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津久見市庁舎整備に関する住民投票についての市役所職員の私見

本日、私のもとに現役市役所職員より以下の意見書を頂きました。市役所職員として、内情を知っている方の貴重な意見なので、許可を得て公表させていただきます。この文書が投票率のアップにつながれば良いと思います。以下頂いた文書です。

市役所職員の意見

庁舎建設に関する住民投票が始まっています。 (既に投票済みの方もいると思いますが・・・)

ちょっと私の私見を伝えられればと思います。 めちゃくちゃ超長文ですが、投票前に一度読んでいただき、判断していただきたいです。 全文読む時間はない!という方、まず伝えたいことは、絶対に投票に行ってくださいということです。

まず、そもそも、あらゆる分野(防災、お金(補助金、基金、将来予測、他事業とのバラン ス)、利便性、まちづくり等)を複合的に考えていかなければならない今回の庁舎建設につい て、住民投票の結果で決定するなんて言うこと自体があり得ないことだと思っています。

各々重要視することは違い、何を第一優先で考えるのかではなく、どこの場所に庁舎があるべきかはあらゆる分野のバランスの選択だと考えます(例えば、港案は津波が来れば確実に影響を受けるが、円滑な行政手続きを可能とし、避難ビルの役割を果たし、まちの賑わい拠点となる。

一方、二中案は 3 分庁の内、二中については 2m程の津波であれば建物は被 害にあわないが、まちづくりへの波及はなく、分庁による行政機能の不便さを招く。なにを選択するかです)。誰もが納得いく答えなんてありません。だからこそ、行政判断を下すべきことだと考えています。もちろん、検討過程において市民の意見を聴くことは重要です。 それも踏まえたうえでの行政判断です。

しかも、この短期間で“あらゆる分野”について全ての情報を市民に正確にお伝えするなんて不可能です。それを得票数が若干でも多かった方に決定するなんて...しかも、市長は有権者数の 1/2 条件に納得いっていないようですが、民意を問うと言っておきながら、少数の 意見で決定しようとしていたことに疑問を感じています。しかも、もはや、選挙運動みたい に「〇〇に入れてね」とかいろんな圧力による活動も見られます。これは民意なのか?

本来住民投票を行うのであれば、どちらの案になっても実施でき、どちらになっても津久 見市の将来が描けていなければ成り立ちません。それを時間がないからといって一方の案 (二中案)を概算や不確定の情報で比較対象とすること自体おかしな話です。

これまで新庁舎建設については平成 29 年の台風水害前から議論されており、7年ほどが経過しています。当然その期間検討に当たった職員の時間は膨大です。そこに至るまでの費用も膨大です。港に庁舎建設することを決断したからこそ、市が策定する様々な計画(1つ 計画を作るだけで 2~3 年、1千万単位かかる計画も多くあります)は庁舎を中心に描かれ ています。二中になれば、各計画を作り変える必要がでてきますが、その費用は計上されていません。

二中案に決まればあと 10 年くらいまちは動かないでしょう。実現するかどうかも不透 明な部分が多くあります。津久見市は土地がないと言いながらも、港埋立地の津久見で一番の土地が埋立以降置き去りにされています。そこに庁舎を立て、市民が行き交う場を創り、 観光拠点で観光客を呼び寄せ、その動きがあれば隣接する私有地も動き出したかもしれません。

まちの変化が期待されましたが、二中案になれば港は空き地のままです。現状のまま。 しかも市長が 20 年後に人口が 8000 人になると明言しているような市に企業が期待を持ってきてくれるでしょうか?何も動かないまま 10 年経ってしまって 8000 人になってい なければいいですが...

港案に対して津波被害の不安はあると思います。海に向かっては逃げないだろという意見がありますが、まずは宮山、大友公園に逃げることを第一として、避難路整備やソフト対 策を講じることは当然です。そのうえで、土地勘のない方や体の不自由な方などが逃げられるように防災ビルとしての機能を有する庁舎としています。津波が 2~3m 程度来れば二中の建物は無事であっても入り口までは被害を受け、身動きが取れなくなります。

津波被害、 その後の復旧作業の観点から言えば私も正解はわかりません。想定するのも難しいから。でも港案となった時の行動は想定をしています。あくまでも想定ですが。ただし、二中案の場合ただでさえ分庁です。二中は狭く、そこで災害対応にあたるのは困難だと感じます。この 防災問題と、その他の分野を考慮し複合的に考えたときにどちらが良いのか考えなければ なりません。

利便性について、市長は分庁によって津久見港出張所(社協)を含め 4 拠点できるため、近 いところどこにいっても行政サービス全てを受けられるようにすると言っていますが、職員は誰一人として可能になるイメージがついていません。

混乱を招くでしょうし、市民のにつながります。ほとんどの方が市役所にはあまり用事がないから関係ないと思っているかもしれませんが、市役所に用事のある方は妊婦さん、子どもを連れた方、高齢の方などが多いです。行政の事務手続きは複雑で、対面で書面を見ながらでも説明が大変です。

市役所から文書が来たんだけどこれは何?と内容も分からず来られる方がいるくらいです。その方た ちがオンラインで話をして、タッチパネルを操作して行政手続きを済ませることが可能だと思いますか?

しかもそこには個人情報が含まることが多くあります。各庁舎に小部屋を設 けるのでしょうか。余計にスペースが必要となり、さらにそのシステム構築と維持費には多 額の費用がかかるはずです(どのくらいの費用かはわかりません。市長も分かっていないはずです)。だだ、必要経費には計上されていません。二中案に決まったら検討するそうで、検討過程で“できない”となったらどうするんでしょうね...

港案を進めるには国からの補助金の期限なども関係してきます。そのタイムリミットが近づいていることもあって急いで決めなければならない状況になってしまっています。

市長は二中の方がいいと明言していますが、元々は二中にすべての機能を入れる考えだったはずです。それが入りきらないとわかって、付け焼刃のように現庁舎新館も活用すると 言い出しました。正直市長の信念がどこにあるのか全く分かりません。

投票率は 50%に達しなければ無効となり投票にかかる約 1600 万円が無駄になります。 そして、市長は二中案を推し進めるでしょう。議会や職員は反対するでしょうから停滞することは目に見えています。50%を超えて二中に決まってもそう簡単には計画は進みません。 時間と費用がめちゃくちゃ掛かります。

そうなると 50%を超えて港案に決めるしかないと 思います。港案で決まって、仮に建設業者が工事をとってくれなければ見直しになりますが、 その場合は港案を軸に再検討することが本来だと思います。市長は二中にシフトしそうで すが。。

私はもともと港に社協と連携した庁舎を建設し、二中に窓口業務以外を持っていくとい う分庁であれば可能だと考えていました。それでも分庁するとなればシステムをしっかり検討する必要がありますし、簡単ではありません。ただ、今回は港案か分庁かの二択になってしまっています。もうこれは仕方ありません。総合的に考えると港にする他ないと考えて います。

ということで、私個人はこの二択であれば港案一択なので、ちょっと偏った内容になってい ますが、最初の方に言ったように考え方はそれぞれです。私の意見に賛同できない部分も必 ずあると思いますが、総合的にどう判断するかです。決めないといけません。これが一つの 判断材料になればと思っています。

絶対に選挙に行ってください。よろしくお願いします。m(__)m


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