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荒川区議会議員選挙についての調査(NHKから国民を守る党浜田聡参議院議員のお手伝い)

昨年の令和5(2023)年4月に荒川区議会議員選挙がおこなわれ、新たな議会運営がスタートし、間もなく1年が経ちます。荒川区は西川太一郎氏が平成16(2004)年から5期連続で区長を務めており、今年の11月に任期満了による区長選挙がおこなわれます。荒川区議会議員選挙は次回が令和9(2027)年を予定していますので、それまでに候補者は区民に資する政策を思案していただきたいと思います。


①荒川区の基本情報

荒川区は東京23区のなかでも北東部に位置し、人口は約22万人(令和5(2023)年12月現在)となっており、23区のなかでも20位と規模の小さい基礎自治体となっています。また、昼夜間人口比率が約89%(令和2(2020)年)という調査結果があり、東京23区内で最も低い数値となっています。人口・世帯件数ともに年々増加傾向にありますが、65歳以上人口も増加しており、高齢化率は22.8%となっています。(令和5年1月)

 交通網に関しては、区内に9つの路線が通っており、都電荒川線で有名な路面電車もあり交通アクセスが良好な地域であります。コミュニティバスが2路線ある事で区内の交通アクセスは網羅されている印象です。さらに交通事故に関しては23区内で最も少ない地域です。事故の内容としては自転車や高齢者の事故が多いことが指摘されていますが、荒川区は人口密集度が高く、狭い道も多い事が影響していると推察できます。

 また、下町情緒のある街並みとして有名ですが老朽化した建物も多く存在しているため再開発も進んでおり、西日暮里駅周辺では大規模な再開発事業が予定されています。

少々面白い話題として、23区内で唯一店舗を構えていなかったスターバックスが南千住の商業施設に令和5(2023)年7月に誕生した際は、初日に行列がでくるといった静かなニュースがありました。このように再開発が進めている事も若年層が流入してくる要因であるのではないでしょうか。

 荒川区は隅田川に隣接している地域で事、住宅密集度が高く木造家屋が依然として多い事から密集住宅市街地整備促進事業というものを実施しています。ハザードマップをご覧いただけると、区全体が安全ではないことが一目瞭然です。道路冠水履歴を見ても、木造住宅密集地に多く、災害対策は大きな課題であると言わざるを得ません。

 区の基本情報として目立つところを記述してきました。凡そどのような地域かがイメージできたかと思います。行政はどのようになっているのかを次に見ていきたいと思います。

②区の財政がひどい

 まず総務省の決算カードをもとに、財政状況について見ていきたいと思います。令和3年度の決算状況一見すると歳入出の単年度収支はプラス収支となっています。

 しかし、地方税は歳入の16.4%しかなく、最新の令和4年度の東京都の公表している荒川区の決算状況を確認しても地方税の歳入はわずか17%です。経常一般財源の構成比でみても28.7%になており、東京23区のなかで自主財源比率は最下位となっています。当然、歳入額も低いのですが、歳入額が最も低い千代田区は自主財源比率が53.1%で23区の中で8位となっています。
 荒川区に隣接している台東区は人口・面積ともに類似しているにもかかわらず、自主財源率は38.2%で15位、歳入総額も17位となっている事を考えても、交付金に依存している事が明らかな状況です。

  もう少し深堀してみようと思います。総務省の類似団体比較カード(令和3年度)を見てみましょう。荒川区の地方税額は決算額構成比で16.4%に対し、類似団体は24.2%、一般財源の合計額でみても、決算額構成比で荒川区は22%にたいし、類似団体は31%です。

 ここから歳出額の気になる点を見ていきます。歳出状況で類似団体よりも多い額が複数あり、歳入に見合った歳出額なのか疑問の残る項目を羅列していきます。その他、詳細を確認したい場合はぜひ決算カードをご覧ください。

人口一人当たりの目的別歳出の状況
・議会費(決算額:荒川区2,774円 類似団体1,782円)
・人件費(決算額:82,958円 類似団体:64,680円)

人口千人当たり職員数(人)
・一般職員(荒川区7.73人 類似団体6.20人)
人口一人当たりの職員級の額
・本 庁(荒川区24,591円 類似団体17,837円)
・合 計(荒川区50,109円 類似団体40,494円)

 自主財源率が低いにもかかわらず、人件費が高い点は非常に疑問を感じます。交付金に依存しているにもかかわらず、特に議会費や特別職の給料が類似団体よりも高い、または同等である点は条例によって削減してもらいたいものです。
 また、積立金現在高の財政調整基金も荒川区は令和2年から令和3年度にかけて増加しており、人口1人あたりに換算しても荒川区は98,761円に対し、類似団体は77,046円となっています。財政事情を少し覗いただけでも違和感が残るのは私だけではないのではないでしょうか?

