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性別のないVTuberからするとこの世界は男性向けと女性向けに分かれすぎていると思う話。

0.この記事について

こんにちは!
まずは自己紹介。
TRPGサークル「テトラドトキシン」のマスコットで、ビビッド系宇宙生物VTuberのテト彦っていいます。
配信開始から三ヶ月の、まだまだひよっこです!

無性別として活動してるんだけど、性自認はXジェンダー(ノンバイナリー)です。
自分のこと男の子とも女の子とも思わないってことだね。
厳密には色々定義があるのかもしれないけど、あくまで今回はこの、ぼくの定義で話させてもらうね。

この記事は、そんなぼくから見た、VTuber界隈を含めた身の回りのことをお話します。
初めに言っておくと、何かが悪いとか、そういうことが言いたいわけじゃないです。
ただ、ちょっと愚痴っぽくなっちゃうことはあるかも?
性別がないって、ちょっぴり大変なんだよ!って言いたい気持ちがあるので……

予防線張っておくと、ぼくはVTuberにもジェンダーにも詳しくはないです。
ただ、性別がない人からすると世界はこう見える!っていうひとつの例として読んでくれたら嬉しいな。

1.男女の世界

はい。
タイパが重要な世の中らしいので、タイトルに大体書いときました!

配信活動を始める前から、なんとなくVTuberは「美少女と美青年の世界」だと思ってました。
美少女に男性ファンができる、美青年に女性ファンができる、そういう世界。
現実と一緒の世界だね。
実際は同性のファンもいるわけだけど、トーク力や人間性の魅力と同じくらい「容姿の良さ」も大事な世界だと思ってます。

この辺りから偏見マシマシな話に入るよ?
「容姿の良さ」って、セクシャルな要素も入ってくるわけですよ。簡単に言うと、「かわいいか、かっこいいか」。
容姿だけじゃない。
話す内容や声、喋り方やキャラ付け。
無意識に、ぼくたちは相手に性別のフィルターをかけて見ています。
例えば、「クッソつまんね」って男性Vさんが言ったとしたら普通のトークでも、女性Vさんが言うと「ちょっと口悪いな」って感じるようなこと……ない?

男の子と女の子で、求められるものは違う。
それは時代や場所でどんどん変わっていくものだけど、男の子と女の子は違う目で見られるところが、どうしてもあるんだよね。
いいとも悪いとも言えないけど、それは事実だと思う。

2.無性別の世界

ぼくのことを話します。
ぼくはね、ほんとは小さい頃から男の子になりたかったんだよね。
背が高くて声が低くて、女の子に頼ってもらえがちな方の性別。

でも、なれなかった。
カラオケで頑張って低い声の練習しても限界があるし、背も全然伸びなかった。
低い声と高い声で演じ分けて台詞を投稿したら「低い声がかっこいいと思ってるんだろうな」って(本当はもう少しネガティブな)コメントがついたけど、そうだよ。
この喉を引き裂いてでも、低い声が出したかったんだよ。
声変わりしない小さい体に、本当の自分が閉じ込められている。
そんな感じに、昔はずっと悩んでました。
手術をしようとかそういう発想にならなかったのは、ぼくの「性自認が男の子じゃないから」です。

どういうことかって?
ぼくは「男の子になりたい」けど「自分を男の子だと思う」わけじゃなかった。
ただ、自分のことを女の子だとも思えなくて、違和感だけはずっと強くあって。
ずっと自分の心に問い続けて「ぼくの性別はどっちでもない」という気持ちを見つけ出しました。
他人からは、どっちだとも思われたくない。どっちかというと男の子だと思われたいけど、それは身長からして無理。
こんなわけだから、厳密にはXジェンダーじゃないのかもしれないけど……一旦、ぼくはXということにしています。

3.無性別VTuber

さて、そんな性自認あいまいXジェンダーのぼくから見て、飛び込んだVTuberの世界はどう見えたのか?
タイトル通り。
「女性向けと男性向けに分かれているなあ」です。

例えばぼくは演技をするのが好きで、台詞読み配信用の台本や台詞をTwitterやお題ガチャで探していました。
そうすると、どうしても恋愛っぽいシチュエーションのものが多いんだよね。
添い寝とかデートとか。
もしくは、女性はかわいいか天真爛漫な感じ、男性はクールか包容力がある感じが多い気がしたな。
もちろんそれだけじゃなくて、個性的な台本や台詞はたくさんあるけど、無性別のぼくはどんな台詞を読んだら需要があるんだろう?と迷っちゃいました。

