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【大人こそ観るべき映画】クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲
大阪万博や当時のアニメ、ヒーローなど、20世紀のコンテンツを体験できるテーマパーク「20世紀博」。昭和の記憶に惹かれて日本中の大人たちが熱狂するうちに、テレビは白黒に戻り、大人達は子ども化していった。
ある日、とうとう大人たちは20世紀博に移住を始め、強制的に昭和の生活に再教育するため子ども達を捕えだす。これは、なつかしいニオイで未来を忘れさせ、古き良き昭和の時代に戻そうとする「イエスタディ・ワンスモア」という恐ろしい計画の始まりだった。
これって子ども向けアニメ?
この映画は大人達が自分の世界に逃げようとする話です。
親、先生、全ての大人が子どもを置いて20世紀博という理想郷に移住しようとします。これはアニメだし、フィクションだし現実に起こるはずない。
そう。そうなんですが、、、
大人だって子どもの頃に戻りたい、好きなことだけに没頭したい、と1度は考えたことがある人も多いんじゃないかなと思うんですよね(私もそうです)。それを子ども向けアニメのなかで実際にやっちゃうのでドキッとします。
辛いシーンこそ笑いあり
大人達が子どもを残して20世紀博に移動するとき、しんのすけが、ひまわりをおぶって追いかけるシーンがあります。ひろし、みさえはしんのすけに気づきますが無視をする。相手は車だから追いつけるはずもない。街には置いていかれた子どもたちが溢れて、スーパーやコンビニは一部の子どもが占拠してゴーストタウンと化している。
これって結構な辛い状況ですよね。それでも必ず笑えるシーンが沢山でてきます。どんな状況でも大人・子どもが一緒に爆笑して、感動して楽しめるんだからすごい映画です。
-このあたりから少しネタバレあります-
ニオイに人生がつまってる
野原ひろしの足の臭さは、有名です。
今回はこのニオイが世界を救う鍵になります。
野原ひろしの足は、ただ臭いだけじゃないんです。ニオイにもちゃんとストーリーがある。昔懐かしいニオイに比べれば圧倒的に不快で臭いかもしれない。でも、それが未来と希望のニオイなんですよね。それが分かるシーンはすごく感動的です。
ちょっと横道にそれますが、最近観た映画の中でも印象的なニオイのシーンがありました。それは「パラサイト~半地下の家族~」、「ある女流作家の罪と罰」の2作品。どちらも社会の底辺の暮らしをしていて染みついたニオイを、他人に指摘されて初めて気づくというシーンです。
ニオイって普段あまり意識しないし、自分では気付けないことも多いですが、最もパーソナルというか、自分の内面的な部分に直接つながっている
むき出しな部分ですよね。安易に他人に触れられたくない。
野原ひろしの足のニオイは半分ネタのように見えますが、唯一、洗脳されたひろしに直接触れられる部分で、しんのすけは、ちゃんとそれが分かっていたんじゃないかと思います。衝撃を与えたり、水をかけたりして催眠や洗脳を解くアニメや映画は沢山ありますが、ニオイに注目したところはさすがしんのすけ。
大人は完璧じゃないし、子どもはそんなに馬鹿じゃない
この映画では大人は完璧じゃないんだ、実は間違こともあるんだ、ということをあえて見せているように感じました。それは大人からすれば恥ずかしいことかもしれません。
でも映画を見ていると、完璧であるべきと考えているのは大人が勝手に思い込んでいるだけで、子どもはちゃんと理解できるし、そもそもそんなに弱くない、と思えてきます。子ども向けの映画だからこそ、子どもを信じているというか、変に子ども扱いしない映画だと思いました。
しんのすけ、カッコよい。
テレビの定期放送で登場するしんのすけと違って、映画のしんのすけはかっこいい。映画の始まりと終わりのしんのすけは、見た目は同じでも全く別人に見えてきますよね。困難を乗り越えたしんのすけは、一回りも、二回りも大きくなって成長しているように感じます。
泣きたい時、不安な時もあったはずで、最後ひろしとみさえに抱きついて甘えても許されるのに、いつも通りにふざけて見せる。カッコよいではありませんか。
ストーリーのある映画、無い映画
クレヨンしんちゃんって、テレビ放送と映画では全然違いますよね。ふと映画評論家の町山智弘さんが映画のストーリーについての話しを思い出しました。
この映画はストーリーが骨太だ、ストーリーがない、ストーリーがある、と評価するときのストーリーとは、そもそも何のことなのか?という話をしてくれています。直接的にクレヨンしんちゃんには触れませんが、テレビ放送と映画のクレヨンしんちゃんの違いも、この話を聞くと見えてくるきがします。こちらも合わせて聴いていただくと面白いと思います。
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