 このような状況で実質単年度収支は黒字ですし、令和3年度は令和2年度よりもプラス収支になっています。自主財源率が低いにもかかわらずプラス収支ということは不要な事業や税金の使い方をしている証左です。仮にこのような状況を続けるのであれば、減税が可能です。

 今の状況から、減税が可能な項目は住民税の個人均等割と軽自動車税です。

財政調整基金
   21,287,295(令和3年度)-20,705,524(令和2年度)=581,771
   そもそも財調は積立金なので必要以上に取る必要がありません。
増加分を差し引ける税目
   419,262(個人均等割)+85,035(軽自動車税)=504,297

 このように、住民税の個人均等割と軽自動車税は財政調整基金の増加分より少なく、十分減税が可能です。そもそも財政調整基金は有事のための積立なので想定した有事に必要な分だけ積み立てておけばよいものなので、増えた分は区民に還元すべきであると考えます。

③無駄をなくせ

  荒川区は事務事業評価票を公開している自治体です。その事務事業評価票を見ると本当に必要な事業なのかと疑念が湧いてくるものが数多く存在します。言葉を選ばずに言えば、「他人の金で無駄なことばかりしている」です。興味がある方は「荒川区 事務事業分析シート」と検索してください。荒川区の事務事業評価シートは内容や決算に関して、他の自治体と比較しても見やすいものとなっていると感じます。
 一つ例を挙げておきます。他の自治体にもある、長寿慶祝事業です。

 この事業は高齢者に記念品や祝品(祝金)の贈呈、イベントの開催やそのイベントへの補助金交付といった内容です。この事業に令和4年度予算は約2,600万円です。この長寿慶祝事業は驚くことに東京23区すべてでおこなわれています。荒川区はこの事業の問題点・課題について、対象者の減少に伴い、贈呈にかかる業務及び財政負担が大きくなっているとしています。つまり生産性のないことに税金が使われていることになります。であるならば廃止した方がいいのではないでしょうか。
  これはあくまで一例で、その他の課、その他の事業でも同様に不要な事業が山積しています。自主財源率の低い荒川区はまず交付金に依存するのではなく、自ら無駄な事業を廃止していくべきではないでしょうか。また、行政が様々な事業をおこない、補助金を付けることは民業圧迫につながります。むしろ事業の廃止を推進し、企業誘致を積極的におこなう事で税収の増加に努めるべきではないでしょうか。

④スターバックスが1店舗しかない荒川区

 荒川区は古い建物が多く行政も再開発計画立てています。老朽化した建物が存在し続ける事は防災の観点からも問題があるため、再開発を進める事は賛同するところではあります。

現在、西日暮里駅周辺の再開発が計画されていますが、駅周辺の再開発が進めば大きな商業圏が生まれる事でしょう。ところで、前述したように荒川区には「Lalaテラス南千住」内にあるスターバックスが1店舗しか存在しません。古いデータですが2016年段階で東京23区内のスターバックスの店舗数は247店舗ありました。荒川区は令和5年7月に出店したのが初めてという状況です。スターバックスは誰もが知っている人気のカフェチェーン店ですが、値段は決して安くはなく、人によってはたまの贅沢としてとして利用する方も多いのではないでしょうか。また、スターバックスが出店する際は長期的に出店し続ける事ができる立地を選ぶ事が有名です。つまり、辛辣な表現をすれば荒川区はスターバックスが出店するに見合うだけのニーズがないという事になります。
 荒川区はベットタウンとしての性格が比較的強い地域です。区内の至る所が再開発を必要としている状況をスターバックスを利用する層を取り込むチャンスと捉え、積極的な企業誘致やビジネスチャンスを生む施策を講じるべきだと考えます。

 

⑤コンドミニアムホテルを活用せよ

 荒川区は再開発計画を各地区で進めています。

また、隅田川・荒川が近くにあることから水害という観点から一軒家のような家屋よりもマンション建設進めた方が合理的かつ、住民流入を促進できると考えます。また、荒川区はマンション世帯が多いことを活用し、観光ビジネスに注力することで経済の活性化を促進できるのではないでしょうか。

 現時点で分譲マンションが19%ありますが、これから再開発を進める際、コンドミニアムを積極的に取り入れる事を提案します。

 簡単に言えば、分譲マンションの部屋のオーナーが賃貸として貸し出したり、ホテルとして貸し出すことができるものです。都内にもコンドミニアムホテルと言われるものがありますが、海外では一般的に存在しています。荒川区は東京都内の観光地へのアクセスが非常に便利ですし、区外ですが近くに浅草や上野、スカイツリーなどといった観光名所も数多く存在します。これからの観光需要を促進、荒川区内の経済活性化のためには補助金による企業誘致に頼るのではなく、荒川区内の宿泊機会をより増やすことで、区内での消費拡大を目指すことができます。
 宿泊施設として利用する際、旅館業法があるため現在はこのような施策をすることができません。しかし、国家戦略特区の規制改革メニューに「旅館業法の適用除外」という項目があります。

東京都内の自治体では大田区が活用しています。荒川区はマンションが比較的多い事、再開発が進み、住宅建物の建て替え機会が増える事を見込んで、「旅館業法の適用除外」を活用し、コンドミニアムの活用促進を促すことで、区内の経済活性化を促進し、自主財源率の改善を促すことができるのではないでしょうか。

⑥議員候補者への提案

 荒川区の課題について考察してきましたが、最後に何点か議員候補者に向けて提案したいと思います。
 
・自主財源率を上げ、交付金に頼らない財政力をつける。そのために、住民税個人均等割と軽自動車税の減税をおこない、住民の可処分所得を増やすことで人口流入を促す。
 
・定期的なタウンミーティングをおこない、住民と共に事務事業評価を元に不要な事業を洗い出し、事業の廃止を実現していく。
 
・国家戦略特区の規制改革メニューにある「旅館業法の適用除外」の活用自治体となる。これによって、コンドミニアムホテルの活用促進を目指し、インバウンド需要を拡大させ、区内の経済活性化を図る。
 
最後までご拝読ありがとうございました。

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