そう。
無性別VTuber、立ち位置が難しい。
ぼくのキャラデザを改めて見て自分で気付いたんだけど、ぼく、性別がわかる部分が全部隠れてるんだよね。
喉、肩、脚、お腹、手首足首とか。
ぼくは絵も動きも全部自分でやってるセルフ受肉勢なんだけど、自分で気付いて「ガチで無性別だなあ」って笑っちゃった。
無性別だよってVTuberさんはたくさんいるけど、上にあるようなパーツが露出してると「男の子/女の子」に見えやすいような気がします。

で。
ガチ無性別だと、誰にどんな風に見てもらえばいいのかわからない。
女の子みたいに可愛いアピールをするのもあんまりしたくないし、男の子みたいにかっこいいアピールをするのは無理。
↑こういうの「性表現」って言うらしいね。ぼくは性表現も、どっちの性別でも見られたくないなと思いました。
視聴者さんからしても、人間は無意識に相手に性別フィルターをかけて見ているので、ぼくを「どういう風に見ていいかわからない」可能性もあるなって。

オタク界隈で褒め言葉で使われる「えっちさ」をぼくは無意識的に封じていて、だからセクシャルなところが全然ない。
かわいくも、かっこよくもない。
でもみんな、「それなら人間性の魅力で勝負すればいいじゃん」って思うよね?
正論です。
でも!それが!できれば!もっと伸びてる!!!!!!!!!!!!!
……頑張ります。

4. 無性別から見た世界

ぼくは自分の性別に違和感があって、ずーっと長いこと、性別やジェンダー、性自認について考えていました。
だから人より多分敏感なんだけど、ぼくからすると、世界はすごく、性に溢れています。

露出が多いとかそういうのじゃなくても、男の子でも女の子でも、VTuberさんへの褒め言葉として「えっち」は使われる。
無意識にみんな、その性別特有の要素を相手に見出している。
ASMRのえっちなボイスも、大きな胸揺れ女性VTuberさんも、男性の囁き声添い寝ボイスも需要がある。
全部、悪いことじゃないよ?
有性生殖をする生き物として、自然なことだと思います。

ぼくもかわいい女の子、かっこいい男の子はすきです。
だけどぼくはどこかで、自分と同じ、性別のないものを求めてしまう。
中性無性さんがすきだったり、人外VTuberさんの方がすきだったりする。
性別を感じさせない人を見ると、ほっとします。

たくさん、たくさん恋愛コンテンツがある世界は、たまにほんのちょっと息苦しくて、自分と世界のズレを感じたり。
それでも時代が変わって、少しずつぼくたちみたいな性別あいまい・中間の人たちが知られてきたり、肉体が異性同士のカップル以外も認められるようになったり……
いいことも、たくさんある。
それでも世界は、心にも体にも違和感がない男の子と女の子を中心に回っていて、ぼくはこれからも、取り残された宇宙人みたいな気持ちでいるのかもしれない。
……ちょっとネガティブすぎるね?
まとめに入ろうか。

5.おわりに

時代が変わったことで、混乱してる人もいるかもしれない。
性別が2つじゃないって、どういうこと?とかね。
心の性別ってそもそも何?考えたことないよ?とかね。
色々な属性を持った人たちが「ここにいるよ」と大声で叫んでいて、ぶつかり合っている。
それが怖いという人もいるかもしれないけど、それでも、できるだけたくさんの人が生きやすい世界になるために、今は必要な時期だと思います。

だからかもしれないけど、ぼくも、自分はこうだよって、誰かに言いたくなりました。
ジェンダーの話なんてするの、怖くて恥ずかしくて緊張するけど。
これまでずっと、小さなトゲが刺さり続けてるみたいな感じがしてたから。
Xジェンダーを代表することなんてとてもできなくて、これは本当に、ぼくだけの話。
聞いてくれて、ありがとう。
きっとこの最後の文章まで読んでる人なんてほとんどいなくて(長いので……)、だけど、ぼくにとっては大事な話でした。
それじゃ、いつもの挨拶。
おつ彦でした!


テト彦Twitter→https://twitter.com/tetradhiko


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