢の場所』としての故郷に引かれていたのは確かなことだったんでしょう。
黒薔薇館本編の当初目標が『第二の故郷であるゾルダート家を取り戻す』で、PC1の突き進む動機が『世界を手に入れる(見えない夢の場所も夢じゃない)』だったことが彼女に協力するきっかけともなりました。
PC1が世界を目指さなかったら、附子は彼女を傀儡にする気満々でした。
本編後、PC1についていかなかったことで、『世界』を見ることはありませんでしたが、実は黒薔薇館やゾルダート家で稼いだ金で母親の言う『故郷』と思われる地域の土地を買っており、最終的にPC4ハネムーン気分で向かいました。
『獣』について
生まれつきの獣性です。
附子(幼名:ズードゥ)には母親も父親もいましたが、母親は自分が母親であると明かさずに、親しい知人として附子に接し、附子が気づき、言及する前に死にました。父親も附子がそれなりに育った後、それも『附子の母親を殺した後』に父親であると明かしました。明かした後も育てはしませんでした。
彼はどうやって生活していたかというと、ほぼペット(番犬ならぬ番虎)のような扱いで村の連中の家を転々としていました。
もちろん、生活以外にも彼の獣性は現れており、それはしばし『暴力』とよばれるもので発現しました。
彼は『目に見えるもの』以外を基本的に信じません。見えないからです。
口約束もおとぎ話も宗教も信じません。ただし、それを根幹からは否定しません。なぜなら『興味がある』から。つよく惹かれているから。
つよく惹かれている、『目に見えないもの』を信じられるようになったとき、彼はきっと人間になれました。
『人間』について
なれなかったものです。
人間になるためには、理性、夢、世界に対する肯定、継承のその後、社会におけるさまざまな『己』、ささやかな誇り、怒りの昇華、生ぬるくそれでも悪くはなかった暖かさ……『目に見えない』そういったものが必要でした。
ゾルダート家の執事をやっていたときはこれの殆どを手に入れて、もうすぐ人間になれそうだったのですが……主人が殺され、黒薔薇館に潜入し、暴力と享楽の日々を重ねることで、徐々に獣に傾いていきました。
それでもPC1との再会を経て、『夢じゃない夢』を見出し、また人間一歩手前まで進めたのですが。
ここで『相棒』に定義されなかったことで、『人間』への道が絶たれました。『人間』には役職や関係があり、それは言葉で示されるものだから。
その後、「楽しくなくなったか」と獣としての享楽を肯定するような質問をし、それに肯定された時点で、彼は人間として生きるのを諦めました。
この時点で『人間』になれないというスイッチ(フラグ)が押されているため、このあとPC1の元についていったとしても、『人間の執事』としてやっていけてなかったでしょうね。
『相棒』(PC4)について
う~~~~~~ん、大誤算!!!!!!
途中までPL&PC共に疑っていなかったのもあり、対立するとは思ってませんでした。カンが悪すぎないか?
附子としてはPC1の障害となるなら殺す、という方針が第一だったので、片目をどうこうしていた際にも「でも……この後クライマックスシーンでタイマンバトルして殺すんだろうな……」と思っていました。
とはいえ、附子というキャラクターをやっている上で、「目に見える命を感じる」という名の残虐行為を肯定し、ついてきてくれた相棒は、もはや切っても切れない存在となってしまっており……。
そこに「PC1にはPC2が今はいるんですよ……」というPC3の秘密がバキバキになる論拠がきたので、「じゃあPC4と破滅√だな!!!!!!」となりました。
自分はもうお嬢様に仕えられないし、相棒にすべてを捧げられ、自分のすべても捧げてしまった。
ここの方向転換というか、責務の取り方が彼(PC3)らしいなあとは思います。
さわやかなこと言いやがって。
ロールの手法とか考えてたこととか
暴力ヤッター!
暴力の男、と決めていたので方針としては『話すより手が出る』のを重視してました。いっぱい最悪暴力ができてよかった。
執事キャラにこれをやらせていいのか!?という感じはしますが、元傭兵あがりの獣が執事やってて用心棒になったらこうもなると思います。
そうでなくても2m超えの傷だらけ大男が暴力振るってたら画面がヤクザ映画になる。うれしいね。
手癖だけど手癖じゃないからたいへん
加害者キャラクターがヘキかつ、『どうしようもないガキ』という枠もヘキで、さらに手癖に寄せてできあがったようなキャラクターが結果的に附子となったのですが、途中までロールやるのがめちゃくちゃ大変でした。
慇懃無礼執事は手癖でスラスラロールできるだろうな、とは思っていたんですが、なんかクライマックスまで明かさなかったので……。
獣のキャラクターをやるのはたいへん。思考が言動や発言と直なので、冗長に喋るキャラクターとは別の意味で大変。
すぐに暴力のスイッチが押されてしまうので、どう暴力につなげて調査判定するかを考えてました。
これ暴力ありの舞台で暴力キャラでいけてたからいいものの、そうじゃない舞台でこの手のキャラクターを動かすのってどうすればいいんだ?要研究。
それはさておき、おもしれ~女に全賭けしたり破滅心中を選択するのは獣関係なく120%手癖でした。
出目とか狂気カードの引きとか
正気度最大値5のキャラでなんで3回もファンブルしてるんですか?
とはいえ調査の判定はちゃんと成功するし、戦闘の判定は武器でどうにかなったので、なんとかなりました。あと相棒から鎮静剤貰ったのでよかった。
引いた狂気カードは「疑心暗鬼」「暴力衝動」「闇からの祝福」でした。暴力衝動はトリガー引っかかったけど疑心暗鬼は引っかからなくてよかった。ファンブルするのは俺だけでいいんだ……
狂気カードはロールにも結構いい影響をもたらしてくれたので、インセインのシナリオをやってるな~!という気がして良かったです。
恐怖判定ファンブルからの狂気カード!感情判定!調査!バッティング!回想シーンパンチ!まさにインセイン!(バッティングもファンブルもしないほうがいいとされます)
まとめ
黒薔薇館、楽しかった~~~~~~~~~~~~~!!!
崖(加害者・加害を指す身内用語)をするぞ~!という意気込みで行ったらまさかこんな最高の不成立と従者継承と破滅崖CPをすることになるなんてな!盛りすぎている。これが2サイクルインセインシナリオの本編ってマジ?
ロール人生において一生物のなにかを得た卓になりました。
関係者の方々には感謝の気持ちでいっぱいです。
最後に〆でやったロールを置いときます。
不自由な獣たちよ、お幸せにな!
実はまだノベルゲームとして過去編を作ってる途中なので、もしかするとこの記事には追記が入る可能性があります。大男の話はもうちょっとだけ続くんじゃ。